PROFILE: 南沙良/俳優
香港と日本の才能が結集し誕生したスタイリッシュなアクション映画、「殺手#4(キラー・ナンバー4)」が4月3日に公開される。本作では家族を殺された少女・雲と殺し屋“No.4”の奇妙な絆を軸に、言葉を超えた関係性が描かれる。初の長編監督を務めるリョン・コイインのもと、アクション監督として坂本浩一が、脚本監修として阪元裕吾が参加するなど、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズのチームと国境を越えたコラボレーションが実現。日本に先立ち公開された香港で評判を呼び、2025年度第62回金馬奨にて最優秀アクション設計賞を含む5部門にノミネートされている。
悲しい過去を背負う殺し屋No.4として激しいアクションを披露するのは香港のトップスター、ジェフリー・ガイ。そして彼と出会い、殺しのスキルを学んでいくヒロイン・雲を演じるのは南沙良。「万事快調〈オール・グリーンズ〉」や「禍禍女」など話題作への出演が続く中、初のアクションに挑戦した南に、撮影中の思い出やアクションの手応え、そして今後挑戦してみたい意外な役柄まで話を聞いた。
「常に新しいものに挑戦したい」
——南さんにとっては初のアクション映画となる本作ですが、もともとアクション映画は好きなんですか?
南沙良(以下、南):小さい頃から「ワンピース」や「ナルト」のようなアクション漫画は大好きなんですが、アクション映画はあまり触れてきませんでした。ただ「ベイビーわるきゅーれ」などは観ていますし、やったことのないジャンルということもあって出演したい気持ちはもとからありました。
——本作のほかに「万事快調〈オール・グリーンズ〉」や「禍禍女」など、最近は特にジャンルを横断しながらいろんなキャラクターに挑戦している印象を受けますが、自分の中でパブリックイメージを更新しようという意識はあるのですか?
南:常に新しいものに挑戦したいとは言っているので、そういう作品が増えているのかもしれません。もちろん、偶然が重なったというのもありますが。
——堅気と裏の世界をつなぐ「雲」という存在をどのように自分の中に落とし込んだのか教えてもらえますか?
南:クランクインする前に監督が雲に関する資料をくださったんですよね。中国語から翻訳したものだったんですが、それを自分の中で少しずつ咀嚼していきました。監督が言っていたのは「雲はとにかく天真爛漫で何も諦めていない人物」だということだったので、そこは常に意識していました。また香港でも日本でもリハーサルを多めに行ったので、そこでキャラクターが持つ雰囲気を掴めたのではないかなと思います。
——香港でも撮影を行なったんですか?
南:いえ、私は日本だけで撮影したんですが、撮影前にリハーサルで香港に一度行きました。リハーサルは比較的短時間で終わったので、内心「ラッキー!」と思って観光も楽しみました(笑)。監督もご飯に連れていってくれて、鳩の丸焼きがすごく美味しかったのを覚えています。
——雲を演じるにあたり、リョン・コイイン監督やジェフリー・ガイさんとはどのようなやり取りをされたんですか?
南:実は演じる上ではあまりやり取りがなくて。監督は日本語を勉強されていてこちらに意図を伝えてくれることもあるんですが、フィーリングで演じる部分も多かったです。ただ監督もジェフリーさんもすごく明るい方で、楽しく現場を盛り上げてくれたのが印象に残っています。
制作現場での違い
——日本と香港の合作映画ですが、普段の制作現場と違いは感じましたか?
南:合作映画に参加させていただくのは初めてだったんですが、やはり撮影環境の違いは感じました。例えば撮影のスピード感や段取りの度合いは全然違いましたね。バイブスで進めていくようなところもあったり。何より撮影がハードで、みなさんすごくタフなんですよ。香港の方はこれがスタンダードと言っていたんですが、私はついていくのに必死で自分の体力のなさを恨みました。あといつもは演じる前に集中できる空間をつくってくれることが多かったんですが、今回はじっくり演じる重たいシーンもみんなでワイワイしながら勢いで進めていきました。その明るさがすごく心地良かったですね。
——日本の映画撮影も他国に比べるとタイトと聞きますが、それよりもですか?
