PROFILE: (左)的場隆光/リップス代表 (右)たなか/「リップスヘアー(LIPPS hair)」エグゼクティブデザイナー兼チーフディレクター

メンズコスメの企画・販売、ヘアサロンFC事業を営むリップスは、6月30日に東京証券取引所グロース市場へ新規上場を果たした。同社は2022年、「リップス(LIPPS)」をメンズビューティブランドとして発展させるため、ヘアサロン「リップス(現:リップスヘアー)」の運営母体をリップスヘアーとし、経営権を従業員に譲渡。リップスがフランチャイズ本部として店舗運営を継続支援できるよう事業整理を行っている。ここでは主にプロダクトを取り扱うリップスと、ヘアサロンを運営するリップスヘアーの両トップに、これまでの歴史と上場の狙い、今後のビジョンを聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月28日号付録「WWDBEAUTY」から抜粋・追記したものです)
SALON INFORMATION

リップスヘアー(LIPPS hair)銀座
ADD:東京都中央区銀座5-7-6 i liv(アイリブ)3階
TEL:03-6264-5057
URL:https://lipps-hair.com/salon/375/
流行に流されず、カルチャーをつくる
WWD:リップスを創業し、プロダクトを作り始めたきっかけは?
的場隆光代表(以下、的場): 1999年に、私が美容師としてヘアサロンをオープンしたのが始まりです。2000年頃からメンズのヘアカタログ雑誌が盛んになりましたが、当時は男性に特化したスタイリング剤も、メンズヘアのカット技術もまだ確立されていませんでした。そこで、私たちが目指すスタイルを実現するために、メンズカットの基本技術と、それを再現できるスタイリング剤を自分たちで開発しようと考えたのがきっかけです。
WWD:最初に開発した“マットハードワックス”は有名。
的場:そうですね。完成まで4年かかりましたが、今でもベストセラー製品です。私たちは常にサロンでトレンドのヘアスタイルを生み出し、そのスタイルを作るために「もう少しこういう製品が必要だ」という現場のニーズに応じて製品を開発してきました。ヘアスタイルのトレンドが変化するのに合わせて、必要なスタイリング剤のラインアップが広がっていった形です。つまり、技術とスタイリング剤は常にイコールの関係で、両方があって初めてリップスのヘアスタイルが完成します。この現場との強い結びつきが、お客さまに支持されるプロダクトを生み出せた要因だと考えています。
WWD:現場の美容師から「こういう製品があったらいい」といったフィードバックは、常にプロダクトチームに共有されている?
たなかエグゼクティブデザイナー(以下、たなか):はい。私たちの最大の強みは、現場でお客さまと直接触れ合うことで、リアルなニーズやトレンドの移り変わりをいち早くキャッチできる点。そうした現場の意見は、製品開発に常に取り入れています。
WWD:「リップスヘアー」は長年、メンズヘアのトレンドの最前線を走り続けているが、その秘訣は?
たなか:私たちは一過性の流行に捉われるのではなく、お客さまのリアルな声をキャッチし、「今、本当に求められているもの」をトレンドとして生み出すことに力を入れています。「人が流行らせる」のではなく、ブランドとしてどう発信していくかを常に考えているからこそ、時間が経っても新しいものを生み出し続けられるのだと思います。
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