フランス発「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」(以下、ビュリー)は、ブランドディレクターをヴィクトワール・ドゥ・タイヤック(Victoire de Taillac)が夫のラムダン・トゥアミ(Ramdane Thuami)と2014年に復活させた老舗フランス総合美容専門店だ。フレグランスやスキンケア、ブラシ類まで幅広くそろえ、独特の世界観で人気が高い。ヴィクトワールはアレクサンドル・デュマ(Alexandre Dumas)の「三銃士」の着想源となった王室衛兵の末裔。5人兄弟の末っ子で、長男のピエールは出版社を運営、長女のソフィーは鈴木陸三サザビーリーグ創業者の妻、3女のマリーエレーヌはジュエリーブランド「マリーエレーヌ ドゥ タイヤック(MARIE-HELLENE DU TAILLAC)」(以下、MHT)のデザイナー、次女ガブリエルは「MHT」のフランス社を運営している。ヴィクトワールは「ビュリー」のディレクターとして活躍する傍ら、3人の子どもの母親としての顔も持つ。「日本は、私にとって特別な場所」と語る彼女の素顔は、自然体でとても気さくな現代のパリジェンヌだ。新著「美しくある秘訣」の発表会で来日したヴィクトワールに、新著やビューティルーティンについて聞いた。
パリジェンヌの起源と19世紀の美容法を紐解く本
WWD:「ビュリー」が、19世紀のフランス文化や嗜みといったものを発信する理由は?
タイヤック:「ビュリー」のルーツは19世紀で、その美意識やアイデアが原動力。それを分かち合いたいと思い、当時の古書の美容法など面白いことをピックアップして書籍にしている。それは、現代女性にとっても魅力的なものだと思うし、小説を読む感覚でも楽しんでもらえると思う。
WWD:新著「美しくある秘訣」のベル・エポック時代におけるパリジェンヌの美容習慣は、現代にどのように生かせると思うか?
タイヤック:一般的に話されている“パリジェンヌ”という言葉はベルエポック時代に始まったと言われている。特定の人物がいるわけではないが、素敵な女性の代名詞のように使われる。「美しくある秘訣」は、パリジェンヌの始まりや当時のパリジェンヌ像を紐解く本。時代が違うから、当時のパリジェンヌの視点を通して、現代を見ることができるので面白いと思う。
美容用品は香りが大切、フレグランスも欠かせない
WWD:自身のビューティ・ルーティンは?
タイヤック:心地良さに気を配り、自分の状態を見ながら必要に応じてルーティンを変える。血行を良くするボディーブラッシングや舌のケアなども大切。スキンケアは、クレンジングは軽めで、水分補給をしっかり。化粧水の後にフェイスクリームを塗ることもあれば、オイルを使うこともある。長時間の移動の後は、シアバターでマスクする。特に、美容用品の香りには気をつかうし、気分を変えたり、アップしたりするのにフレグランスは欠かせない。気分に応じて水性香水やボディーミルクを使い分けている。
WWD:愛用している「ビュリー」の製品は?
タイヤック:化粧水はローズの香りの“オー・スゥぺールフィヌ”を愛用している。バラの蒸留水とアロエベラ配合で控えめなバラの香りが心地いい。この商品は、品切れになる店もあるほど人気だ。フェイスクリームは、“ポマード・ヴィジナル”を使用している。全てのスキンタイプに使えるベーシックなクリームだ。肌が乾燥気味だと感じるときは、“ラズベリーシードオイル”を使う。オイルは自然派美容には大切で、いつも持ち歩いている。長時間のフライトの後は、“シアバター”でマスクする。“シアバター”は水分と油分を補ってくれる万能のアイテムでリップクリームとしても使える。
WWD:香りには気を使うようだが、お気に入りの「ビュリー」の香りは?
タイヤック:水性香水“オー・トリプル”は、控えめで優しくベロアのように肌に馴染むので日本人にもぴったりだと思う。中でもお気に入りは“ミエル・ダングルテール”。ハチミツとシダーウッド、アンバーから構成されたパウダリーでウッディな香り。同じくウッディ系では、“セードル・デュ・リバン”もよく使う。バーベナとピンクペッパー、ベチバーが織りなす落ち着く香り。華やかな気分になりたいときは、“チュベローズ・デュ・メキシク”を選ぶ。チュベローズは白い花の女王と呼ばれ、クローブとバニラがミックスされたうっとりする香りだ。