東京都内で韓国コスメブランドによるラッピングバスを目にする機会が増えている。広告媒体としての機動力と視認性が再評価され、ブランドプロモーションの手法として定着しつつある。
韓国発ダーマスキンケアブランド「コスアールエックス(COSRX)」は10月22~24日に、人気製品“アドバンスド ビタミンC23セラム”のリニューアルを訴求する「透明感体験バスツアー」を開催した。ロンドンバスを活用したイベントで、乗客はインフルエンサーやメディア関係者。街中に大きく存在感を示すラッピング広告と、車内でのプロダクト体験をセットにした“走るプロモーション空間”で、ブランドの世界観を立体的に届けた。
バスは2階建てで、ボディー全体にブランドカラーのゴールドを施し、“アドバンスド ビタミンC23セラム”のビジュアルをまとって、表参道〜六本木を走り抜ける。東京タワーが見えるスポットでは、SNS拡散を後押しするフォトセッションも行った。
一方、バス内部では車外広告とは対照的に、ブランド理解を深める場として設計。「コスアールエックス」にまつわるクイズ大会に加え、アフターヌーンティーの提供やリニューアルアイテムを実際に手に取って試せる体験会など、ブランドとの接触時間を丁寧に積み上げる施策を多数用意した。
開催の狙いについて山根諒子 コスアールエックス 日本マーケティング担当は、「リニューアルした“RXザ・アドバンスド ザ・ビタミンC23セラム”の発売と、人気製品“RXザ・アルファアルブチン2 ディスカラーレーションケアセラム”のPRを目的に開催。また、普段からお世話になっているメディアやインフルエンサーの方と交流を通して、よりブランドと製品の理解を深めてもらう目的もあった」と語る。
イベント後の反応は、総じて好調だった。参加したインフルエンサーやメディア関係者からは、「実際にテクスチャーや使用感を体験できて、より製品の良さを実感できた」「高濃度ビタミンCなのに低刺激で使いやすい処方設計に驚いた」などの声が集まった。山根マーケティング担当は、「“RXザ・アドバンスド ザ・ビタミンC23セラム”は、リニューアルした事が十分にPR出来ていない部分もあったが、今回のイベントを通して進化したポイントやブランドの思いを伝える事ができ、自然な口コミの醸成につながった」と手応えを得ていた。
ラッピングバスを走らせるプロモーションは、単なる交通広告の枠を超えつつある。都内の主要導線を長時間回遊でき、六本木交差点や青山通りといった人が集まる高密度エリアを巡るルート設計も、もはや定番戦術になっている。街中での視覚接触を起点に、乗車体験によるブランド理解、SNSによる拡散までを一気通貫で狙えるため、広告効果の最大化を狙うブランドにとって機能する施策となりやすい。ラッピングバスの“移動するだけの存在”から、ロンドンバスを活用した“体験を内包したコミュニケーション”へと進化している状況を象徴する事例と言える。