
マッシュグループは2026年8月期に連結売上高1500億円を計画している。達成すれば、25年8月期(1363億円)から約10%の増収となる見通しだ。近藤広幸社長が“伸びしろのひとつ ”として注目するのが、中国を中心とした海外事業である。
25年8月期の海外売上高は同21%増だった。全店舗数は純増91店舗となり、830店舗(25年8月末時点)に拡大した。ここに寄与したのが、中国におけるパートナー企業の買収であり、今後の中国再攻勢に向けた大きな布石となる。
「中国では知らない女性の方が少ない」
買収したパートナー企業は、2008年のマッシュブランドの中国進出時から店舗運営代行を手がけてきたほか、自社ブランドとして「ヴィヴィニコ(IIIVIVINIKO、以下ヴィヴィニコ)」を展開。フェミニンな中にもモード感を感じさせるデザインが特徴で、中国のリアルクローズ市場では高価格帯に位置する。中国SNS「レッド(RED)」では約2万フォロワー、「ウェイボー(WEIBO)」では約2万2000フォロワー、「タオバオ/Tモール」では約70万フォロワーを抱えるなど、現地の高感度女性を中心に高い認知を獲得。中国国内に58店舗(直営24、フランチャイズ34)を展開しており、マッシュは同社を25年8月期中に吸収合併して「上海嘉趣実業発展有限公司」を発足、これらの売上と店舗を連結に組み込んだ。マッシュは中国では「スナイデル」「ジェラート ピケ」を主軸に展開してきたが、近藤社長曰く「『ヴィヴィニコ』は中国では知らない女性の方が少ないほどの影響力を持つブランド」であるとし、今後の中国戦略の新たな柱として期待を寄せる。
中国市場は、不動産不況の長期化によって消費マインドが冷え込み、現地で展開する「スナイデル(SNIDEL)」の成長も一時的に鈍化していたが、近藤社長は「今期(26年8月期)は中国を中心に『スナイデル』の海外出店を再開する。グループとして、ここからが本当の第二次成長フェーズだ」と意気込む。「さらに長年のパートナーを買収したことによって、これまでFC運営に委ねていた内陸部の店舗を自社直轄で運営できるようになった。成長スピードを一段と加速させたい」。