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AIとVR搭載の実店舗を試験展開 アリババが目指すオンラインとオフライン融合型の“新小売”とは?

 中国最大手のEC企業、アリババ(ALIBABA)は2016年11月11日の中国「独身の日」からオンラインとオフライン(実店舗)を融合させた“新小売(New Retail)”というビジネスモデルを打ち出している。まず、その第一歩として、中国の百貨店チェーン、インタイム リテール(Intime Retail)に投資。現在同社の74%の株式を保有し、「独身の日」のプロモーション実施などを含めて同百貨店のオムニチャネル化を図っている。

 チェン・シャオドン(Chen Xiaodong)=インタイム リテール最高経営責任者(CEO)は「顧客は百貨店でのショッピングにおいても、支払いシステムやアプリなどを通してオンラインに触れており、インタイムの売り上げの90%が何らかの形でオンラインから生まれている。オフラインとオンラインの違いがなくなるまで同化させることがこのプロジェクトの中核だ」と話す。

 さらにアリババは17年の「独身の日」に合わせてAI(人工知能)とVR(拡張現実)を導入したスマート・ポップアップショップ、“I-store”を実験的に中国各所に設置。より“新小売”が現実味を帯びてきたようだ。

 ブランドとしても顧客データを活用できるという点で“新小売”のメリットがある。アリババが運営するECサイト、Tモール(Tmall)に出店し、17年「独身の日」の総流通総額(GMV)トップ10ブランドにランクインしたナイキ(NIKE)のデニス・ヴァン・オッセーナン(Dennis Van Oossanen)=ナイキ ダイレクト兼ナイキ グレーター チャイナ=バイス・プレジデントは「中国の消費者は光速で進化しているが、ナイキはその2倍の速さと革新を消費者に届けなければならない。試験版“I-store”やそれに続くさまざまなプロジェクトで消費者をより深く理解することができる。“I-store”は、オンラインでもオフラインでも消費者の環境にに合わせてわれわれがテクノロジーを提供するベースとなる」と話す。

 マーケットリサーチ会社のインテル(INTEL)の調査では、17年末に中国BtoC、CtoCのオンラインでの売上高は6兆4000億元(約108兆8000億円)になると予想。しかし、中国人1人あたりのオンライン消費は総消費の45.7%まで増加するが、19年までこの数値は変わらないという。背景には、オンラインでのコト消費の増加と、消費者がオンラインとオフラインの融合を受け入れつつあることがある。

 「ここ10年ほど、オンラインと実店舗、どちらが勝つか話題になっているが、この戦争の勝者は“新小売”だ。今後70%の商取引が、実店舗的要素を含むようになる。アリババもアマゾン(AMAZON)もこの展開にいち早く気づいている。だからこそアマゾンはホールフーズマーケット(Whole Foods Market)を買収した」とサプライチェーンのコンサル企業、トンプキンズ インターナショナル(TOMPKINS INTERNATIONAL)のマイケル・ザッカー(Michael Zakkour)中国・環太平洋・グローバルEC部門バイス・プレジデントは語る。

 ダニエル・チャン(Daniel Zhang)=アリババCEOは「EC企業は実店舗へ、実店舗へECへと進出したがっている。情報テクノロジーをいかに取り入れることができるか、デジタルの変化にいかについていくことができるかに勝負がかかっている。歴史のあるなしは関係ない。その点では中国は他国に比べ、一歩先を行っている」と自信を見せた。