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m-floが語る25周年の現在地 最新作「SUPERLIMINAL」と“音楽が古くならない”理由

PROFILE: m-flo

PROFILE: (エム-フロウ)1998年、インターナショナルスクール時代の同級生だった☆Taku TakahashiとVERBALが結成し、後にLISAが加入してm-floが始動。99年に「the tripod e.p.」でメジャーデビューし、2001年リリースのアルバム「EXPO EXPO」が80万枚を記録するなどヒットを連発。02年にLISAが脱退後は「Loves」シリーズで旋風を巻き起こす。17年にLISAが復帰し、オリジナルメンバーで再始動。19年に20周年アルバム「KYO」を発表。24年に25周年を迎えた。26年2月18日、10枚目となるオリジナルアルバム「SUPERLIMINAL」をリリースした。

2月18日、m-floが10枚目となるオリジナルアルバム「SUPERLIMINAL(スーパーリミナル)」をリリースした。本作は豪華な「loves」アーティスト(外部ゲストとのコラボレーション)との新たなクリエイティブで、過去最大のスケールへと拡張した作品に仕上がった。デビューから25年、激変する音楽シーンの荒波を、持ち前の好奇心と独自のスタンスで泳ぎ続けてきたLISA、VERBAL、☆Taku Takahashi。固い絆で結ばれた3人が語る、制作の舞台裏と「今」の音楽への想いとは。

25年目の「パラレルワールド」

——まずは、新作のアルバムタイトル「SUPERLIMINAL」の由来から教えてください。

VERBAL:僕らって、いつも宇宙旅行とかバーチャル世界の万博とか、何かしらフィクションのテーマを設けてやってるんですけど、今回は「潜在意識の中でのタイムトラベル」がテーマだったんです。僕ら付き合いが長いですけど、同じ空間にいても実は全然違うことを考えていたり、人生の違う岐路を歩んでいたりしていて、「同じ場所にいてもパラレルワールドにいるよね」みたいな話をよくしていたんです。そこから、サブリミナルの先を行くような、意識の境界を超える造語として「SUPERLIMINAL」に落ち着きました。

☆Taku Takahashi(以下、Taku):今の話を聞いてて思い出したんだけど、「HyperNova」(m-flo loves Maya、2024年7月リリース)が動き出すブレスト段階で、「トレッドミル(ルームランナー)でタイムマシンを作ろう」って言ってたの覚えてる?

VERBAL:言ってたね!(笑)。

Taku:いろいろとアイデアを出しては忘れていくんですけど(笑)、実はその頃からタイムマシンのネタはあったんですよね。

——特に1曲目のタイトルが「NONLINEAR TIMELINES」というのも象徴的だと感じました。デビューからの期間を振り返って、ご自身にとって予想外だった変化はありますか?

Taku:人生は予想外のことだらけですが、音楽作品に関して言えば、m-floの今までの作品は、自分たちで作っていながらも「ノンリニア(非線形的)」だなと感じています。なるべく客観的に聴こうと努めているのですが、過去の作品を聴いても決して古臭くは聴こえないなと自分たちでも思う瞬間があって。使っている言葉やアイテムは当時のものだったりもしますが、1stアルバムでも未来を予測していたり、m-floの世界はいろいろと未来とつながっているんです。僕らは時間をリニアに考えがちですが、どの時代の曲を聴いても、極論を言えば今回のアルバムに過去曲を混ぜても浮いたりしないのではないか、というところに繋がるなと。

LISA:本当にそう思う。「come again」がまた再びヒットを呼ぶ曲になるってこと自体が予想外でした。ただ、予想内だと言い切れる理由もあります。今聴いても古いと思わないですし、TakuのトラックもVERBALのラップも非常にかっこいい。今この曲が評価されることも、自信を持って「分かるな」と思えます。最初にTakuからもらったトラックはすごくシンプルだったんですけど、今振り返るとあれが良かったんだろうなと思うんです。だからこそ、そこにいろんな言葉をエモーショナルに詰め込める、遊べる余白があったんです。

VERBAL:確かに自由度は高かったよね。僕はあえて曲のテーマに寄り添いすぎないラップを書いていました。90年代のラップってサビは恋愛なのにラップ部分は「俺ってかっこいいだろ」みたいな感じもあったじゃないですか。だから僕は特にパーティーチューン的なテーマを気にしすぎることなく自由に書かせてもらってた。それをTakuが絶妙なバランスで調理してくれるから、一つの曲にまとまるんだよね。

