ファッション
連載 エディターズレター:IN FASHION 第27回

若いショーンは「アレキサンダー・マックイーン」の激情をどう引き継ぐのだろう?

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※この記事は2023年10月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

10月3日のパリの夜、気合を入れ直してサラ・バートン(Sarah Burton)による最後の「アレキサンダー マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のショーに向かいました。

今から13年前の2010年2月11日、同ブランドの創業者であるリー・アレキサンダー・マックイーン(Lee Alexander McQueen)が自ら命を断ち、ファッション界に激震が走りました。マックイーンは、その才能とカリスマ性から圧倒的な存在感があったため、突然の訃報により業界全体が突然暗い穴の底に落ちた、そんな印象を受けるほどの衝撃でした。

1992年、無名だったマックイーンの卒業コレクションを、有名スタイリストのイザベラ・ブロウが5000ポンドで買い取ったことに始まる “伝説”は、ケイト・モスとの友人関係などたくさんの物語で彩られていますが、何よりやはりコレクションが強かった。今の時代では許容されないであろう、サディスティックや狂気一歩手前の表現は、それにも関わらず、いやそれだからこそ惹きつけられる、抗し難い美しさと強さがありました。「アレキサンダー・マックイーン」のショーが見たいけれど、会場内に入れてもらえず号泣している少年を見たことがあります。そういった激情を多くの人の内から引きずり出す、そんな魔力のあるファッションショーでした。

リーが亡くなって3カ月後、その跡を継いだのが当時「アレキサンダー・マックイーン」のウィメンズのヘッドデザイナーだったサラ・バートンです。そのプレッシャーたるや、想像に難くありません。サラの「アレキサンダー・マックイーン」には当初から、リーのような“激情”は感じられなかったけれど、サビル・ローでの下積みからキャリアをスタートしたリーが残したテーラードの美しさを引き継ぎ、“情”の部分は気が遠くなるほど細かい刺しゅうといった職人仕事の情熱に向けられ、服に静かな強さを与えていました。

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