「ラブブ(LABUBU)」をはじめとする「ザ・モンスターズ(THE MONSTERS)」シリーズを手掛ける香港出身のアーティスト、カシン・ロン(Kasin Lung)は、2026年3月21〜22日に開催予定の「コンプレックスコン(ComplexCon)」香港の第3回アーティスティックディレクターに任命された。
「コンプレックスコン」は世界最大級のストリートカルチャーとポップカルチャーの祭典。同祭典のボニー・チャン・ウー(Bonnie Chan Woo)最高経営責任者兼創設者は、ロンの任命について「想像力には魔法がある。ロンがこの世界を表現する手法(つまり)感情や記憶、驚異から紡ぎ出された絵画のような世界観は圧倒的な力を持っている」とコメントした。
「私たちの心に深く響き、これからも間違いなくインスピレーションを与え続ける物語作家と共に再び開催できることを嬉しく思う。彼のキャラクターと物語が紡ぐ世界観は、芸術と創造性を長年受け入れてきた文化を体現し、彼の想像力が、次の『コンプレックスコン』香港をどこへ導くのか、世界中が待ちきれないだろう」と続けた。
ロンは「2026年開催の『コンプレックスコン』香港において、芸術監督を務め、この素晴らしいイベントに『ザ・モンスターズ』の一員として参加できることを大変嬉しく思う。皆様のために準備してきたワクワクする体験を、早くお伝えしたい」と語った。
本祭典の香港における過去の芸術監督には、日本人アーティストのVERDYとアメリカ人アーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)が務めた歴史がある。
今年初めに開催されたコンベンションには3万5千人以上の来場者が集まり、150以上のブランドやクリエイターと交流した。主催者は、ロンの指揮によりフェスティバルが新たな興奮を生み、地元の芸術性と世界的な影響力を結びつける創造性を称えるものと期待している。
ロンは2015年に「ザ・モンスターズ」ユニバースを創出し、キャラクターを生み出してきた。香港・観塘区(かんとうく)にあるデザインプロダクション「ハウトゥワーク(HOW2WORK)」は、「ザ・モンスターズ」シリーズのキャラクターのプラスチック製フィギュアの大半を製造している。ロンは2011年に児童向け絵本シリーズとフィギュアを発売した。それに伴い、「ハウトゥワーク」と書籍イラストレーターとしての活動を開始した。
19年には中国の玩具メーカー「ポップマート(POP MART)」とライセンス契約を締結。同メーカーの人気シリーズと同様に、いたずらっぽい表情の「ラブブ」はふわふわのぬいぐるみやブラインドボックス商品となった。ロンは以前、米「WWD」に対し、「モンスターズ」シリーズの“脇役”である「ラブブ」が世界的な現象となったことに驚いていると語った。彼自身の言葉によれば「物語は本当に、本当に暗い。子ども向けではないが、子どもでも読める」とのことだ。