LISA:最後に私たち2人の素材をチョップアップして、一つにして世に出してくれた。それは本当にすごいことをしてくれたなと思いますし、良い流れでしたね。

VERBAL:あと、僕としてはm-floを25年間やり続けていること自体が予想外です。

Taku:確かに、俺もそう思うわ。

VERBAL:周りで音楽を続けない人もいる中で、各々がいろいろなことをしながらもずっとやり続けてきて、形態を変えながら「2026年バージョン」として今もかっこいいものを作りたいと思えている。根底にみんなクリエイティブな好奇心があるからこそ、できているんだなと感じます。ただ、デビュー当時は絶対続かないと思っていました。音楽で食べていくのは無理だとずっと言われていましたから。とりあえずこれを頑張る、次はこれを、と積み重ねてきた結果、25年も続いていた。振り返ってみると本当にすごいですし、メンバーには感謝しています。

根底にあるのは
「今その瞬間、何が楽しいか」

——LISAさんが戻り、再び3人そろった状態で「loves(外部ゲストを招く)」を行うのは、初期の「tripod(3人体制)」とも、かつての「loves」とも異なるフェーズだと感じます。3人がそろっている今、あえて他のアーティストとコラボすることで、グループ内にどのような化学反応を起こそうとしているのでしょうか?

Taku:もともと「loves」はLISAがいなくなって生まれたものでした。その後、LISAが戻ってきて再び「tripod」で作品を作るようになり、その2つが混ざったらどうなるか。言語化するのは非常に難しいのですが、「loves」の要素と初期の「tripod」の要素が両方混在している、何か面白いことになっている、っていう感じかな。

VERBAL:宇宙に行くロケットのように、m-floは最初は勢いで始まったと思うんです。理想を掲げて、右も左も分からず始めて、デビューして宇宙に飛び出した。でも、宇宙は宇宙で暗くて長い旅で、模索しながらいろいろな形態を経てきました。それに環境の激変もある。デビュー当時は資料音源がカセットの時代でしたが、今はDSP(ストリーミング)ですよね。形態も聴き方もソーシャルメディアの出現によって加速しました。その変わった環境の中で、自分たちをどう保つかということを意識することが変化であって、根本的に変わっていないんです。

——やはり常に変化や進化を求め、新しいことに挑戦したいという思いがあるのでしょうか?

Taku:新しいものは好きですし、進化したい気持ちもありますが、根底にあるのは「今その瞬間、何が楽しいか」ということではないかと思っています。

——LISAさんは、ご自身が離れていた時期の「loves」をどう見ていましたか? また今、新しい方々を招いて一緒に歌うことをどう捉えていますか?

LISA:私もTakuと同じマインドセットで、「作品が良いならそれでいいじゃん」という考えなんです。毎回サプライズなので、誰が来てどんなケミストリーが生まれるのか楽しみにしています。だから「私以外の人はダメ」なんて全く思いませんし、自分が外に出ていた時期も、m-floが良い楽曲をやっているなと思っていました。m-flo loves YOSHIKAの「let go」なんかすごく好きですし、離れていた時期も結局ライブに呼んでくれたり、「m-flo loves LISA」としてやらせてもらったり、ツアーも一緒に回ったりしていたので、あまり「離れていた」という感覚がないんですよね。だから今の「loves」もベリーウェルカムですし、次は何ができるかなと楽しみにしています。

「ともに遊ぶ」ことで生まれる
インスピレーション

——今回のコラボレーターは、ZICOやeill、chelmico、向井太一……今のユースカルチャーやストリートシーンをけん引する面々です。彼らと対峙する際、m-floとして「教える立場」ではなく「ともに遊ぶ」というスタンスを大事にされているように見えます。

Taku:ストリート云々というより、彼らとは個人的に遊びに行ったりする仲なんです。彼らは僕らを先輩として見ているかもしれませんが、僕はあまりそう感じていなくて。先輩・同期・後輩に関わらず、良い音楽をつくっている人はみんな僕の憧れの対象なんです。

