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特集 CEO2024 ファッション編

【ZOZO 澤田宏太郎社長】キングZOZO、「似合う」をいよいよ搭載

PROFILE: 澤田宏太郎/ZOZO社長兼CEO

澤田宏太郎/ZOZO社長兼CEO
PROFILE: (さわだ・こうたろう)1970年12月15日生まれ、神奈川県出身。早稲田大学理工学部卒業後、NTTデータに新卒入社。その後NTTデータ経営研究所、経営コンサルのスカイライトコンサルティングを経て、2008年5月スタートトゥデイコンサルティング代表取締役に就任。13年6月にZOZO取締役、19年9月から現職 PHOTO:TAMEKI OSHIRO

ZOZOは2022年3月期で商品取扱高(GMV)を5000億円の大台に乗せた後も、順調に成長を続けている。「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」を掲げ、売るだけでなく独自の受注生産モデル「メイドバイゾゾ」など、新たな事業も軌道に乗りつつある。「似合う」の解明も進み、今年には実装に着手する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

「似合う」の解明でファッションECは、新たなステージへ

WWDJAPAN(以下、WWD):2023年を振り返ると?

澤田宏太郎社長兼CEO(以下、澤田):社長就任後に「ファッションのことならZOZO」と「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」の2つを掲げた。ブランドの在庫リスクゼロを目指す「メイドバイゾゾ」、ブランドの実店舗の売上支援の「ZOZOMO」など、単に売るだけでなく「作る」「伝える」「届ける」に関する新事業を順調に拡大できた。中でも、最も手応えを感じているのが「似合う」の解明だ。22年12月に東京・表参道にオープンした「似合うラボ」で、テクノロジーとスタイリストの力を掛け合わせて1年以上運営してきた。ユーザーのリアクションはかなりよい。それ以上に、「似合う」についてかなり深い分析ができるようになった。

WWD:そもそも「似合う」に着目した発想自体、ZOZOらしい取り組みだった。

澤田:「似合う」という感覚は、いろいろな要素が複雑に絡み合って成立している。ロジックはかなり深いところまで解明できた。今はすでに、このロジックを生かしてZOZOのサービスにどう実装するか、というところまで来ている。今春には何かしらのアウトプットができそうだ。

WWD:商品単価は7四半期連続で、出荷単価は6四半期連続で上昇している。

澤田:商品単価は、じわじわと上がり続けているが、現時点では売れ行きに影響していない。今後については、どこまで価格上昇が続くと売れ行きに影響しそうか、社内では仮説を立ててシミュレーションもしているが、はっきりしたことは分からない、というのが正直なところ。ただ、今後も継続的な成長を続けるためには、より積極的な仕掛けが必要になる。

WWD:具体的には?

澤田:例えば、ユーチューブ向けの動画広告を打つと、10代後半から20代前半、つまりZ世代からのリアクションがとてもいい。実際にボリュームとしてもここはまだまだ深掘りできるし、「ファッション」を打ち出す限り、このゾーンの取り込みは数字以上に重要だ。あとはキッズ。取扱商品数は多いのにユーザーへの認知度が低い。ママ&パパ世代にきちんとアピールできれば、まだまだ深掘りできる。引き続き、ユーザーやマーケットをよりきめ細かく分析し、積極的にプロモーションを行う。

WWD:コスメは?

澤田:23年3月期で90億円、今期で100億円の大台は見えている。昨年には「口コミ」機能も実装し、順調ではあるが、今年はもう少し加速させたい。コスメは服以上に画像を見ただけでは売れない商材。次は300億〜500億円を目標に、そろそろコスメスタート時に導入した「ZOZOグラス」のようなテクノロジーを生かした仕掛けが必要だと感じている。サイトにアクセスして楽しめる部分で何か仕掛けられたらと思っている。

WWD:つくばの物流倉庫に100億円を投じた。つくばの物流倉庫「ZOZOBASEつくば3」が本格的に稼働した。意外だったのが、処理数を増やす以上に、効率化を重視していたこと。その狙いは?

澤田:投資額は大きいが、投資回収効率も高い。「ポケットソーター」やロボットなどの最先端のツールも導入し、自動化・省人化を進めた結果、人員数を3割ほど減らすことができた。現時点ではアルバイトの募集をかければ順調に集まるが、人手不足は構造的で慢性的な問題だ。それにモチベーションの維持など、人数も多いためマネジメントや運営の負担が大きい。なので省人化の効果は、3割という数字以上に、業務効率の改善面でポジティブな効果がある。

WWD:「物流2024年問題」への対応は?

澤田:ZOZOはユーザーと物流会社の間に立っているわけで、現在の物流の抱える問題を、きちんとユーザーや消費者に伝えた上で、ZOZO・物流会社・消費者の3者にとって最適な解決方法を提案していく立場だ。こうした問題は、小さな積み重ねが大事になる。「つくば3」でトラックの待ち時間の短縮をしたり、昨年は「置き配」をデフォルト設定にした。

WWD:「物流2024年問題」は、ファッションやビューティ業界全体としても取り組むべき課題だ。アパレルやコスメ企業との取り組みは?

澤田:まだ検討を始めた段階だが、アパレル企業とはいわゆるミルクラン方式(巡回集荷)の共同配送ができないか、と思っている。今はZOZOの倉庫に製品を入庫する際に、アパレル企業がそれぞれの自社倉庫からバラバラに配送している。トラックは帰りにカラで戻ることになり、効率が悪い。ZOZO側でトラックを手配し、巡回して集荷するようにできればかなり効率的だ。もちろんブランド側にもそれぞれの事情があり、すぐに実現できるわけではないが、これはわれわれが声を上げないと動かない。こうしたことを積み重ねていく。

会社概要

ZOZO

1998年に輸入レコードの通販を目的にスタート・トゥデイ(現ZOZO)を設立。2000年1月に輸入レコードのオンライン通販を開始、04年12月「ゾゾタウン」スタート、07年12月東証マザーズに上場、12年2月東証一部(現東証プライム)に変更、19年9月にヤフー(現LINEヤフー)の傘下入りを発表。23年3月期の業績は商品取扱高5443億円、売上高1834億円、営業利益564億円、経常利益567億円、純利益395億円。従業員数は1677人(平均年齢33.2歳、23年9月時点)

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