1. カット1万2000円でも高評価、「オーシャントーキョー」トップ3に価格改定の真意を聞く

カット1万2000円でも高評価、「オーシャントーキョー」トップ3に価格改定の真意を聞く

価格改定 ヘアサロン インタビュー

2017/11/19 (SUN) 12:00
左から、三科光平「オーシャントーキョー ハラジュク」代表、高木琢也「オーシャントーキョー」代表、中村トメ吉「オーシャントーキョー」代表

 オープンから4年で5店舗を展開し、業界内外からの注目を集めて“今最もイケてる美容室”といわれる「オーシャントーキョー(OCEAN TOKYO)」。そのトップを務める高木琢也、中村トメ吉の両代表と、「オーシャントーキョー ハラジュク」の三科光平・代表の3人が、10月14日から施術料金を値上げした。それぞれ7000円台だったカット料金が、高木代表と中村代表が1万2000円、三科代表が1万円になった、かなりインパクトのある料金改定だ。

 日本のヘアサロンの施術料金は、欧米のトップサロンと比べて格段に低く、以前から問題視されてきた。しかし、どのサロンも顧客離れを恐れてなかなか値上げに踏み切れず、大きな料金変動がなく現在に至っている。これまでも、現場に立つことが少なくなったオーナーが値上げに踏み切るケースはあったが、今回のように第一線でサロンワークをこなす美容師が値上げするのはごくまれなケース。しかも「オーシャントーキョー」のメーン顧客は、レディスよりも単価が低いとされるメンズで、さらに学生や20代の若い層が多いということで業界を騒がせている。そこで、話題の3人に料金改定の真意と、値上げを実施してからの顧客の反応について聞いた。

WWDビューティ(以下、WWD):このタイミングで料金改定を行った理由は?

中村トメ吉「オーシャントーキョー」代表(以下、中村):理由は主に2つある。1つは、お客さまに提供する価値に誇りを持って仕事をする美容師を増やしたかったからだ。私たちは、これまでやってきたこと、積み上げてきたことに自信があって、胸を張って最高の技術を提供してきたと言える。その価値や費やしてきた時間も含めて、料金以上のものを提供できると判断し値上げに踏み切った。そうした姿勢を示すことで、共感してくれる美容師が増えればと考えている。

WWD:もう1つの理由は?

中村:もう1つは、オープンから4年でブランドイメージが定着してきて、新たなチャレンジをする土台が整ったからだ。例えば、店舗によってブランディングとターゲット層が違うとか、お客さまが担当美容師を自由に替えられるとか、そうした特徴が浸透してきた。それに加え、私たちが大切にしてきた本質的技術と、お客さまと心と心で向き合って髪型を提供していくという価値観が、1年目のアシスタントまで共有できるようになった。そうした土台が整ったタイミングが、今だったということだ。

WWD:カット料金を1万2000円にした理由は?

高木琢也「オーシャントーキョー」代表(以下、高木):日本では、カット料金6000円でも高いといわれることがある。しかし僕は、髪型は毎日付き合っていくものだから、その価値をもっと高めた方がいいと考えている。学生であれば制服、社会人はスーツと基本の服装は決まっているけれど、髪型は自由に変えられる。その髪型を僕たちが作ることで、心の満足感まで提供することができる。そのことを表現し、価値を感じてもらうための手段の1つが料金だと考えている。そこで導き出したのが“いいTシャツを1枚買うくらいの高級感”だ。本来ならば3万円くらいにしてもお客さまは来てくれると思ったが、あまり遠い存在にはなりたくない。なので、“他の買いたい物を少し我慢することで手が届く料金”に設定した。

READ MORE 1 / 1 思い切った価格設定に対する顧客の反応とは

WWD:三科代表の施術料金の設定に関する考え方は?

三科光平「オーシャントーキョー ハラジュク」代表(以下、三科):施術料金は1000円でできることは何か、1万円でできることは何か、といった尺度で決めるものではないと思う。そうではなく、できることを可能な限り提供し、それがどれくらいの価値か、という視点で決めるべき。だから、できることが増え、質が向上すれば料金が上がるのは自然なこと。そう考えると、私はまだ1万円しかいただけないということで、もっと精進しなければと考えている。

WWD:かなりインパクトのある料金改定だが、ちゅうちょはなかったか?

高木:「オーシャントーキョー」には大阪や福岡など遠方から来てくれるお客さまも多く、そうした方たちの交通費を考えるとちゅうちょする気持ちにもなった。しかし、3人とも予約が取れない状況の中で、「料金を上げてほしい」いう声も多かった。「予約がとりやすくなるなら上げてくれた方がいい」という声が、若いお客さまからも上がったことが後押しとなった。

WWD:実際に値上げしてからの顧客の反応や、変わったことは?

高木:新料金をスタートさせてすぐに、「自分たちがしたことは間違いではなかった」とさらに自信を深めた。改定後も3人とも予約枠は埋まっているし、遠方からのお客さまも来てくれているので勇気づけられた。一番変わったのは、一人のお客さまがオーダーするメニュー数が増えたことだ。これまではカットのみのお客さまも多かったが、多くがカット&カラー&トリートメントをオーダーしてくれるようになった。これは、料金が裏付ける価値に、さらなる可能性を感じてくれるようになった証しだと思う。また、6000円のTシャツを着るよりも、1万2000円のTシャツを着る方が自信がつくように、お客さまがより自信をつけて帰ってくれるようになった。美容師としても、初心に戻った楽しさを感じている。

WWD:今後の方向性は?

中村:「オーシャントーキョー」が目標にしているのは“価値観の創造”。これまで否定されていたもの、できなかったものに挑戦してスタンダードに導くことだ。今回の料金改定も、目的は新たなスタンダードを築くこと。エゴではなく、「誰かのために」という思いがあれば伝わるものだと考えているので、信じて貫いていきたい。

三科:私は以前から、美容師ならではの知識や技術を、一般のサロンユーザー向けに動画などで発信することに力を注いでいる。一般ユーザーの知識が高まれば、美容師にさらに高いレベルを求めてくるはず。すると、それに応えられるスキルを持った美容師だけが選ばれるようになるので、おのずと料金にもその差が反映されてくる。そうした流れを作っていきたい。

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