ファッション

「コンプレックスコン」日本開催の可能性も? 香港版の主催者に聞く展望

ストリートカルチャーとポップカルチャーの祭典「コンプレックスコン(ComplexCon)」が、3月21〜23日に香港で開催される。香港での開催は、昨年3月に続き2回目。

米国開催の「スニーカーの祭典」とは様相が異なり、香港版の主役はポップカルチャーと現代アートだ。昨年開催時は村上隆とBLACKPINKのコラボグッズなどが話題を呼んだが、今回の「コンプレックスコン香港 2025」でも現代アーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)がグローバル・アーティスティック・ディレクターを務め、韓国の5人組ガールズグループNewJeans改め「NJZ」がライブイベントのヘッドライナーとして出演するなど、すでに期待の熱は高まっている。

香港版の運営を手がけるコンプレックスチャイナのボニー・チャン・ウーCEOに、前回の反響や今後の展望、日本開催の可能性について聞いた。

WWD:昨年初開催された「コンプレックスコン香港」。来場者数や収益は、計画や予想と比べてどうだった?

ボニー・チャン・ウーCEO:開催3日間で来場者は3万人以上にのぼり、収益も当初の想定を上回る結果でした。特に人気ブランドのブースの商品は、初日でソールドアウトするほどの反響でした。2日目に訪れた来場者の中には、希望の商品を手に入れられず、がっかりされた方もいたようです。

これは「グッドプロブレム」、つまり今後の課題として改善したいポイントでもあります。今年は、より多くの商品を用意し、より多くの来場者が満足できる体験を提供したいと考えています。

WWD:チケットは優先入場順に価格が決められ、最高額のものは日本円で10万円近かった。来場者の反応はどうだったか?

ボニー:高価格帯のチケットについては、私たちは決して「攻めすぎた価格」だとは考えていません。というのも、コンプレックスコンのコンセプトは「トップクオリティー」です。最高の体験を提供するために、ゲストのクオリティー、イベントの演出、コンテンツの質を徹底的に高めていたからです。

チケット価格は、「アジア開催」ということも考慮しています。例えば、ラスベガスでのコンプレックスコンに参加するとしたら、飛行機代やホテル代も含めてはるかに高くつくでしょう。それを考えれば、多くの人にとってより手の届きやすい、“お得”なイベントになっていたはずなんです。結果的に、来場者の満足度も高く、チケット価格に見合うだけの価値を提供できたと確信しています。

WWD:米国のコンプレックスコンは「スニーカーの祭典」の印象が強いが、香港版はアートが主役。改めて、その意図は?

ボニー:コンプレックスコンの中心にあるのは「若いエネルギー」です。そして、若い世代の自己表現は近年、スニーカーに限らず、さまざまな形で表れるようになっています。現代アートは、その一つの象徴でしょう。スニーカーもファッションも、映画、デジタルアートなどと密接に関わっています。つまり、コンプレックスコンは単なる「スニーカーフェス」ではなく、より広範なカルチャーの祭典へと進化しているのです。第2回はこのアートの側面を強化し、世界のクリエイターが集うハブとしての存在感をさらに高めていきたいと思っています。

日本開催の可能性は?

WWD:前回、アジアの若者文化について新たな発見や収穫はあった?

ボニー:アジアの若者たちは、やはり強い自己表現の欲求を持っていますね。ファッションや音楽を通じて、自分のスタイルを発信し、ネットワークを広げようとしているのです。

コンプレックスコンは、単なる消費の場ではなく、文化的なプラットフォームとなる可能性を秘めています。アジア各地に点在する、影響力のあるインフルエンサーやラッパー、デザイナーとリアルに対面できる機会は、香港のようなアジアの中心に位置する都市だからこそ実現できるもの。昨年は会場の各所でランダムに出現するKOLやアーティストたちが生み出す熱狂から、それが見て取れました。

今回は、新しい潮流として注目している東南アジアのクリエイターにもスポットを当て、アジア全体のユースカルチャーを盛り上げたいですね。

WWD:日本開催の可能性はあるか。

ボニー:まず、日本はコンプレックスコンにとって非常に重要な市場です。日本のファッション、アート、アニメ、音楽は世界中に影響を与えており、「日本発のカルチャー」はコンプレックスコンのDNAとも深く結びついています。

日本開催について、具体的な開催地や時期を明言することはできません。しかし開催するとしたら、日本のクリエイターやブランドをより多く巻き込み、蓄積してきたレガシーと新しい化学反応を世界に発信できる場にしたいと考えています。

アジア全体を巻き込むムーブメントへ

WWD:その先の展望は。

ボニー:先ほども少し触れた東南アジアは市場が急成長しており、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピンなどからも、「コンプレックスコン」の開催について強い関心が寄せられています。

コンプレックスコンは、単なるイベントではなく、「アジアのカルチャーを世界に発信するハブ」になることを目指しています。アジアの若者たちに「世界に通用する」という自信を持ってもらうためのプラットフォームを作りたいと考えています。

米国がヒップホップや音楽で世界をリードしてきたように、今やK-POPや日本のファッション、アニメが国際的に注目されています。コンプレックスコンが、アジアのクリエイティブな才能を世界に届けるきっかけになることを願っています。

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