ファッション

映画「007」シリーズを彩ってきた「デヴィッド モリス」 3代目に聞く名門ジュエラーの継承と成長戦略

PROFILE: セシリー・モリス / 「デヴィッド モリス」ブランド&リテール・ディレクター

セシリー・モリス / 「デヴィッド モリス」ブランド&リテール・ディレクター
PROFILE: 創業一族3代目。1993年ロンドン生まれ。ロンドン芸術大学で写真を学んだ後、2016年デヴィッド モリスに入社。祖父のデヴィッド、父ジェレミーからジュエリークリエイションやビジネスについて学ぶ。25年から現職。クリエイション、マーケティング、販売など全てに携わっている

イギリス発「デヴィッド モリス(DAVID MORRIS)」は、現在では数少ない一族経営の知る人ぞ知るジュエラーだ。同ブランドは、デヴィッド・モリスが1962年にロンドンで創業。その翌年に「デビアス・ダイヤモンド・インターナショナル・アワード」を受賞し、世界中から注目を浴びた。1971年の映画「007/ダイヤモンドは永遠に」に彼がデザインしたジュエリーが登場し、その名声を確実なものとする。美しい色彩と独創的なデザインが際立つジュエリーを提案し、王室やセレブリティーかを顧客に持つ名門ジュエラーとして歩み続けている。日本では、2024年からナガホリが輸入販売を手掛けている。来日した、3代目のセシリー・モリス「デヴィッド モリス」ブランド&リテール・ディレクターに話を聞いた。

熟練職人が手掛ける実験的で遊び心ある色彩のジュエリー

WWD:今回の来日の目的は?

セシリー・モリス「デヴィッド モリス」ブランド&リテール・ディレクター(以下、セシリー):髙島屋主催の外商イベント「薔薇会」に参加するため。新作ハイジュエリーの紹介を通して、既存顧客や新客との関係を構築するのが目的だ。今までも外商顧客向けのイベントに定期的に参加しているが、今回は、今までにない規模のコレクションを紹介する。

WWD:ブランドの哲学は?他のジュエラーにない強みは?

セシリー:現在も家族経営であることが強みだ。また、われわれが提案するジュエリーは、大胆で実験的、遊び心に富んだ色彩が美しく他にはないデザイン。それを実現する高度なクラフツマンシップも大きな強みだ。ボンドストリートのブティックの上にある自社アトリエでは、約15人の職人がジュエリーの制作を手掛けている。職人の多くが30年以上の経験があるベテランばかりだ。「デヴィッド モリス」のジュエリーには、われわれ一族が築いてきた伝統と技術が息づいている。

鋭い審美眼とビジネスセンスで名門ジュエラーに

WWD:祖父がジュエラーとして起業した背景は?

セシリー:祖父は非常にクリエイティブな人で、セントマーチン美術大学でデザインを学んだ。ジュエリービジネスを始めたきっかけは、祖母の親しい友人からの勧めだ。彼女は、祖父の特殊な能力を見抜き、ジュエラーとして起業するように提案したという。祖母も、とてもファッショナブルな人で、父と共にブランドの運営に携っていた。

WWD:起業して間も無く王室やセレブリティーに支持されるブランドになったのは?

セシリー:祖父はジェムストーンに対する鋭い審美眼があり、実験的なデザインで注目を浴びるようになった。彼はビジネスにも長けており、人脈や販路の構築が得意だった。ジュエラーとして歩む一方で、「デヴィッド モリス」の看板で複数の時計やジュエリーを販売する小売店を「ハロッズ(HARRODS)」や「ハーヴェイ・ニコルズ(HARVEY NICHOLS)」、「セルフリッジズ(SELFRIGES)」といった百貨店へ出店し、ブランドの認知度アップおよび販路の拡大に成功した。一方で、「デヴィッド モリス」のコンデュイット・ストリート店では自社ブランドだけを販売し、ハイジュエリーを王室や顧客に提供していた。

WWD:3代目として受け継いでいるブランドバリューは?

セシリー:ジュエリー1点、1点を顧客に届けるまでの過程全てを大切にしている。30年以上にわたり顧客からの信頼を得られていることこそが、ブランドの本質的な価値だと考える。クリエイションにおいては、他のブランドと一線を画すような、個性の際立つアバンギャルドなデザインを追求し続けている。

あらゆる需要に応えられるトップジュエラーを目指す

WWD:売れ筋商品は?

セシリー:ブランドのアイコンは、来年25周年を迎える“ローズカット”コレクション。クラシックからモダンまで幅広いスタイルに対応できるのが特長で、ブライダル用としても人気がある。“ミス・デイジー”は、日常使いしやすい繊細でフェミニンなデザイン。エントリー価格帯のコレクションで人気が高い。

WWD:世界での店舗数は?主要市場は?

セシリー:現在、イギリスやフランス、モナコ、中東、日本で15店舗を展開している。主要市場はブランドの認知度が高く、店舗が多い中東だ。自社ECをはじめ、「ファーフェッチ(FARFETCH)」や「Tモール(TMall)」なども重要な販路だ。

WWD:日本市場における戦略は?

セシリー:2025年春に、アジア初のブティックを髙島屋大阪店内にオープンした。今後は、パートナーであるナガホリや髙島屋と連携をとりながら、ブランドの歴史やクラフツマンシップを丁寧に伝え、顧客との信頼関係を深めていきたい。日本向けのウェブサイトの構築や、日本限定品の展開も予定している。

WWD:今後、ブランドをどのように成長させたいか?

セシリー:レッドカーペットなどのセレブによる着用によりブランドの存在感を高めていくのはもちろん、より多くの人にブランドを知ってもらい、トップジュエラーとしての地位を確立したい。特に、エントリーから中価格帯の強化を図り、男性にも訴求する商品の開発などを通して、あらゆる需要に応えるブランドにするつもりだ。15日には、私が初めて手掛けた“トリオレット”コレクションを発売する。幾何学モチーフを用いたモダンで汎用性の高いデザインなので、重ね付けしてデイリーに楽しんでほしい。

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