ファッション

BTSのジョングクをグローバルアンバサダーに起用した「ウブロ」 CEOが語る背景と狙い

スイスの時計ブランド「ウブロ(HUBLOT)」が2月12日、K-POPグループBTSのジョングクを新たなグローバルアンバサダーに迎えることを発表した。ジョングクは同日、「ウブロ」が韓国・ソウルで開催したパーティーに登場。国内外から押し寄せた多くのメディアの前で「独自性やクリエイティビティー、創造性を備えた『ウブロ』のグローバルアンバサダーに就任することができて大変光栄です」と思いを語った。

近年トップアスリートやビジュアルアーティストをコラボレーターとして多数起用してきた同ブランドが、「音楽」の世界を主戦場とするジョングクの起用へと舵を切った背景には、どんな戦略があるのか。同社のジュリアン・トルナーレ(Julien Tornare)最高経営責任者(CEO)がその狙いを語った。

「音楽は感情を動かす三大要素の一つ」

トルナーレCEOは、これまでウサイン・ボルト(Usain Bolt)、キリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)、ノヴァク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)らスポーツ界のスターをアンバサダーに起用してきたことを踏まえつつ、今回の決断を説明した。「私が思うに人の感情を動かす主なドライバーは、スポーツ、アート、そして音楽の3つ。だからこそ、今回は再び音楽の世界からアンバサダーを選びたかった」。

過去にはイギリスのロックバンド、デペッシュ・モード(Depeche Mode)やフランスのDJスネイク(DJ Snake)らとも協業してきた。今回、欧米のアーティストたちも検討したが、今や世界的な存在感を放つ韓国音楽シーンに目を向けたという。「韓国の音楽は世界中で支持を得ている。グローバルな認知を持ちつつ、ブランドとアジア市場との架け橋にもなれるジョングクの起用は、非常に論理的な選択だった」。ジョングク起用に向けた交渉は、24年9月のCEO就任直後からをスタートしたという。

「感情」でブランドと顧客をつなぐ

「ウブロ」は1980年、ゴールドとラバーという異素材を融合させたタイムピースから始まった時計ブランドだ。革新性と大胆なマーケティングで知られる一方、CEOは「時計製造の実力が十分に認知されていない」とも語る。「創業46年という比較的若いブランドながら、業界でも屈指の時計製造ノウハウを蓄積してきた。今年はその専門性についても強く発信していく」。

その上で重要なのが“エモーション”だという。「ラグジュアリーは必需品ではない。だからこそ、人の感情に触れ、欲求を喚起することが重要だ。『ウブロ』の時計は、見る者に強い感情を喚起させる存在。パフォーマンスを通して人々にさまざまな感情を湧き上がらせるジョングクのようなアーティストは、ブランドと顧客を感情で結びつけることができる」。

ジョングクの魅力について、CEOは「若くして成功を収めた強い意志、創造性、努力、そして多面的な才能」を挙げる。「歌、ダンス、ステージ全体の表現力を融合させている。それはまさに異素材や技術を融合させる『ウブロ』の哲学と重なる」。

ビッグ・バンを選んだ理由

アンバサダー就任に際してジョングクが着用したのは、05年に初登場して以来、ブランドを象徴する存在であり、26年1月に刷新された“ビッグ・バン オリジナル ウニコ”。「“ビッグ・バン”は『ウブロ』にとって21世紀初のアイコニックな時計。ジョングクもまた21世紀を象徴する存在だ」とトルナーレCEO。「コラボレーションモデルの予定は?」という問いに対しては「現時点では計画はない。しかし、今後の展開は、彼との関係の中で自然に見えてくるだろう」と答えた。

ジョングクは「ウブロ」について「年齢に関係なく自分らしくいられるブランド」とコメントし、トルナーレCEOはこれに深く共感した。「アーティストは枠にはめられることを嫌う。『ウブロ』はコラボレーターに創造の余白を与えるブランドだ」。過去に村上隆やダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)と協業してきた際も、自由な表現を尊重してきた。それはグローバルアンバサダーに対しても同様のこと。

アジア戦略と女性市場への展望

最後にトルナーレCEOはジョングクのファン層には女性が多いことにも言及。歴史的に見れば「ウブロ」はメンズウオッチのラインアップで知られてきたが、今後は女性向けカテゴリーも強化していく方針だ。「今年後半には、女性向けとしては『ウブロ』初となるハイコンプリケーションモデルを発表する予定だ」。ジョングクの起用は、単なる話題作りではなく、ブランドの次なる進化を見据えた布石であり、時計製造の専門性と若者に向けたカルチャーの最前線を接続する試みだと言える。

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