ファッション

白洲正子のサステナブルな世界に学ぶ マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」Vol.41

 よく「マリエはなぜ、サステナブル思考になったのか?」と聞かれる。いろんなきっかけがあったが、最近さらに「誰の存在が大きく影響したのか?」と突っ込まれた時、やはりこの人が頭に浮かんできた。

 白洲正子だ。

 ファッション好きなら、知っている人も多いと思う。私が彼女の存在に触れたのは、彼女の著書「ものづくり」という本をある建築家に教えてもらったから。当時私はニューヨークでの勉強を終え、日本とアメリカを行き来していた。サステナブルという言葉は、私も知らなかった時代。美しいものへの感覚は確立しつつあったが、日本の”美しいもの”の捉え方と、知識やものを大切にしない感覚に憤りさえ感じながら、「自分には今、何ができるのだろう?」と模索していた頃だった。25歳くらいだったと思う。アメリカで身につけたリベラルマインドとともに日本を行ったり来たりだった私は、もどかしさを覚え、苦しんでいたくらいだ。

 そんな時に出会ったのが、白洲正子だった。

 衝撃だった。こんなにものを愛し、生まれる過程を大切にし、自然との調和を感じ、それを伝えるために生きていた女性がいたなんて。自分の物差しをしっかり持っているため、金額や人の意見にブレることなく、ものの美しさの価値を見出している。一冊の本をきっかけに白洲家の歴史や周囲にいた作家、民芸運動のリサーチにどっぷりと浸かり、今では年に2回、白洲邸武相荘を訪れるほど。彼女を通して、私はサステナブルを学んだ。愛で続けられる耐久性と流行のない永遠の命を与えた黒田達明、民芸運動という活動とともに日本の文化を守り、支え、進化を促した柳宗悦。そのほか、バーナード・リーチ(Bernard Howell Leach)、小林秀雄、魯山人……。次々とのめり込んだ”粋”という美しさと各自の美の物差しは、まさに持続させたい学びの数々だった。そして戦争という全てを呑み込んでしまう大波の存在も学んだ。戦争は美や文化、教育、思想、そして命を奪ってしまった。

 戦争以外の全てをこよなく愛でていた白洲正子が毎日身をおき、暮らしていたのが武相荘だ。そこには自然との調和があった。春夏秋冬と流れる循環の中で移り行く素晴らしい自然の美を感じた時、何よりも大切にしなくてはいけないのは自然であり、それを大切にしなければ他の何も生まれてこないと強く感じたのは今も覚えている。白洲正子には会ったこともなければ喋ったこともないが、着物屋を銀座に構えてまで楽しんだ、和洋をミックスしながら織りなす独自のスタイリングは本当に見事だ。いまだにスタイルブックが欲しいと切に願っている。「白洲正子100日コーデ!」みたいな企画が見てみたい。

 そして私は時々、「彼女がサステナブルという言葉を耳にしたら、なんと答えるだろう?」という議題で盛り上がる。本当に何と答えるのだろう?想像するとキリがない。是非一度、膨大にある彼女の著書を読めとは言わないが、白洲邸武相荘を感じて欲しい。

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