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小売業界は”個売り”の時代へ トランスコスモスが提案する新たな顧客接点

 デジタルシフトが加速する中で、ECサイトにも新たな潮流が生まれている。その潮流をいち早く察知して動いているのが、ITアウトソーシング大手のトランスコスモスだ。同社はSNSやD2C、OMOといったキーワードのもと、海外発のサービスとの独占販売契約や、日本国内のサービスとの提携を推進。それらのサービスを組み合わせ、「新たな時代に対応する顧客接点」の創出に取り組んでいる。トランスコスモスの柏木又浩=常務執行役員兼DEC統括リテールコマース総括責任者へのインタビューと同社の施策を支えるさまざまなサービスから、トランスコスモスが考える「新たな顧客接点」を探った。

OMO 、SNS、アプリの
3つで新たなEC基盤を作る

 「小売り業界は今、“個売り”の時代に変わりつつある」。そう語るのは、トランスコスモスの柏木又浩=常務執行役員兼DEC統括リテールコマース総括責任者だ。柏木常務はTSIホールディングスでEC事業、DX戦略をけん引してきたという経歴の持ち主でもある。そんな彼は、“個売り”への変化の理由をどのように捉えているのか。「SNSで企業ではなく、個人が強くなった。D2Cの波が来ているのは必然のこと。今後は大企業がプラットフォーマーになっていき、中小企業はD2C化して、細かいブランドをたくさん持つようになると予想している。グローバルブランドを除いたミドルレンジは1ブランドで年商100億円ではなく、10億円のブランドを10抱えるような時代になる。トランスコスモスとしては、それらをしっかりとインキュベーションできるようにしていきたい」。それらのインキュベーションを支えるのが、トランスコスモスがパートナーを務めるEC構築プラットフォームである「ショッピファイ(SHOPIFY)」をはじめ、米発のバーチャルショッピングツール「ヒーロー(HERO)」、カナダ発のAIインスタ画像解析ツール「ダッシュ ハドソン(DASH HUDSON)」、そしてアプリプラットフォームである「LINEミニアプリ」と「ヤプリ」だ。

「ヒーロー」と「ダッシュ
ハドソン」の紹介ムービー

 米発のバーチャルショッピングツールである「ヒーロー」は、オンライン上でリアル店舗に近いショッピング体験を顧客に提供する。同ツールは顧客と、顧客の位置情報に近い店舗にいる、接客可能な販売員をつなぎ、チャットやライブでの接客を行うことができる。商品の画像や動画を登録できるカタログ機能を用いることで、店舗にはない商品の説明も可能だ。また、CRM連携によりロイヤル顧客リストを作成でき、ユーザーと販売員の継続的なコミュニケーションも可能にしている。これらの機能により、ECサイトのコンバージョンは平均10倍以上、コスメにおいては平均15倍以上を達成している。実際に、「ヒーロー」で接客を受けた3人に1人が来店し、客単価が40パーセントアップ、リピート率も15パーセントアップしている。

 また、販売員は自身が「ヒーロー」を通じて何人を接客し、どれだけ商品を売ったか、といったデータを確認することもできる。これにより、販売員のモチベーションのアップや、人事評価にもつなげることを可能にした。今後は、「ショッピファイ」との連携をはじめ、本国で実装されている機能やサービスを日本に順次導入していく予定だ。

「ダッシュハドソン」
「ヒーロー」の
UIイメージとCEO画像

 カナダ発の「ダッシュ ハドソン」は、アップルやアマゾンのほか、「コーチ(COACH)」、「エスティーローダー(ESTEE LAUDER)」、コンデナスト(CONDENAST)、そしてインフルエンサーマーケティングで有名な米国ファッションECモール「リボルヴ(REVOLVE)」なども導入している、インスタグラムなどの画像解析を武器としたSNS総合管理ツールだ。最大の特徴は、独自開発の画像解析AI。まずはブランドや企業のインスタアカウントと連携し、過去の全ての投稿のエンゲージメント評価を分析。競合他社や競合ブランドが使っている画像や、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の分析も可能だ。ファンとのコミュニティー形成を助けるための、投稿に対するコメントの管理や消費者の口コミなどの自動収集といった機能を備える。ピンタレストやツイッター、フェイスブックにも対応しており、投稿の一元管理を行うこともできる。

 また「ライクショップ(LIKE SHOP)」という、企業のECとの連携機能もポイントだ。インスタに投稿したコンテンツの集約ページの作成が可能であり、各投稿に最大25個のリンクを付けることができる。これらの機能により、インスタ等のフォロワー獲得やエンゲージメントの向上だけでなく、ソーシャルコマースの連携も行える。

ライト顧客からロイヤル顧客まで
一気通貫できるアプリ施策

 トランスコスモスのアプリ施策の中でもLINEの個人・法人向けのアカウントサービス「LINE公式アカウント」がスタートした当時から、、社内にLINE推進部を設け、一緒に市場を開拓してきた。そんな両社が、二人三脚で進めているのが「LINEミニアプリ」だ。LINEはプラットフォームを提供し、トランスコスモスがアプリの開発や「LINE@」を通じたユーザーとのコミュニケーションを担当している。

 「LINEミニアプリ」は、ダウンロードの必要がなく、シェアも簡単なため、ユーザーにとっては障壁が低い。店舗などでもQRコードに携帯をかざすだけでアプリの使用が可能だ。企業側もユーザー属性などのデータを取得できる。そのような「LINEミニアプリ」を起点にライト顧客を獲得した後、「ヤプリ」で開発したネイティブアプリによるロイヤル顧客の育成を行うのだ。ヤプリの庵原保文CEOは「あらゆる商品・体験のコモディティ化が飛躍的に速くなった今、ブランドのロイヤリティーを高めるためのアプリ活用は、ますます経営のコアな戦略になってきている」と語る。

問い合わせ先
トランスコスモス
0120-120-364