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ノームコアからアスレジャー、ストリートまで 2010年代のファッショントレンドを振り返る

 2010年代のファッショントレンドは、ノームコアからストリートウエアに至るまで、世界中に広まった様々なサブカルチャーに影響を受けたものが多い。一方で、かつてファッションアイコンとして絶大な人気を誇ったダイアナ妃の時代を経て、現在はキャサリン妃やメーガン妃が英国王室の新たなファッションアイコンとして注目を集めるようになり、その人気によるフォーマルなトレンドも存在する。

 また、包括性や多様性など社会における重要な問題に関しても変化に向けて拍車がかかるなど、ファッション業界のカルチャーはこの10年間で大きくシフトしてきた。

 2010年代の終わりを迎えつつある今、この10年間を象徴するファッショントレンドを4つのカテゴリーに分けて振り返りたい。

1. フォーマルからアスレジャーへ

 2010年代はカジュアルなファッションが目立った。ブティック型フィットネスの人気が高まると同時に、よりファッショナブルなトレーニングウエアの需要も高まりを見せ、高品質な生地を用いた鮮やかな柄のヨガパンツやスポーツブラなど、スタイリッシュなワークアウトスタイルが巷に溢れた。

 「ルルレモン(LULULEMON)」「アスレタ(ATHLETA)」「バンディエール(BANDIER)」など、以前からあるブランドが勢いを見せる中で、2014年に設立された「アウトドアヴォイシズ(OUTDOOR VOICES)」などの新ブランドも登場するなど、アスレジャーファッションの市場はこの10年間で安定した成長を見せている。

2. 英国王室人気

 2010年代は、ケンブリッジ公爵夫人ケイト・ミドルトン(Duchess of Cambridge, Kate Middleton)やサセックス公爵夫人メーガン・マークル(Duchess of Sussex, Meghan Markle)が英国王室に加わった。ふたりの写真がインターネット上に出回ればその洋服が瞬く間に売り切れてしまうなど、その影響は絶大だ。

 また、ケンブリッジ公爵夫人が婚礼の際に着用した「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のレースの長袖のドレスや、サセックス公爵夫人が着用した「ジバンシィ(GIVENCHY)」のオフタートルのドレスも大きな注目を集め、複製品が数多く出回る事態となった。

3. サブカルチャーが主流に

 ひょっとしたら、2010年代に最も広まったトレンドは「トレンドに逆らうこと」だったのかもしれない。ファッションのサブカルチャーは、時にランウエイから発信される主流のトレンドを超える人気を博することがある。その代表的なものがノームコアやストリートウエアといったものではないだろうか。

・ ノームコア

 ノームコアは、型にはまったようなランウエイのスタイルや過度に飾り立てたデザイナー製品に対する対応策のようなものだった。このような主流のトレンドを横目に、“ファッショナブルでありながらも平凡でカジュアルな洋服を選ぶ”というノームコアが誕生した。

 ノームコアでは、ホワイト、ベージュ、グレー、ブラックなどの落ち着いた色合いで、ロゴや柄のない服が好まれる。代表的なスタイルは、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)が着用していた「イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)」の黒いタートルネックに「リーバイス(LEVI’S)」のジーンズ、そしてグレーの「ニューバランス(NEW BALANCE)」を履いたシンプルなコーディネートだろう。

・ ストリートウエア

 ストリートウエアは2010年代に限ると真新しいトレンドとは言えない。元をたどると1970年代後半から80年代初頭にかけてロサンゼルスやニューヨークで広まったサーファー、スケーター、ヒップホップのカルチャーが原点だと言える。

 しかし、2010年代になって「ステューシー(STUSSY)」「シュプリーム(SUPREME)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」などのブランドがストリートのスタイルに勢いを加えたことで熱狂的なファンが増加した。「シャネル(CHNEL)」などのラグジュアリーブランドもランウエイでスニーカーなどのストリートウエアを取り入れる動きが見られるなど、この10年間でストリートウエアの人気が確立されたことがうかがえる。

4.包括性と多様性がより一層注目を集めるように

 2010年代のファッション業界を語る上で包括性や多様性に対する大きな動きを無視することはできないだろう。この10年間でブランドやデザイナーたちはすべての人種、性別、体形、年齢の人びとに開かれたファッションビジネスを目指してきた。

 中でも「クロマット(CHROMAT)」は、ブランドの創設以来、プラスサイズ、トランスジェンダー、妊婦、肢体の切断手術を受けたモデルたちを積極的に起用し、包括性や多様性を重視した活動を展開してきた。