ファッション

「イッセイ ミヤケ」2014-15年秋冬パリ 新技術”曲線のプリーツ”が生み出す、しなやかな強さ

 ペタンコの鞄を持って登場したモデルが床で鞄を開き、中からペタンコの"何か"を取り出す。"何か"は取りだした瞬間にフワッと膨らみ服に姿を変えた。まるで畳んだ提灯を広げるように服を取り出したのだ。提灯と違うのは、折り畳みの方向性が一方向ではなく、360度である点。そのため、広げた瞬間に身頃が、袖が、そしてスカート部分ができあがる。客席からはブラボーの声と大きな拍手があがった。

 蒸気の熱で布を伸縮させて形づくるオリジナルの製法"スチームストレッチ"がさらに進化している。縦糸と横糸の両方にストレッチ素材を使い、360℃全方位の伸縮性を持つ素材はその名も"3Dストレッチ"。森からインスパイアされた流線型のフォルムは、その"3Dストレッチ"や曲線折りの"リングプリーツ"で表現されている。

 リングプリーツの服は曲線を生かして前立ても袖も丸く、四角い部分がどこにもない。曲線に沿ってウエストやヒップの丸みが強調され、さらに歩くと波型の裾がバウンドしてフェミニンだ。

 樹木の年輪を髣髴とさせる曲線のフォルムを作るテクニックは他にもいろいろある。木々の複雑な色彩や様相を再現した異素材ミックスのジャカードや、ボンディングなど。伝統的な捺染技術を応用した積層プリントは新緑の樹木の色彩のドレスやパンツとなって登場した。

 曲線のフォルムから受ける印象は優しさやしなやかさ。ライブ演奏した2人の日本人ミュージシャンが奏でる優しい音楽と重なり、会場を穏やかで力強い空気で満たした。それは、宮前義之を筆頭とする今の「イッセイ ミヤケ」チームが醸し出す空気そのもの。大型のテントを満席にするパワーは彼らの肩ひじ張らない自然体のクリエイションと、マニアックなまでに突き詰める実験的なアプローチが生まれている。

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