独EC企業ザランド（ZALANDO）が運営するファッション、音楽、食の祭典「ブレッド アンド バター（BREAD & BUTTER以下、B&B）」が9月1～3日にベルリンで開催され、3万人以上が来場。会場はほぼ満員だった。
同イベントでは限定商品約400点を用意した50のファッションブランドの他、新たにヘアサロンが出展。スポーツウエアブランドによるワークアウトセッションなども開催された。また、今回のイベントには「ヴィクター＆ロルフ（VIKTOR&ROLF）」「ザ・クープルス（THE KOOPLES）」「ジル・サンダー ネイビー（JIL SANDER NAVY）」を含む九つのランウエイショーや、「ヴィヴィアン・ウエストウッド （VIVIENNE WESTWOOD）」の展示会、ヴァージル・アブロー（Virgil Abloh）やヴィヴィアン・ウエストウッド（Viviennne Westwood）によるパネルディスカッションなども開催された。カルチャー面においては、M.I.A.、FKAツイッグス（FKA Twigs）、ワイクリフ・ジョン（Wyclef Jean）やDJらが登場しライブを披露。シンガポールの屋台料理でミシュランの星を獲得したホーカー・チャン（Hawker Chan）による料理も提供された。
カーステン・ヘンドリッヒ（Carsten Hendrich）＝ザランド ブランドマーケティング部門ヴァイスプレジデントは、同イベントを「マーケティングのためのラボの未来の姿」と形容。同イベントにおいて最も重要な点は、さまざまなことを試すことができるだということだという。「業界全体に再編成の波が押し寄せている。コミュニケーションはかつてと比べてどんどんコントロール不能になっているし、ソーシャルメディアによってブランドのメッセージは顧客に届きにくくなった。したがって、ブランドはコミュニケ―ションの方法をより鋭敏で革新的なものにしなければならない。ブランドとパフォーマンスマーケティングは共に成長しているため、どのチャネルが最終的に利益を上げるのか、どこで購買が起こっているのかを冷静に見極められなければならない」と述べた。
2年目を迎える同イベントでは、RFIDをショッピングツールとして初導入。会期中、RFIDが埋め込まれたリストバンドを装着した来場者は、現地で購入したアイテムをRFID経由で決済、イベント後に自宅に届けてくれるサービスなどを提供した。その他にも、会場中に設置された350カ所でストリーミングコンテンツを閲覧したり、会期中のイベントを予約する際にも活用できるようにした。
さらに、同社の発表によるとデジタル経由のアクセスは昨年から4倍に増加。フェイスブックのAR（拡張現実）フィルターやライブストリーム機能、その他のソーシャルメディアを通して、3日間で2650万アクセスを記録したと発表した。
「昨年も参加したが、前回からの進化にとても満足している。来年もぜひ参加したい」と「リーバイス」のスポークスウーマンは話した。また、限定シューズを販売し、ステージでワークアウトセッションを開催した「ナイキ」のスポークスパーソンも「消費者が『ナイキ』の何が好きで何が嫌いなのかを直接聞ける良い機会だ。イベントは軌道に乗っているし、ザランドは新しいことにチャレンジすることにとてもオープンだ」と語った。
同社は今年初めに、リアル店舗を主要都市にオープンすることを発表しており、「B&B」は同社にとってオフラインビジネスに足を踏み入れるきっかけとなったイベントで、ブランドとの関係構築の土台となったり、限定コラボ商品も増えたりした。また、前回出展したブランドの80％が再び出展しており、満足感の高さがうかがえる。
なお、「B&B」はかつてデニムやカジュアルウエアを中心とした業界向けの展示会だったが、ザランドが買収し、2016年から消費者向けイベントとして復活させたもの。
