ファッション

米ポップアートで人気急上昇中のへブル・ブラントリーを直撃

 現代アーティストのへブル・ブラントリー(Hebru Brantley)は6月1日まで、日本初の個展「GREAT DEBATE」を東京・銀座の画廊メグミオギタギャラリーで開催中だ。現在、米ロサンゼルスを拠点に活動するブラントリーは、シカゴ出身の37歳。クラーク・アトランタ大学で映画の学士号を取得し、21~22歳の頃に本格的にグラフィックアートを志した。「アディダス(ADIDAS)」や「ナイキ(NIKE)」「ア ベイシング エイプ(A BATHING APE)」など、ファッションブランドとも協業し、米ロサンゼルスで開催された「コンプレックスコン(COMPLEXCON)」では「ビリオネア ボーイズ クラブ(BILLIONAIRE BOYS CLUB)」とコラボしたTシャツやフィギュアを販売して即完売。身長204センチメートルと大柄な体格からは想像できない繊細なポップアートは、ストリートファッション界隈で着実にファンを増やしている。今回の展示作品12点もほとんどが売約済み。今年中に大規模な個展も計画中だというブラントリーに話を聞いた。

WWD:映画について学んだのに、なぜ絵を描き始めたのか?

へブル・ブラントリー(以下、ブラントリー):僕は本質的にクリエイティブな人間だから、絵を描き始めたのはすごく自然な流れだった。最初は、グラフィティーから始めたけど、今はペインティングでギャラリーに飾るような絵を描いている。アウトプットの方法が変わっただけで、自分にとっては映画もペイントも特に変わりはないよ。

WWD:今回の日本滞在中に三鷹の森ジブリ美術館に行きたいと聞いたが、日本のキャラクターで影響を受けたモノは?

ブラントリー:一番は「鉄腕アトム」。どのペイントもアトムのキャラクターやポージングから影響を受けている。ミッキーがモチーフの絵もどこかに鉄腕アトムから得たインスピレーションをミックスしている。

WWD:オリジナルキャラクターの“FLYBOY”や“LIL MOMMA”も鉄腕アトムがモチーフ?

ブラントリー:モチーフの影響は受けているけど、インスピレーションを得たのは第二次世界大戦中に組まれた黒人だけのパイロットチーム“タスキーギ・エアメン(Tuskegee Airmen)”なんだ。それにアメリカのアニメやコミックには、黒人のキャラクターが出てこない。だから僕がキャラクターを作ることにした。

WWD:「コンプレックスコン(COMPLEX CON)」創業者のマーク・エコー(Marc Ecko)が主宰する非営利団体「XQスティチュート」にキャラクターを提供している。

ブラントリー:マークは教育に力を入れていて、「XQスティチュート」の発信しているメッセージにすごく共感しているからね。僕がやっていることも彼らのメッセージを通して発信できると思っている。

WWD:今年の「コンプレックスコン」はブラントリーの出身地であるシカゴでも開催されるが何か関わる?

ブラントリー:ちょうどシカゴの「コンプレックスコン」のすぐ後に、「ネバーモア(NEVERMORE)」という僕自身が主宰するアート展を開催するからスケジュール的に断念した。アート展は「不思議の国のアリス」みたいな大きな扉が入り口にあって、それを開けると世界観が広がるようなエキシビションにしようと思っている。

WWD:「アディダス」や「ナイキ」「ベイプ」ともコラボしているが、ファッションと相性のいいキャラクターについてはどう考えている?

ブラントリー:全てがキャラクターとマッチしているわけではないからブランドによって形を変えることが必要だと思う。

WWD:今後決まっているプロジェクトは?

ブラントリー:12月にマイアミで開催されるアート・バーゼルに参加する。そこではスカルプチャーやフィギュアも用意しようと考えている。あと、来年は映画を撮るんだ。ただし、アニメーションではなくて、ライブアクション。ポップアートの活動とは別になる。

WWD:今回は日本に長期滞在すると聞いたけど、その間にやりたいことは?

ブラントリー:日本のカルチャーをたくさん吸収したい。ショッピングも楽しみにしているけど、僕は体が大きくて洋服のサイズが合わないから、日本のオモチャにすごく興味がある。中野ブロードウェイとか楽しみだね。

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