VERBAL:今回はフィーチャリングだけでなく、楽曲制作そのものを手伝ってもらったりもしました。例えば、25周年曲として最初に書いた「HyperNova」では、僕のペンが全然進まなかった時に、Novel Coreくんが「VERBALさんだったらこういうラップすると思います」とリリックを書いてくれたんです。僕は以前から「人に書いてもらうのもありだ」と言っていましたが、彼とは歳が良い意味で離れているので、抵抗なく「こうしたらもっとかっこいいですよ」という提案を受け入れることができた。それを自分流に落とし込んで完成させたので、ニューフェイスの人たちから制作と客演という表裏の両面でインスピレーションを受けたアルバムになったと感じています。

LISA:私も上手い人やぶっ飛んでいる人に惹かれます。一緒に歌うことで自分もパワーアップしようと思えますし、エネルギーにもなりますね。特に今回はRIP SLYMEと共演した「ARIGATTO」が最高に楽しかったです。これまではVERBALに書いてもらったラップを歌うことが多かったのですが、最近はラップも自分で書くことが増えていて。「できないよ」と思いながらも、「面白いからやってみて」と言われて書いてみたら、2人から「できるじゃん!」と褒めてもらえて。RIP SLYMEのみなさんとも、最初は「怖かったらどうしよう」と思っていましたが(笑)、みなさん面白くて優しいお兄ちゃんたちでした(笑)。ラップクルーと一緒に「loves」をやって、その中で自分もラッパーとして扱ってもらえたのがすごく嬉しかったですね。もっと書きたいです!

——「loves」のコラボ相手を選ぶ際、何を重視されていますか?

Taku:m-floは音がいろいろな方向に行けるので、なにかしらの個性・発信力が強い人や技術が高い人、あとは単純に「楽しそうな人」を選びがちですね。僕とVERBALで選ぶことが多いですが、直感的に「かっこいい!」「楽しい!」「上手い!」と感じる人を大切にしています。

LISA:そこ大事だよね。

——時代性も意識しますか?

Taku:時代性も多少意識はしますが、今自分が好きなものを選べば、そこには自然と時代性が反映されるものなんじゃないかな。

3人が生む「m-floイズム」

——時代が移り変わっても大切にされてきた「m-floイズム」はなんだと思いますか?

Taku:僕ら自身は、あまり「m-floイズム」を意識して作っているわけではないんだよね。芯はあるんだけど。

VERBAL:3人とも性格も歩んできた道もバラバラだけど、一つ共通しているのは「世の中に順応できない」「迎合できない」ところかもしれません、いい意味で(笑)。流行を取り入れようとしても、どうしてもそのままはできないんです。上手いプロデューサーなら流行りの音をそのまま再現できるんだろうけど、僕も今の流行のラップをやりたいと思っても、結局できない。LISAもそう。Takuもどれだけリサーチして流行を意識しても、結局「Takuサウンド」になってしまう。

LISA:それ、すごくナイスアンサーだね! 分かる。それがうちらだもんね。

Taku:好きなものじゃないとできないんだよね。

LISA:あとは、一曲一曲に対して「大好き」という気持ちが溢れていないと、作品として出さない。そこも共通しているかな。

VERBAL:生まれ変わったら僕ブルーノ・マーズになりたいですけど、今はどう頑張ってもなれませんからね(笑)。

——時間が経ってもm-floの楽曲が古くならないのはなぜなんでしょう。

Taku:流行には敏感なんですけどね。ただ、飽きるのも早いので(笑)。刺激を求めて常に新しいものを探しているので、今のトレンドよりも「次の何か」を追いかけているのかもしれません。僕は新しいものが大好きですし、VERBALもそう。LISAはトラディションや真心を大切にするタイプですが。そのバランスが良いのかもしれませんね。

LISA:流行の中に完全に入り込めない不器用さはあるかもしれませんが、その代わり一曲一曲への集中力は100%です。最初からアルバムのコンセプトをガチガチに固めるのではなく、「この曲は楽しいか」「出し切れているか」と一曲ずつ向き合っていく。その積み重ねが結果として形になっているからかな。

櫻井翔とともにアップデートさせた「come again」

——m-floの音楽略歴は、日本のポップカルチャーにおける多様性と革新性の象徴だと思います。この25年で音楽シーンの様変わりをみてきたと思います。現代の音楽シーンの流行りをどのように捉えていますか?

