ファッション

世界最大のオンライン市場「ストックX」が常設スポットを原宿にオープン キーマン2人が考える次のトレンド

 世界最大のオンライン市場「ストックX(STOCKX)」が、東京・原宿に常設スポット「ストックX トウキョウ ドロップオフ&ストア(STOCKX TOKYO DROP-OFF以下、ドロップオフ&ストア)」(東京都渋谷区神宮前4-26-21)を7月16日にオープンする。

 「ドロップオフ&ストア」は、2016年にスニーカーのリセールサイトとして設立した「ストックX」の3番目となる常設スポットで、初めてショッピング体験を導入したスペースを構える。店内は2フロア構成で、1階では売れ筋の商品を展示してオンラインでの購入前に商品を実際に確認できるほか、「ストックX」がセレクトしたアイテムも取り扱う。第1弾として、ストリートブランド「ブラックアイパッチ(BLACKEYEPATCH)」とヒップホップメディア「ニート トウキョウ(ニートTOKYO)」とのトリプルコラボアイテムを用意する。「ニート トウキョウ」らしいグリーンをキーカラーとした3型のTシャツ(全て税込7700円)をラインアップし、そのうち1型を16日から「ドロップオフ&ストア」限定で、残り2型を19日から「ストックX」の公式サイトで販売する。

 2階は、店名にも掲げているサービス“ドロップオフ”で持ち込まれた商品の鑑定スペースとなる。“ドロップオフ”とは、オンライン上で取引が成立した商品を売り手が持ち込むことで、箱詰めや配送ラベルの印刷、真贋鑑定を行う認証センターへの発送などが不要となり、よりシンプルな販売体験を提供するサービスだ。これは、同時にローカルな買い手への新しいショッピング体験も実現し、すでに「ドロップオフ&ストア」を常設するニューヨークと香港および期間限定のロンドンでは、売り手の活動が活性化したことで100万件以上の注文を促進しているという。

 「ストックX」は、なぜ東京に「ドロップオフ&ストア」をオープンしたのか。デュイ・ドーン(Duy Doan)「ストックX ジャパン」シニアディレクターと、オープンにあわせて来日した、「ストックX」で数々のコラボプロジェクトを仕掛けてきたトム・ウッジャー(Tom Woodger)=カルチュラル・マーケティング・バイスプレジデントの2人に、オープンまでの経緯と今後のトレンドの予想などについて話を聞いた。

ーー常設スポット「ドロップオフ&ストア」の構想はいつからあったのですか?

トム・ウッジャー(以下、ウッジャー):われわれは、“コミュニティーの声を聞くこと”を重要視していて、「ストックX」の設立当初から商品を実際に取り扱うフィジカルなスペースがほしいという意見が多かった。そこで、2018年のクリスマスの時期に、初めて「ドロップオフ&ストア」のようなポップアップスペースをニューヨークにテストオープンした。反響があまりにも良かったので、続けてロサンゼルスやロンドンでもポップアップスペースを開き、そこでも成功を収めることができたので常設スポットの構想を形にすることにしたんだ。

ーー「ドロップオフ&ストア」を東京にオープンする意味とは?

デュイ・ドーン(以下、ドーン):ニューヨークがアメリカにおけるストリートファッションのメッカであるように、東京はアジアのストリートシーンの中心地かつ重要な市場だと考えており、20年の日本上陸からローカリゼーションを行ってきた。そして、日本では対面式のサービスやコミュニケーションの文化が根付いているため、「ドロップオフ&ストア」は最適なサービスだと理解した。

ーー現在、日本よりも中国と韓国の方がストリートシーンの勢いはあるように感じます。

ウッジャー:日本国内にいると分からないかもしれないが、まだまだ東京は魅力的な街だ。なぜなら、日本にはNIGO®や高橋盾ら世界中に知られているストリートシーンの重要人物たちが大勢いるから。君が言うように、中国と韓国のマーケットは盛り上がっているし、これから世界に影響力を与える人物が現れるかもしれない。でも、長いカルチャーの歴史を持つ日本は絶対に外せない。“「ストックX」にとってなくてはならない街”という認識だ。

ーー店内をシンプルでクリーンな内装にした意図は?

ドーン:東京という街が持つ、コンクリートジャングルかつミニマルな空気感を反映させたかった。そこに、「ストックX」のアイデンティティである“ストリート”を意識し、大理石の上に商品を陳列するようなラグジュアリーな見せ方はせず、フロアをコンクリート調にしたりライトを剥き出しにしたりすることで“リアル”を演出している。

ーー1階ではセレクトしたアイテムを取り扱うとのことですが、その選ぶ基準を教えてください。

ドーン:日本人に親和性の高いアイテムをキュレーションするだけでなく、顧客が出合ったことのないブランドやカルチャーを紹介するエデュケーション・スペースとしての役割も兼ねる予定だ。人からコミュニティーが始まり、コミュニティーからカルチャーは育っていくーーこれを実現する場にしたい。

ーー「ストックX」が考える次のトレンドは?

ウッジャー:「ストックX」の面白いところは、さまざまなカルチャーにアクセスできること。カルチャーは永遠に発展するもので、スニーカーからはじまり、コレクティブルアイテムやNFTにまで波及し、現在はゲームやゲーム機器も盛り上がっている。だが、われわれが最も象徴的なトレンドと考えるのはアートプリントだ。各ブランドが差別化を図るために他ジャンルとの協業を画策した中の一つがアートで、コラボアイテムなどを発売した結果、オリジナルの作品を求める人々が増えたのだろう。「ストックX」も昨年、現代アーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)のパートナーシップを締結し、コラボアイテムも発売している。

ーースニーカーシーンのトレンドでは、2人も履いているように「ニューバランス(NEW BALANCE)」の存在感が増していると感じます。

ウッジャー:「ナイキ(NIKE)」と「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」が、トップ2に君臨していることは変わらない。だがここ数年の「ニューバランス」は、デザイナーのジョー・フレッシュグッズ(Joe Freshgoods)や「ジョウンド(JJJJOUND)」のジャスティン・サンダース(Justin Saunders)、シューズデザイナーのサレヘ・ベンバリー(Salehe Bembury)、ラッパーのアミーネ(Amine)ら、ブランド・アイデンティティを巧みに表現できるパートナーとの協業が非常にうまくいっているように思う。また、「サロモン(SALOMON)」と「アシックス(ASICS)」にもそれを感じる。

ーー故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は1人でトレンドを動かせる人物でしたが、彼に代わる旗振り役は誰になると思いますか?

ドーン:「エメ レオン ドレ(AIME LEON DORE)」のテディ・サンティス(Teddy Santis)だと思う。「エメ レオン ドレ」と「ニューバランス」のとあるコラボの発売日が、「ニューバランス」史上最大の1日の出来事だったと聞いている。

ウッジャー:難しい質問だ(笑)。ジョー・フレッシュグッズももちろんだが、1人しか選べないならテディだろう。いつかキム・ジョーンズ(Kim Jones)のような存在になると考えている。

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