ファッション

ブルガリやティファニー、ディオールのジャパン社トップ歴任のビジネスマンが「ティファニー銀座」の上に会員制ラウンジを構えた理由

PROFILE: ステファン・ラフェイ / サファイアラウンジ創設者

ステファン・ラフェイ / サファイアラウンジ創設者
PROFILE: 1965年生まれ。88年にフランス経済商科大学院大学を卒業後、プーチ グループ、ブルーベル グループを経て、2003年にブルガリジャパンの社長に就任。09年にティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク社長、その後、アジア パシフィック&ジャパン リージョン グループのヴァイス プレジデント、シニア・ヴァイスプレジデントを務めた。16年には、クリスチャン ディオール クチュール、パルファン・クリスチャン・ディオールの日本支社であるクリスチャン ディオール(株)とパルファン・クリスチャン・ディオール・ジャポン(株)を統括するプレジデントに就いた PHOTO:TAMEKI OSHIRO

「ティファニー(TIFFANY & CO.)」がアジア最大の旗艦店「ティファニー 銀座」を構えるビルの13階にこのほど、会員制の「ギンザ サファイア ラウンジ(GINZA SAPPHIRE LOUNGE)がオープンした。銀座の中心にある大人の特別な空間として、世界を舞台に活躍する人々が集い、文化・芸術・美食・シガー・ゴルフや各種イベントを通じて交流を深める場を目指す。シェフの佐藤健志は、フランスと日本の最高峰レストランで研鑽を積み、パリの「ラルケスト(L'ARCHESTE)」では、オープンからわずか5カ月でミシュラン一つ星を獲得。「ギンザ サファイア ラウンジ」では、その技術と独創的な感性を活かし、世界各地の風味にインスパイアされた、大胆かつ洗練されたフレンチフュージョン体験を提供する。

ガーデンテラスやシガーデッキ、プライベートサロン、メンバーズラウンジなど、銀座の街並みを一望できる空間で、非日常の体験を提供するのは、ステファン・ラフェイ(Stephane Lafay)=サファイアラウンジ創設者。「ディオール(DIOR)」や「ティファニー」「ブルガリ(BVLGARI)」などの日本およびAPACのトップを歴任し、ラグジュアリービジネスをけん引してきたラフェイ創設者は、なぜ会員制ラウンジを構えたのか?

WWD:なぜ、銀座のど真ん中に会員制の「ギンザ サファイア ラウンジ」を構えた?
ステファン・ラフェイ=サファイアラウンジ創設者(以下、ラフェイ):日本では「ブルガリ」や「ディオール」「ティファニー」など、素晴らしいブランドのジャパン社でトップを務め、私の人生はとてもエキサイティングでハッピーだ。いつか、日本でリタイアしたい。でも、まだ面白いことに挑戦したいし、面白い人に会いたい(笑)。そう考えたとき、銀座の真ん中に「ギンザ サファイア ラウンジ」のような施設を作りたいと考えた。
今までいろんな場所に行ったが、「ギンザ サファイア ラウンジ」のように異なるバックグラウンドの人たちがミックスする空間は決して多くない。世界的にはジェントルマンズ・クラブ(もともとイギリスや欧米で発達した会員制の男性のための社交クラブ)のような施設や組織は少なくないが、名前の通り女性の入会は難しい。会員制クラブの多くは顧客や会員をセグメントするし、その中で日本人はシャイな上に“お堅い”ので、お金を持っていてもコネクションを作るのが苦手な方も多い。ラグジュアリー・ブランドとして顧客同士の交流の機会は作ってきたが、安心感は提供できるがなお“気恥ずかしさ”が先行するケースも多かった印象だ。
ただ、そろそろオープンになるべきだ。さまざまなラグジュアリー・ブランドで働き、「ラグジュアリーとは、シェアすること」だと思うようになっている。芸能人も、アーティストも、スポーツ選手も、ビジネスマンも、面白い人たちは出会いに前向きで、毎日を謳歌している。そんな彼らの交流が加速すれば、それぞれの、そして世の中の水平線がもっと広がるのではないか?

WWD:日本にもいくつか会員制ラウンジは存在するが、何が違う?
ラフェイ:まず世代や性別に縛られないのは、大きな特徴だ。実際コミッティメンバーも世代や性別、国籍はそれぞれ。そんな人たちが、さまざまなバックグラウンドの人々をもてなすべく、交流や学びの機会を提供するほか、メンバーはここで仕事をしたり、会議を催したりもできる。加えて「ギンザ サファイア ラウンジ」は必要に応じて、コンシェルジュがゴルフの予約からベビーシッターやペットシッターの手配までサポートする。
初年度は会員以外にも門戸を開き、さらなる交流を促すのも特徴だ。2年目以降は非会員とどう交流するか?は、会員と決めていきたい。初年度は300人の会員に活用していただくのが目標だ。

WWD:朝食は10時から、ディナーは23時まで、バーは週末になると午前3時まで楽しめる一方、会員になれば、ワークスペースも利用できる。朝から晩まで、ワンストップでいろんなことができる場所が必要なのか?
ラフェイ:ラグジュアリーブランドのトップを務めていたとき、仕事と食事、その後の語らいで、いちいち場所を変えるのが面倒だった。特に銀座は、朝が遅く、夜は早い。朝早くにコーヒー、夜遅くにカクテルを飲むには、場所探しにさえ苦労する。もっとエレガントに、ワンストップでさまざまな望みを叶えられる場所はないか?と思ってきた。「ギンザ サファイア ラウンジ」は、そんな人たちに愛される存在になるだろう。

WWD:なぜ「ギンザ サファイア ラウンジ」なのか?
ラフェイ:キャリアからもわかる通り、私がジュエリー好きだから。「ティファニー」といえばダイヤモンドだが、私はブルーが好きだからサファイアにした。下にある「ティファニー」の友達のような存在になれたらと思う。

WWD:施設は法人でも利用できる。
ラフェイ:法人契約は、ウィメンズを中心とするプレタポルテのブランド、レザーグッズが主力のブランド、シューズがメーンのブランド、そして時計ブランドなどがすでに決まっている。いずれもVIP顧客をもてなすため、これまでにない体験を提供するために「ギンザ サファイア ラウンジ」を選んでくれた。私自身ラグジュアリー業界に長く身を置いたが、顧客に提供する体験は今、「フル・ライフスタイル」の時代。貴重な、良いデザインで、最高品質のブランド品だけでは、もう不十分だ。そんなとき銀座の真ん中という空間を贅沢に使い、ラグジュアリーブランドの商材をディスプレイすることも可能で、場合によっては外商やコンシェルジュのようなサービスさえ提供できる我々を活用していただきたい。ただ多くの法人と契約してしまい、個人会員の利便性が薄れてはいけない。当面はウィメンズで1ブランド、バッグで1ブランドなど、カテゴリーごとに制限を設けるつもりだ。

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