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EU離脱騒動で、UKが観光客のショッピング天国に?

 EUからの離脱を発表して以来、イギリスがラグジュアリー・ブランドを安く手に入れようとするバーゲン・ハンターや観光客にとってのショッピング天国になろうとしている。仏投資銀行のエクサンBNPパリバ(EXANE BNP PARIBAS)のレポートよると、EU離脱を発表した6月23日、ポンドはドルに対し一時10%下落し、過去31年で最低の値を記録した。以降のポンド安基調は、海外からイギリスを訪れる観光客の購買意欲をかき立てている。

 これは、アジア市場が特に苦戦しているバーバリー(BURBERRY)にとって朗報だ。一方で、上半期の売上高の10%はフランス市場が占め、今後観光客がイギリスに流れることが予測されるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENESSEY LOUIS VUITTON)などの企業にとっては大きな影響があるとみられる。エクサンBNPパルバとデロイト(DELOITTE)の共同発表によると、6月時点でラグジュアリー・グッズは中国市場において世界平均より20%高く、イタリアでは17%安かった。同じ調べでは現在、英国は最低でも20%安いと見ている。また、レザーグッズなどを扱うラグジュアリー・ブランドは平均して全世界の店舗のうち4.5%を英国内に構え、中でも「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」は6%にも上るという。他にも「バーバリー」「マルベリー(MULBERRY)」「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」「チャーチ(CHURCH'S)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」といった英国ブランドも英国内にたくさん出店しており、売上高をポンドで計上しているこれらのブランドは、下半期に為替の追い風を受け、外国人にとって魅力的な価格で商品を提供できる可能性が高い。ポンド安の前、「マルベリー」の英国における商品の平均価格はグローバル平均価格の812ドル(約8万6000円)に対し797ドル(約8万4000円)だった。「バーバリー」も英国の平均価格はグローバル平均より46%低かった。

 キャロル・フェアウェザー(Carol Fairweather)=バーバリー最高財務責任者(CFO)は先月、2017年の業績予想に関して、ポンド安により小売りおよび卸しの利益が9000万ポンド(121億5000万円)伸びると発表した。5月に発表した5000万ポンド(約67億5000万円)から大幅に上方修正する結果になった。フェアウェザーCFOは「われわれはグローバルな価格戦略を掲げている。為替が落ち着いてから適切な価格調整をする予定だ」とコメント。一方、ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean Jacques Guiony)LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンCFOも価格調整は検討中だと語り、「現状のグローバル環境はとても厳しい。為替変動に関しては、長期的な計画のもと価格調整を行う必要がある」とコメントした。

 為替の影響で今後、中国人観光客がどれほど英国に旅行するかはまだわからない。しかし、RBCキャピタルマーケット(RBC CAPITAL MARKET)のロッジェーロ・フジモリ(Rogiero Fujimori)は中国の国内消費を促す施策により、海外での消費は低迷すると分析する。「長期的には、今後各国間の税の均衡が取れるようになれば、中国国内の消費が増えるだろう。また、ラグジュアリー・ブランドが地域間の価格差を埋めようとするプレッシャーも少なくなる」。

JOELLE DIDERICH 

訳 北坂映梨

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