「グッチ(GUCCI)」はこのほど、“エンドレス・ナラティブ(Endless Narratives、無限の物語)”と名付けた新たなウィンドーコンセプトを発表した。これは単なるウィンドーディスプレーではなく、オブジェやさまざまなアイデア、ブランドの物語などが織りなす、無限の可能性を表現するものだという。
ウィンドーに設置した深いブルーグリーンの鏡張りのブックシェルフには、書籍や小さな彫像、「グッチ」のアーカイブモチーフを象ったブックエンドなどを並べ、ブランドのクリエイティブな世界観を表現。光と鏡の相互作用により、ウィンドーの中にどこまでも続くように見える詩的な空間を生み出した。
また、本コンセプトでは著名なイタリア人アーティスト、ルカ・ピニャテッリ(Luca Pignatelli)とのコラボレーション作品も取り入れた。同氏が手掛けた80点の作品は、銅版画の技法やコラージュによって日常的なマテリアルを意味のあるオブジェへと変容させ、“エンドレス・ナラティブ”に芸術的な深みをもたらしつつ、「グッチ」のウィンドーが表現するテーマ“永続性と進化”と共鳴。ほかのオブジェとの組み合わせにより、無限の解釈を呼び起こす狙いがあるという。
「ブランディングに関する非常に重要なプロジェクト」
1月1日付で就任したグッチのステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)新最高経営責任者(CEO)は、「これはブランディングに関する非常に重要なプロジェクトだ。ウィンドーコンセプトを通じてブランドのイメージをより全体的に提示し、そのアイデンティティーにスポットライトを当てている。1921年の創業以来、卓越したラグジュアリーを定義してきたブランドとしてのポジションを再確認しつつ、次の100年においても引き続き業界を形作る存在であることを表現した」と説明。「ブックシェルフは、幅広く多様な要素を織り込みつつ、『グッチ』の世界観やストーリーを伝える独自のプラットフォームとして機能する」。
ブックシェルフに置かれたさまざまなオブジェは、通行人や顧客が思わずウィンドーを覗き込みたくなるようにする仕掛けだという。同氏は、「小売店のショーウィンドーは静的であることが多いが、よりダイナミックかつイマーシブな体験へと変えていきたい。さまざまな意味を持つオブジェやアイデアの中に『グッチ』のアイコニックなアイテムや新作を置き、それらが交じり合うことで、商品のストーリーはさらに豊かになる。このプロジェクトは、ラグジュアリーリテールの可能性を拡大するもので、先進的なビジョンをタイムレスな表現で提示している。伝統と革新をシームレスにブレンドする『グッチ』らしいものだ」と語った。
ほぼ全ての直営店に導入
「グッチ」は世界で500以上の直営店を運営しており、新コンセプトによるウィンドーディスプレーは順次展開していく。まず、ミラノ、パリ、ロンドンの旗艦店からスタートし、1月中にその他の欧州、中東、北米、南米、日本、韓国のほか、オーストラリアとニュージーランドの一部の店舗にも導入する。2月には、香港とマカオを含む中国の店舗に拡大する予定。
同氏は、「この新たなウィンドーコンセプトは、過去のコンセプトと比べて2倍以上の規模で展開し、ほぼ全ての直営店に導入する」とコメント。店舗ごとにディスプレーは少しずつ異なるほか、商品やコレクションによってオブジェなども随時入れ替え、コンセプトの鮮度を保つという。「現地の雰囲気やカルチャー、コンテクストに合わせて変えられるのがこのコンセプトの強みの一つ。各店のウィンドーをダイナミックなカンバスとし、グローバルでのナラティブを維持しつつ、ローカルの豊かなカルチャーを反映できる。各国の顧客とのつながりをいっそう強化し、『グッチ』ブランドの世界規模での共鳴をさらに増幅するだろう」。