三井不動産は東京・渋谷の複合施設「ミヤシタパーク」にポップアップスペース「パーク イン パーク(Park in Park)」を11日オープンする。こけら落としとして、英ロックバンドのオアシス(Oasis)の来日公演を記念した“オアシス ライブ'25 トウキョウ ファン ストア”を11月2日まで開く。
オフィシャルストアは完全予約制
日本唯一の公式ポップアップストアとして、東京ドーム公演で販売するツアーグッズのほか、アクリルスタンドや湯呑みなど日本限定アイテムを取りそろえる。江戸紫の“TOKYO”ロゴが入ったツアー開催地カラー限定Tシャツといった同店限定グッズも用意。店舗奥には、ビールとチップスを提供する英国パブを設けている。
イベントを運営するソニー・ミュージックエンタテインメントの武藤久美子・コーポレートビジネスマーケティンググループ企画戦略部プロューサーは出店理由について「サイネージや空間演出まで総合的に世界観を楽しめるファシリティに魅力を感じた。渋谷には、オアシスの日本初公演が30年前の渋谷クアトロだった縁もある」と説明する。
16年ぶりの来日公演を控え「ファンの熱量はかなり高い」と踏まえた上で、日本独自企画の商品も充実させた。「ツアーパンフレット以外に思い出として保管できるもの、持ち歩けるもの、ファッションとして取り入れられるものなど、多様に広がるファン心理に対応できる品ぞろえになった」。入場は事前予約制で、すでに会期前半の予約枠は埋まっている状況だという。すぐに品切れを起こさないように商品在庫を確保するとともに、一人当たりの購入点数の制限を設けたり、レジ10台も用意したり、万全の態勢で営業に備える。
一味違うリテールメディアの強み
開催期間中は、ミヤシタパークの館内外に新設した42面のデジタルサイネージをストアのビジュアルがジャックする。館内BGMをオアシス楽曲から選曲した30曲で構成し、アルバム「モーニング・グローリー」のジャケットを再現できるフォトスポットも用意する。2階ではアマゾン ミュージックがポップアップ「Amazon Music Room」をオープンした。明治通りに面した「アディダス(ADIDAS)」の店内にオアシスのトラックジャケットなどを売るエリアを設けたり、「アダム エ ロペ(ADAM ET ROPÉ)」もTシャツやトートバッグを売るポップアップを開催しており、館全体がオアシス一色となる。明治通りを通行する人たちの目にも留まることになる。
ミヤシタパークは新区画「パーク イン パーク」の導入に伴い、「施設のメディア化」に舵を切る。三井不動産が推進する多様なサービスを掛け合わせて施設の価値を最大化する「コマーシャル・サービス・プラットフォーマー」戦略の一環だ。「不動産ビジネスから幅を広げて、収益源の多様化を目指す取り組み」(商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部アーバン事業部運営グループの國嶋航太氏)と位置付け、家賃収入にとどまらない新たな収益確保に乗り出す。三井不動産は東京ドームを傘下に持ち、船橋市の「ららアリーナ」などスポーツ施設も運営する。今回のオアシスのように、傘下の施設で開催される音楽ライブやスポーツのイベントと連携した企画ができるのも強みだ。
「パーク イン パーク」のギャラリーエリアは、大型イベントから日常的なイベントまで柔軟に対応できる空間に設計した。11月以降もアート、音楽、スポーツなどの企画を計画している。國嶋氏は「(屋上の)公園や館内、ホテルとも連携できるミヤシタパークならではの強みを最大に生かす。今後は他の施設でも同様にメディア化の取り組みを進める」とも明かす。