南:そうですね。今まで経験した中で一番大変でした。しかも冬の撮影だったこともあり、すごく寒かったんですよ。射撃場のシーンはみんな寒くて震えてましたし、No.4のリングを洗う水場もすごく寒くて、ジェフリーさんも大変そうでした。
アクションシーンへの取り組み
——ガンアクションにチャレンジされていましたが、どのようなトレーニングをされたのでしょうか?
南:私は触りくらいしかしていないので、トレーニングをしたと言っていいのか…‥という感じではありますが、アクション練習は2回ほどしました。アクションシーンでどう動くかをカメラワークに合わせてやってみたり。ただ雲自身が銃を持つことに慣れていないので、あまりがっつりはやっていないです。
——アクション監督の坂本浩一さんとのお仕事はいかがでしたか?
南:すごく明るい方で、現場でも「頑張ろうね!」と盛り上げたり、臨機応変に「なんとかなるから大丈夫!」とサポートしてくれました。エネルギーに満ちていてすごく頼もしかったです。
——本作に出演するにあたって参考に観たアクション映画はありましたか?
南:参考にしたわけではないんですが、「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」は観たほうがいいと聞いて観たらすごく面白かったです。
——ジェフリーさんとのアクションはどのように合わせていったのでしょうか?
南:現場でタイミングを合わせていきました。ただ驚いたのが、全然テイクを重ねないんですよ。ドライ(カメラなしのリハーサル)もなしで本番が始まったりしたので、「え、動きが決まってないけど!?」って最初は戸惑ったりして。そこは日本映画との違いだなと感じました。最初のゲームセンターのアクションシーンは狭いこともありテイクを重ねましたが、基本的にあまり繰り返さないのでミスできないというプレッシャーはいつもよりあった気がします。それに監督がかなり画にこだわりのある方で、練習がほぼない中「このタイミングでこうしてほしい」「この照明が来たら動いてほしい」というリクエストもあり、間違えないようにすごく集中していましたね。
——実際アクションシーンを演じた感想はいかがですか?
南:普段あまり運動しないので自分で演じてみて、アクションをやられている俳優さんへのリスペクトが増しました。次に挑戦する際は事前にトレーニングをしておこうと思いました!
——ジェフリーさんのアクションはいかがでしたか?
南:すごかったですね。坂本さんとコミュニケーションを取りながらキレキレのアクションを披露していました。ジェフリーさんはすごくタフで、撮影は朝早くから夜遅くまであるのに毎日撮影が始まる前にジムに行っていて、食事制限もされていて。私は待ち時間で少しでも体力を回復させようとしている中で、ジェフリーさんは隙あらば筋トレしていました(笑)。
今後やってみたい役は?
——斎藤工さんや竹中直人さんとの共演はいかがでしたか?
南:斎藤さんは3作連続でご一緒させて頂いているんですよ。流暢に英語を喋られていましたし、現場の皆さんとも的確なコミュニケーションを取られていて流石だなと思いました。竹中さんに関しては私が中学校の頃ぶりの共演だったので、本当に久々でしたがやっぱりすごく面白い方でしたね。それほど多く過ごした訳ではないのですが、竹中さんが呪文のようなものを唱えるシーンの前では休憩所でもずっと呪文の練習をされていて。「これいい感じに聞こえるよね?」って言いながら呪文を唱えていたのがすごく面白かったです(笑)。
——撮影中に印象に残ったエピソードを教えてください。
南:「塩サンマ」という言葉が結構重要なキーワードとして出てくるんですが、日本人メンバーは「塩サンマって日常的に言うかな?」という審議がありました(笑)。結果的にそのままいくことにしたんですが、森優理斗君とも「塩サンマで大丈夫かな?」と海鮮を食べながら話したりしていましたね。
——確かに意味は伝わるけど言いませんもんね。
南:台本を読んでいても、日本人からすると少し違和感がある部分もあったので、そこは都度監督に「多分こういう言い方はしないかもしれません」と伝えて、別の言葉を探したりしながらやっていました。
——完成した作品を観たときの感想を教えてもらえますか?
