米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)は、保有する米バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK以下、バーニーズ)がニューヨーク・マディソンアベニューに構えていた旗艦店の復活を検討しているようだ。米「WWD」など複数の海外メディアが情報筋の話として報じた。本件について、ABGはコメントを差し控えるとしている。
ABGは、2019年8月に経営破綻したバーニーズを同年11月に2億7140万ドル(約431億円)で買収。これに伴い、旗艦店を含む全店をクローズした。その後、カナダの小売り大手ハドソンズ・ベイ(HUDSONS BAY、現サックス・グローバル)とライセンス契約を締結し、その傘下である米百貨店サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE以下、サックス)のマディソンアベニュー旗艦店およびコネチカット州グリニッジ店でインショップ業態の“バーニーズ・アット・サックス(BARNEYS AT SAKS)”を展開。米国におけるバーニーズの運営権はサックスが独占的に保有していたが、26年1月にサックス・グローバルが日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用を申請したことにより、その契約は解消されている。
このため、旗艦店の営業を再開する場合は新たに運営会社を探す必要があるが、情報筋によれば、ABGはすでにその調査に着手しているという。また同社のジェイミー・ソルター(Jamie Salter)会長兼最高経営責任者(CEO)は、旗艦店の運営トップの候補として、エルメネジルド ゼニア グループ(ERMENEGILDO ZEGNA GROUP)の北米事業を率いていたリチャード・コーエン(Richard Cohen)元社長兼CEOに連絡を取ったという話もあるようだ。なお、同氏はサックスで事業開発に携わった経験も有している。
また、旗艦店の復活とは別に、ABGは米国内でバーニーズの小型店のオープンを計画しているともいわれているが、ロケーションなどの詳細は不明だ。
「バーニーズ」閉店を惜しむニューヨークの富裕層
バーニーズは、1923年の創業。新進ブランドやデザイナーを数多く発掘し、ハイブランドを中心としたファッション専門店として世界的に知られたが、96年および前述した2019年に経営破綻。後者の主な理由はマンハッタンの賃料の高騰だが、事業拡大により顧客層が合わない地域にも出店したことも一因とされている。一方、ニューヨークの富裕層の間では、マディソンアベニュー旗艦店の閉店を惜しむ声は今でも根強くあるという。なお、同旗艦店はおよそ2万㎡とかなりの広さだが、閉店以来、ポップアップや展覧会などのイベントで一時的に使用される以外は空き家となっている。
日本ではラオックスの傘下
日本では、1989年に伊勢丹(現三越伊勢丹ホールディングス)が米バーニーズと業務提携し、バーニーズ ジャパンを子会社として設立。翌年に新宿に1号店を構えた。2006年に住友商事と東京海上キャピタル系の投資会社へ譲渡。2013年にセブン&アイ・ホールディングスが東京海上キャピタル系の投資会社から、15年には住友商事から株式を取得して完全子会社化した。21年2月、新宿店が閉店。23年5月、ラオックスホールディングスがバーニーズ ジャパンの全株式を取得し、子会社化している。