ファッション

人間国宝の森口邦彦と「ヴァン クリーフ」協業 友禅の柄を仏・職人技で“小さな箱”に

フランス発ジュエラー「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS以下、ヴァン クリーフ)」は、人間国宝の森口邦彦とコラボレーションした“プレシャス ボックス”を発表した。森口はフランス・パリ国立高等装飾美術学校のグラフィックデザイン科を卒業しており、“友禅”の伝統的な技法を継承しながら、西洋的な視点と方法論で幾何学的な図形を発展させて表現するクリエイターだ。

彼のデザインは、三越のショッピングバッグ「実り」でお馴染み。今までも、イギリス発ライフスタイルブランドの「リバティ ロンドン(LIBERTY LONDON)」とコラボするなど、その活躍の場は広く、国内外で高く評価されている。2019年にエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が来日した際は、森口の邸宅を訪問して作品を鑑賞したという。このように、森口のデザインは“友禅”という伝統を軸に、懐かしいと同時にモダン、どこの誰がいつ見ても風情のある普遍的なもの。ひと目見て彼のデザインとわかる親しみやすさと整然としつつも温かみのある美しさを持っている。

サヴォアフェールの対話からプロジェクトに発展

同ブランドと森口との出会いは2017年に京都国立近代美術館で開催された「技を極める ― ヴァン クリーフ&アーペル/ハイジュエリーと日本の工芸」展。「ヴァン クリーフ」が制作したハイジュエリーやオブジェと京都国立近代美術館が収蔵する近現代の日本の工芸作品を対峙させた同展で、森口の作品が展示された。これをきっかけに、「ヴァン クリーフ」が持つジュエリーにおけるサヴォアフェールと自身がサヴォアフェールの継承者である森口の対話がスタートし、“プレシャス ボックス”のプロジェクトに発展した。

交響曲のように仕上げられた“箱”

森口は、保管されていた草案を検証するうちに、大切なものを包み、日常に寄り添いつつりんとした佇まいをもつ“箱”を思いついた。軽やかなリズムで秩序のある幾何学的な図形を纏った箱だ。彼のデザインを元に、「ヴァン クリーフ」のジュエリー職人たちと交響曲を奏でるようにプロジェクトが進行していったという。

幾何学的デザインをモザイクで仕上げる技、それらをはめ込む枠組みを造形する技、レッドジャスパーやマザーオブパール、ブラックエボニーなどモザイクを描く素材を吟味し見極める技、そして、作品を磨き上げる技、それら全ての専門分野の職人たちが試行錯誤を重ねながら美を追求したのが“プレシャス ボックス”だ。森口は、このプロジェクトについて「プロセスそのものがコラボレーションだと思う」とコメントしている。

時の尊さを語る“プレシャス ボックス”

この“プレシャス ボックス”は「ヴァン クリーフ」のサヴォアフェールが生き続ける証とも言える作品。ヴァン クリーフのニコラ・ボス(Nicolas Bos)プレジデント兼最高経営責任者は、「このプロジェクトを通して、“プレシャス”とは物質的な価格ではなく、モノづくりの時間の中に見出される感動的なもの。“プレシャス ボックス”は時の尊さを語るものだ」と述べている。

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