小池百合子東京都知事が“クールビズ”キャンペーンの一環として、職員に対し業務内容によっては男性のハーフパンツ着用を推進すると表明して以来、夏のファッショントレンドとしてメンズのショートパンツ及びハーフパンツが話題を呼んでいる。男性のショート・ハーフパンツのオフィシャルな場での着用に対するネガティブなイメージは存在する一方で、ファッションカジュアル化や気候条件の影響としてこのトレンドを受け取ることもできる。実際、パリ・メンズコレクションの来場者にはショートパンツを着用する人々も見られた。
ドレスコードはマイナスイメージを払拭しきれず
日本国内では、快適さの反面に従来のビジネスマナーに反しているなどと男性のオフィスでのハーフパンツの着用を巡った“ハーフパンツ論争”が展開された。自社のドレスコードでハーフパンツの着用が認められても、社会規範が服装を取り締まってしまう。ファッション業界にクライアントを持つ法律事務所“ハンド・バルダキン・アンド・アソシエイツ(Hand Baldachin & Associates)”の弁護士ダグラス・ハンド(Douglas Hand)は暗黙のドレスコードに関して「プロフェッショナルらしく見えること」だと語った。
オフィスにおけるハーフパンツやショートパンツの着用に関して、「男性が仕事にショートパンツを穿いていくならば脚を鍛えておくべきだし、スラックスと同様にドローコードやゴムウエストではなくきちんと仕立てられ、体にフィットしたものを選ぶべきだろう」といった意見が存在するが、この感覚は多くの職種に当てはまるだろう。
現代のフォーマルへの回帰傾向
ファッションのカジュアル化は25年にわたり急速に進んだ一方で、コロナウイルスのパンデミック禍の在宅勤務が解消され、人々は再びフォーマルな装いに回帰しつつある。カジュアル化として代表的なスポーツウエアを日常に取り入れるアスレジャースタイルの流行は落ち着き、人々は新しいワードローブを求めている。フットウエアに関しては、カジュアルシューズが主流になったにも関わらず、若い世代からはヒールの関心が高まっている。カジュアなフットウエアトレンドはハイヒールを履いたことのない世代を創ったが、若い世代は何かを逃してしまったと感じ、ドレスシューズが当たり前だった時代へのノスタルジアが生まれた。
ファッションカジュアル化の影響は依然として残っている
今回の“ハーフパンツ論争”は依然として快適さを求めるファッション業界全体の傾向と通じるものがある。スーツを始め、現在衣料品の多くがアスレジャースタイルのように自然で快適なカッティングやフィット感が求められている。ショート・ハーフパンツはその流行の一部で単に暑い時は快適に過ごしたいという欲望の現れではないか。また、気候条件も無視できない。6月23〜28日(現地時間)の期間、パリ・メンズ・ファッションウイークが開催され2027年春夏メンズ・コレクションが発表された。熱波に見舞われたパリでは、ショートパンツがプロフェッショナルかどうか以上に、記録的な暑さの中で長ズボンを穿いたまま物理的に1日を過ごせるかどうかが問題だった。
2027年春夏コレクションでもショートパンツが登場
2027年春夏メンズコレクションでは、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」や「アミ パリス(AMI PARIS)」らブランドのランウエイでもショートパンツが登場していた。ハーフパンツがランウエイのみならず、オフィスでの定番スタイルとして定着する日は近いだろうか。