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経済成長を自信につなげるアジア エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年10月24日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

経済成長を自信につなげるアジア

 意思、ないしは意志が介在しないモノは、大半は価値が低くて、加えて今後はますます無価値に近づいていくであろうことは、皆さん同意していただけると思います。ゆえに市場で生き残るために今、我々がすべきことは、商品に意思・意志を内在させることであり、それを発信すること。とは言え特に後者は、正直日本人の不得意分野で、欧米と比べれば時間軸における圧倒的なビハインドを背負っているような気がするし、アジアにおいては猛烈な勢いで迫り来る若手に押されている気がします。

  考えれば、欧州は「罪の文化」。告解することで禊いできた大陸の人々は、1000年近くも前から自分自身を振り返り、思いを発信してきたワケです。そして米国は「ディベートの国」。かの国はかつて、吃音を最大の身体的障害と捉えていましたが、それは「ディベートの国」で生きていくのが困難だからに他なりません。一方で日本は「秘するが花」なんて言葉もあるくらいです(まぁ、どの国にも似たような言葉は存在するのでしょうが)。誰もが自由に意思・意志を発信できるSNSにおいてさえ、今なお「炎上しないため、意思・意志は封印します」なんて投稿を見かけることが少なくありません。

 アジアについては先週末、上海に赴きましたが、経済成長に伴い増大する自信が意思・意志の表明においてプラスに寄与していることを実感しました。レトロな街並みが美しい旧フランス人居留地では、複数の新婚カップルがそれぞれにチームを引き連れて大撮影大会。日本でも見かける光景ではありますが、衣装、メイク、2人の密着度合いとポーズ(笑)、いずれにおいても「自信満々」感が滲み出ていて羨ましく感じました。出張の目的の1つは、中国と台湾、フィリピン、そしてベトナムの若手アーティストによる作品鑑賞だったのですが、フィリピンの女性アーティストは、自身が男性的なダンスを見せることでジェンダーの概念を揺さぶります。その体は、決して“パーフェクト・ボディ”ではありません。でも、それを堂々見せつけられる勇気、ゆえの生々しさが強烈でした。

 近年、特にメンズシーンにおいては、中国のデザイナーがロンドンやニューヨーク・ファッション・ウイークあたりには、頻繁に登場しています。「ザンダー ゾウ(XANDER ZHOU)」や「プロナウンス(PRONOUNCE)」あたりが代表例でしょうか?時を同じくして海外に挑戦中の日本ブランド、例えば「オーラリー(AURALEE)」などと比べると、クリエイションは大きく異なります。前者は「俺の考えを見てくれ!!」感が、凄まじいのです。もちろん、「その考え、ちょっと共感できない」と思うことは多いし、現段階における完成度は「オーラリー」の勝ちだと思います(そう思うのは、私が日本人だからかもしれませんが)。でも、この勢いでガンガン来られたら、大変です。数年後には海外のファッションウイークにおいても、集団としての日本人ブランドが防戦一方になる可能性は否定できません。

 その意味で先週末、海外でファッションショーを開く権利を得た「ターク(TAAKK)」は、昨今の若手の中では比較的「俺が、俺が」感が強めのブランド(笑)。クリエイションは多少荒っぽいですが、「やばい、思いついちゃったよ!!」と言うアイデアを希釈していない感じが魅力的です。ぜひアジアの“凄まじいの”に負けないでいただきたい。応援しています。

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