Taku:音楽自体は廃れないけど、楽しみ方や出会い方が変わりましたね。昔はラジオでしたが、今はTikTokやSNSです。SNSで知ってもらえるありがたさはありつつも、そこから「フルで聴こう」と思ってもらうハードルは高くなったと感じます。

LISA:短い時間で人をキャッチしなきゃいけない。メロディーを作る側からすれば、冒頭の数秒が勝負というのは、すごく大きな変化だと思います。ただ、「いつなにをかけても、初めて聴く人には新譜だから」ってよくTakuは言うんですよ。それは本当にそうだと思う。

Taku:昔の曲でも、初めて聴く曲はその人にとっては新しい音楽なんですよね。昔は「ヒップホップしか聴かない」といったジャンルの壁が厚かったですが、今はサブスクの影響もあり、アイドルを聴く人が同時にニッチなテクノを聴くような、ジャンルの境界線が消えた「フラットな時代」になったと感じます。

——それを思うと、櫻井翔さんとのコラボ楽曲である、m-flo loves 櫻井翔「come again *Reloaded」の意義も余計に感じます。

Taku:もちろんただ別のものを単純に接続させてもダメで、ストーリーも大事です。きっかけは、櫻井くんと一緒にテレビ番組でコラボしたことでした。櫻井くんのラップがすごくいい感じだったので、このままレコーディングしたいねという話になって。TikTokで流行っているから「come again」を入れたとかではなく、櫻井くんがオーガニックな流れで良い歌詞を書いてくれたから、それをもう一度形にしたかった。普通なら、僕は過去曲のリバイバルを入れるのはあまり好きではないタイプなんです。けれど、新しく面白いものができたので、せっかくならちゃんと記憶に残したいなと思って収録しました。

LISA:私の歌も、わざわざ新しく歌い直していますしね。

VERBAL:櫻井くんが書いてくれたリリックには、僕たちが昔よく遊んでいたカフェの情景など、背景が見える物語があった。それって、僕が初めてアメリカでラップを聴いた時の衝撃と同じなんですよ。ニューヨークのゲットーがどうとか、金のチェーンがどうとか、見えない景色がラップだけでスコーンと見えてきた、あの感覚。彼も「自分なりのヒップホップ感」を全開で出してきて、それがすごく良くて。昔だったら、櫻井くんとm-floがやるなんてイメージできなかったかもしれない。でも今は、音楽で繋がってバチンとハマればそれでいい。今は「好きだと思わせること」が大事な時代で、みんなのんびりリスナーになってるけど、僕はやっぱり曲に向き合うしかない。本当に好きか嫌いか、かっこいいか。昔は「ヒップホップの定義とは何か」なんて語り合う時代もあったけど(笑)、今は「かっこよければ何でもよくね?」って言える。櫻井くんも僕たちもベテランになって、お互い抵抗なく、多様性の中で混ざり合えたのが最高にいいなと思っています。

PHOTOS:TAKUYA MAEDA(TRON)

10thアルバム「SUPERLIMINAL」

■m-flo 10thアルバム「SUPERLIMINAL」
2026年2月18日リリース
TRACK LIST
01. >>NONLINEAR TIMELINES
02. m-flo loves ZICO,eill / EKO EKO
03. m-flo loves chelmico / RUN AWAYS
04. m-flo / You Got This
05. >>ERA
06. m-flo loves Diggy-MO' & しのだりょうすけ / GateWay
07. m-flo loves RIP SLYME / ARIGATTO
08. tm-flo loves Sik-K & eill & 向井太一 / tell me tell me
09. >>A E I O U
10. m-flo loves ELECTRONICOS FANTASTICOS! / CHARANGA
11. m-flo loves n-choco / ELUSIVE
12. m-flo loves 鈴木真海子 / Judgement?
13. m-flo loves Maya / 1CE AGAIN
14. >>LIMINAL SUPERLIMINAL
15. m-flo / MARS DRIVE
16. m-flo loves Adee A. / Reckless
17. m-flo loves 櫻井翔 / come again *Reloaded
18. m-flo loves Maya / HyperNova
19. >>TEMPORAL ANOMALY
https://m-flo.com/

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