ファッション

ファミマ「コンビニエンスウェア」前代未聞のファッションショー 加盟店スタッフもモデルに

ファミリーマートが販売するアパレルブランド「コンビニエンスウェア(CONVENIENCE WEAR)」は、初のファッションショーを東京・代々木第二体育館で11月30日に開催した。大型イベント「ファミリーマートフェス(FAMILY MART FEST)」の一環で、会場にはファッション関係者のほかに、一般応募から当選した100人と、ファミリーマート加盟店の関係者約800人も来場した。

遊び心ある着こなしで
洋服の“ワクワク”伝える

ショーでは、新作を含む約50型、80体のルックを披露した。代名詞であるソックスやTシャツ、ショーツ、ウインドブレーカーといった既存アイテムに加えて、12月5日から全国販売するスエット素材のトレーナーとフーディー、パンツも登場。さらに、同じく5日から麻布台ヒルズで限定販売するデニムジャケットやジーンズ、フリースのプルオーバー、ベンチコート、ワークジャケット、クルーネックセーター、カーディガンなども公開した。

バリエーションは豊富でも、あくまでデザインはベーシック。そんなアイテムを、遊び心あるスタイリングで“ファッション”として発信した。ロングスリーブTシャツを首に巻いてリボンに見立てたり、2枚のシャツを使ってワンピース風のシルエットを作ったり、パンツの裾をソックスに入れてシルエットを変化させたりと、誰もが真似できるテクニックでベーシックウエアを新鮮に見せた。同ブランドのクリエイティブ・ディレクションを担当する「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理デザイナーは、「一つのアイテムでも、アイデア次第でいろんな楽しみ方ができる。そんなファッションの醍醐味を伝えたかった」と話す。

会場にコンビニ出現
客一人一人に「ドラマがある」

演出も「コンビニエンスウェア」ならではだった。会場中央に円形のコンビニを設置し、ショーが始まるとモデルたちが次々と店内に入っていく。モデルたちが店内を見て回る様子は、複数のカメラで切り取られ、店外の客席に向けてデジタルサイネージで放映された。この演出は、「コンビニを訪れる人々にはそれぞれのドラマがある」という落合デザイナーの思いを込めたものだ。

その後、モデルはコンビニから飛び出して、客の前を自由にウオーキングする。ファミチキを食べる人やコーヒーをすする人、会話を楽しむモデルもいた。年配の女性から子連れの男性、義足の若者、外国人の幼い兄弟まで、幅広いキャスティングでコンビニ客の多様性を表現し、俳優の吉田鋼太郎や八木莉可子、柳俊太郎、芸人の又吉直樹ら豪華キャストもショーに花を添えた。

“前代未聞”を実現させた人々へ送る
愛に満ちたフィナーレ

ハイライトは最後に待ち構えていた。吉田鋼太郎と八木莉可子の後ろから、緊張した面持ちでウオーキングする男女が登場した。この人たちは、大阪府内に店舗を持つファミリーマート加盟店のスタッフだ。「コンビニエンスウェア」は2021年に全国販売する前、大阪府内で約1年の試験導入を行っていた。彼・彼女たちこそ、“コンビニ発のアパレルブランド”という前代未聞に挑戦した人物だった。「みなさまの協力なしでは『コンビニエンスウェア』は実現しなかった。その感謝を伝えたかった」(落合デザイナー)。愛に満ちたショーの終わりに、割れんばかりの拍手が送られた。

コンビニでファッションアイテムを買うことは、まだまだ浸透していない。しかし、いつかそんな未来が来るかもしれない。そう思わせるほど、ブランドの独自性と魅力をまっすぐ伝えて、見る人の心を動かすショーだった。

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