ファッション

ミラノにオマージュを捧げた「ジョルジオ アルマーニ」からゴジラにオマージュを捧げすぎた新鋭まで 2023-24年秋冬メンズコレ取材24時Vol.4

 2023-24年秋冬コレクションサーキットは、メンズからスタート。「WWDJAPAN」は現地で連日ほぼ丸一日取材をし、コレクションの情報はもちろん、現場のリアルな空気感をお伝えします。担当は、前シーズンのメンズと同様に大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリのコンビ。ミラノ・メンズ最終日は、御大による貫禄のコレクションからゴジラまでが登場する振り幅が極端な1日です。

10:00 「ジョルジオ アルマーニ」

  ミラノ・メンズもあっという間に最終日。「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」からスタートです。今シーズンは、貴族の館のアトリウムから着想し、褐色と白の大理石を用いたミニマルな空間をスタイルで再現します。グレートーンのカラーリングに映えるのは、カシミアやベルベット、アルパカなどの素材感。客席からでも分かるその上質な素材感に見入ってしまいました。

 体に沿うジャケットやブルゾンには、裾にかけてゆったりとテーパドしていくトラウザーやカーゴ、リブパンツを合わせます。ジャストフィットとイージーフィットの組み合わせで、現代風のフォームを取り入れるバランス感は、BGMを担当した作曲家ルドヴィコ・エイナウディ(Ludovico Einaude)のクラシックとモダンを掛け合わせたピアノの音色と呼応します。

 後半には、冬のリゾートに向けたスキーウエアのカプセルコレクション“ジョルジオ アルマーニ ネーヴェ(GIORGIO ARMANI NEVE)”の新作を披露し、フィナーレにはベルベットのイブニングルックをまとった男女が登場。個人的にベルベット フェチなのですが、「ジョルジオ アルマーニ」のそれは一線を画す品格を感じます。今回のコレクションでは、日常生活で忘れがちなミラノの街のエレガンスにオマージュを捧げたといいます。新作アイテム披露の場ではありますが、映画でも観ているかのようにストーリーを感じさせる、素敵なショーでした。

12:00 「ドゥルーフ カプール」

 インド発の「ドゥルーフ カプール(DHRUV KAPOOR)」のショーを観たのは2回目で、正直ここまで驚くとは思っていませんでした。だって今季は、あのゴジラとコラボレーションをしているのですから。しかもなかなかの型数で。

 序盤からコミック風のプリントが登場し、何となく(ゴジラっぽいな。大丈夫か?)と心配していたら、ウエアに思いっきり“ゴジラ”とカタカナで描いているではないですか。きれいに二度見をしていると、オーバーサイズのTシャツやウィンドブレーカー、シャツといった典型的なストリートウエアにゴジラとモスラ、キングギドラといったキャラクターがプリントで登場。シルバーのアウターの背中には、ゴジラの背びれを再現するという芸の細かさ。1シーズンをここまでゴジラに捧げていいのだろうかという余計な心配はさておき、ゴジラ以外のアイテムは、インドの学校で刺しゅう技術を学んだとあって、装飾の美しさには才能を感じます。ショー後に、大塚さんが「ゴジラを刺しゅうすれば良かったのに」とポロリ。工芸品の域に達する作品づくりに臨めば、ストリートウエアの新たなカテゴリーを開拓できるかも。

14:00 「プラダ」展示会

 ショーの合間で、「プラダ」の展示会に駆け込みます。「服の本質を見直す」というシーズンテーマに沿って、華美な装飾やパーツなどを削ぎ落としたコレクションを改めて復習します。ショーのときは(削ぎ落としすぎかも)と感じたのですが、じっくり見ていると、確かにミニマルではあるものの、「プラダ」らしいキャッチーさは随所に表現されていました。例えば、革靴とスニーカーを融合させたようなシューズは色彩豊かなカラーリングと複数パーツを用いたデザインで、ローファーに続くヒットの予感。シューズに合わせたピッタピタのスキニーパンツは、イージーフィットに慣れた世の中の男性に「フィットネスしないとやばい」と意識させ、健康志向の高まりをさらに後押しするかもしれません。

15:00 「ゼニア」

 今季も「ゼニア」がミラノ・メンズ・ファッション・ウイークを締めくくります。ショー前に行われたエクスクレーシブなプレビューに参加し、すでにコレクションの一部を見ていました。とはいえ、やはりショーで目にすると印象は大きく変わるもの。ランウエイでは空気を含んだカシミアが弾むようにしなやかに動き、どこまでも優雅でした。また、ゲストとしてモデルのUTAさんや渡辺真史「ベドウィン & ザ ハートブレイカーズ(BEDWIN & THE HEARTBREAKERS)」デザイナーが来場。さらに、マッツ・ミケルセン(Mads Mikkelsen)も来ていたらしいと小耳に挟み、会いたかったと嘆いていると、ショー終わりのエントランスでギリギリの遭遇。かっこよすぎました。会場のインスタレーションやショーの内容、アレッサンドロ・サルトリ(Alessandro Sartori)=アーティスティック ディレクターがコレクションに込めた思いについては、別記事でご覧ください。

 嵐のように過ぎ去ったミラノを終えて、次はパリメンズが開幕。さらなる怒涛の日々になること間違いなしのリポートをお届けします。

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