アラン・デュカスと「七賢」は2021年に協業でフランス料理にも合う日本酒“アラン・デュカス スパークリング・サケ”を制作。世界の美食家から高い評価を得て、昨年開催されたG7広島サミットでもオフィシャルドリンクに採用された。それに続くのが“アラン・デュカス サステナブル・スピリッツ”だ。日本酒の搾り粕を使用したスピリッツだが雑味は全くなく、パイナップルや青リンゴ、白ブドウが香る大吟醸のような味わい。それを、産地の違うカカオに練り込んだのが今回登場したチョコレートだ。赤いフルーツのような酸味のあるマダガスカル産、カカオ自体のストレートな味が特徴のペルー産、スモーキーなジャワ産3種類のカカオと華やかですっきりしたスピリッツの風味が融合し、クリーミーで奥深い味わいが楽しめる。価格は3780円。「ル・ショコラ」東京工房・六本木店や「七賢」直営店、公式オンラインショップなどで販売する。
世界のトップシェフと13代目が率いる酒蔵に共通する物作りの哲学
「ル・ショコラ」六本木店で開催されたイベントでは、デュカス・パリのジャンフィリップ・ザーム日本代表CEOと「七賢」の13代目である山梨銘醸の北原対馬・社長、「ル・ショコラ」のパトリック・パイエー東京工房エグゼクティブ・シェフ・ショコラティエ&パティシエが登場。パイエーは、「酒粕の華やかさやスピリッツそのものを表現するよう試みた。ワインや酒のテイスティングをするように3種類の味わいを楽しんでほしい」と語った。
北原社長は、「国内における日本酒の消費量は1973年の4分1になった。一方で、輸出量はここ10年、右肩上がりだ。スピリッツとチョコレートは相性がよく、お酒を飲まない人にも楽しんでもらえる」とコメント。しかも、廃棄される酒粕を使用して作られているため、環境にも優しい。世界的なシェフであるデュカスが「七賢」を選んだ理由についてザームCEOは、「デュカスは親日家でずっと日本酒を手掛けたいと思っていた。だが、普通の日本酒ではダメ。彼自身が愛する山梨のテロワールで作られる『七賢』の酒蔵を訪問し、物作りとその哲学、それを取り巻く自然環境まで、時間をかけて語り合い、お互いに認め合って、コラボレーションが生まれた」と述べている。単なるブランディングではなく、2社で一緒に開発することが大切だったという。そした誕生したのが、世界の美食家が認める酒だ。10月には「ベージュ アラン・デュカス 東京」を皮切りに世界各地のデュカスのレストランで、共同開発した日本酒とスピリッツとの特別ペアリングイベントが開催され、大好評だったという。北原社長は、「継承と革新を軸に、グローバルスタンダードで酒蔵としてできることをやっていく。コラボを通して日本酒と日本文化の素晴らしさを世界の美食家に伝えたい」と語った。