ファッション

ITでは情報も循環、ファッションも資産をリサイクルせよ ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.12「理想は廃棄ゼロ 新基準は循環型ファッション」

読み解きポイント:ファッションは価値ある資産と考えることが出発点

ニュースのポイント

 地球環境への負荷を減らし、循環型ファッションを実現するために、製造段階から廃棄物を減らすこと、商品寿命を伸ばすこと、修理、レンタル、リセールなど含めたビジネスモデルを考える必要がある。そこに新しいビジネスチャンスが眠っている。また、法規制のある「回収」も課題であり、廃棄物でなく資源として扱う必要もある。デザイナーは製品だけでなく、仕組みも含めデザインする必要があり、役割の幅が広がってきている。

CKRはこう読む!

 「ファッションは、価値ある資産である」ということ。循環型ファッションに向き合う際、初めに考えるべきことではないでしょうか。

 IT業界にいるとよく耳にする言葉が、「情報」は「ヒト」「モノ」「カネ」に続く、第四の経営資源である、ということです。

 そのため、サービスやシステムを設計する際、必ず情報資産の規定を行います。「取り扱う情報」をすべて洗い出し、「情報一つひとつのオーナー」を明らかにした上で、資産の重要度をラベル付けします。

 次に、情報には「生成」「利用」「保存」「廃棄」と循環するライフサイクルがあると考えます。それぞれの過程で、安全かつ使い勝手よく、資産価値を維持できるよう、設計を行います。企画、開発の段階で、廃棄まで見通して「資産である情報を、どのように取り扱うか」のデザインを求められるということです。ITは、情報という物理的実体のないものを取り扱うため、アパレルと違う側面もあります。しかし、「取り扱うものが、価値ある資産である」という前提に立つからこそ、循環型プロセスに向き合うことができるのではないでしょうか。

 ユニクロ(UNIQLO)のように、企画、製造、流通、販売すべてのプロセスを一社で担っていない場合、仕組みまでデザインすることは難しいと思うかもしれません。ITの場合も、各プロセス、別々の会社と協力しながら、サービスやシステムを作り上げることは多々あります。その際、「信頼性」を確保するため、管理プロセスを認証された企業と取引を行ったり、取引先が委託する会社まで含めた形で、情報管理を規定することもあります。

 また、活動が閉鎖的になって生産性が低下しないよう、たとえばプロジェクトに途中から参加する人にとっても、オープンな環境を整備しておくことも大切です。循環型が叫ばれる今、ファッション業界でも、ITのフレームワークを取り入れるところが増えてくるかもしれません。

 「貨幣、お金」という経営資源を通じて向き合ってきた「経済活動」を、もう一段広げ、自分たちが関わるさまざまな資産、資源を通じて、人間、社会、地球について、尊重と信頼感をもって向き合うことが、今という時代感なのかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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