日本人デザイナーの顔出しNG率は、世界的に見てもなぜか高い。デザイナーズブランドにとって、作り手自身の個性はファン獲得にもつながり、クリエイション一本勝負よりも間口は広がりそうなのに―そう考えた記者は、デザイナーを集めた座談会を実施。殿堂入り級の顔出しNG「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」からガードゆるめの顔出しNG「コウタ グシケン(KOTA GUSHIKEN)」、できれば顔出しNG「ミスターイット(MISTER IT.)」、新人顔出しNG「ユース オブ ザ ウォーター(YOUTH OF THE WATER)」という4タイプのデザイナーに、素顔を公開しない理由を真面目に聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月19日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
参加デザイナー
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小塚信哉/「シンヤコヅカ」デザイナー
PROFILE:1986年生まれ。2013年にセント・マーチン美術大学を首席組で卒業後、15年にブランド立ち上げ。22年春夏シーズンにリブランディングし、東京・南青山に直営店も開いた。今年8月には阪急メンズ東京6階にも常設店をオープン
具志堅幸太/「コウタ グシケン」デザイナー
PROFILE:1992年生まれ。セント・マーチン美術大学のファッションデザイン・ニットウエア科の卒業コレクションが反響を呼び、2016年に卒業後は自身のアイテム製作を始める。19-20年秋冬シーズンにニットウエアブランドとして本格スタートした
砂川卓也/「ミスターイット」デザイナー
PROFILE:1986年生まれ。エスモードパリを首席で卒業後、2012年にパリの「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」に入社し、メインコレクションとオートクチュールにあたる“アーティザナル”のチームに15年まで在籍した。18年に「ミスターイット」を始動 PHOTO : KO TSUCHIYA
上田碧/「ユース オブ ザ ウォーター」デザイナー
PROFILE:1995年生まれ。パーソンズ美術大学や文化服装学院でファッションデザインを学び、コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)に入社。「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」のパタンナーを約5年間務めた後、2024-25年秋冬シーズンに自身のブランドを立ち上げた
「想像する余白ができる」
WWD:まずは顔出しNGの理由を教えてください。
具志堅幸太(以下、具志堅):この企画、僕たちをイジってません?
WWD:いいえ、真剣な企画です。
小塚信哉(以下、小塚):僕は、まず恥ずかしいから。ランウエイショーのフィナーレに登場するなんて自分には無理。それと、何ごとも知りすぎるのは良くないと考えているタイプなので、情報をある程度さえぎった方が、受け取り手が想像する余白ができると思ったので。
砂川卓也(以下、砂川):僕は完全にNGではないものの、積極的には出していません。理由は、自分をあまり“デザイナー”だと思っていないからかも。もともと職人気質なので、デザイナーとして前に出るのがしっくりこないというか。ただ、人と話すのは好きだし、気難しいと思われなくないのでデザイナーと名乗ってはいますけれど。
具志堅:僕も最初からNGではなかったんですよ。でも写真を撮られるのはずっと恥ずかしくて、撮影を一度お断りしたら意外とすんなり通ったんです。「あ、出なくてもいいんだ」となり、それから出さなくなりました。自分が作ったものやブランドの知名度が広がるとうれしいんですけど、僕自身が有名になりたいわけじゃないんです。
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