南:何より安心しました。初めての合作映画で、始まってから撮影環境の違いなど経験したことのない部分もあって、お芝居しているときもこれがどう映像になるのか、期待半分、不安半分の気持ちでいたので、完成したものを観たら監督のビジョンとこだわりがたくさん詰まっていて、こういうことがやりたかったんだとちゃんと理解できた気がします。
——自分が演じるアクションシーンも、完成した映像を見て初めて腹落ちしたということですか?
南:そうですね。だから撮影自体は楽しかったんですが、常にどうなるか分からない不安との戦いでもありました。
——音楽も独特の作品ですよね。日本の懐メロがキーになっていたり、主題歌をジェフリーさんが歌っていたり。
南:主題歌は私もびっくりしました! でもジェフリーさんは現場でもよく歌っていて、特にご機嫌そうなときはよく歌声が聞こえてきていました。
——香港での舞台挨拶はいかがでしたか?
南:そこも日本とは全然違ってて、登壇して10分くらいお話ししたらで退場して、そうしたら次のスクリーンへ行ってまた登壇、という流れを5,6回行うような形でした。だから一回一回は短い時間ですが、お客さんは歓迎ムードでたくさんしゃべってくださるし、私も話しやすかったですね。そして、終わった後はチームみんなで火鍋を食べに行ったのがいい思い出として残っています。
——いろんな役にチャレンジしたいと仰っていましたが、今後やってみたいジャンルはありますか?
南:完全なコメディーはやったことないので挑戦してみたいですね。あと体力をつけた上でまたアクションもやってみたいですし。海外の映画も含め、挑戦できることはなんでもしていきたいなと思っています。
——南さん自身はどういうジャンルが好きなんですか?
南:実はモンスターパニックものが好きで。内藤瑛亮監督の「ヒグマ!!」もすごく出たかったですし、「シャークネード」のようなサメ映画も大好きなので機会があるならぜひ出たいですね。すぐに食べられて死ぬ役でもいいので(笑)。
——いろんな作品の主役を演じている南さんがサメ映画に出てきて、突然食べられたらめちゃくちゃ面白いですね(笑)。
南:ぜひやってみたいです!
PHOTOS:YUKI KAWASHIMA
STYLING:MARIE TAKEHISA
HAIR & MAKEUP:KENJI TAKESHIMA
映画「殺手#4」
◾️映画「殺手#4」
4月3日から新宿バルト9ほかロードショー
出演:ジェフリー・ガイ
南沙良
ダニエル・ホン 森優理斗 根岸拓哉
斎藤工
竹中直人
監督:リョン・コイイン
脚本:文佩卿 リー・ソクミン リョン・コイイン
脚本監修:阪元裕吾
アクション監督:坂本浩一
挿入歌:「世界中の誰よりきっと」中山美穗 WANDS
主題歌:「一生懸命HEART OF GOLD」魏浚笙 JEFFREY NGAI(BTBAS ENTERTAINMENT LIMITED)
制作プロダクション:SOLID FEATURE MinyMixCreati 部
配給・宣伝:ライツキューブ
配給協力:ティ・ジョイ
製作:MM2 STUDIOS HONG KONG RIGHTS CUBE inc.
© mm2 Studios Hong Kong Limited 2025
2025年/香港・日本/カラー/シネマスコープ/5.1ch/107分/広東語・日本語・英語
https://killerno4-movie.com/








