
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月6日、「バイオものづくり革命推進事業」の第3回公募において、バイオものづくり製品の社会実装を目指す研究開発テーマ5件を新たに採択した。その一つとして、帝人フロンティア、倉敷紡績、東レ、日清紡テキスタイル、日本毛織、公益財団法人地球環境産業技術研究機構による「繊維to繊維の資源循環構築の実現に向けた研究開発・実証」が選ばれた。
NEDOは、経済産業省所管の国立研究開発法人で、日本の産業・エネルギー分野における革新的技術の開発や社会実装を支援している。
本事業は、合成生物学の進歩により、利用できる原料や製造可能な製品の種類が大きく広がってきたことを背景に始まった。たとえば、二酸化炭素を原料とし、海洋で自然分解されるプラスチックのように、環境問題の解決と経済成長の両立を可能にする技術が登場している。しかし、バイオ由来製品を社会に広く普及させるためには、技術面・コスト面・制度面に依然として課題が残る。特に、輸入バイオマス原料の価格高騰を受け、国内の未利用資源を活用することが急務となっている。
そのためNEDOは2022年度から2032年度までの事業期間に総額約3000億円を投じ、バイオものづくりのバリューチェーン構築に必要な技術開発や社会システムの実証を支援。製造プロセスの転換とバイオ由来製品の社会実装を促進し、日本の産業競争力強化を図っている。
繊維分野では、廃棄衣料を活用したバイオ繊維の開発にフォーカス。経済産業省は2024年に公表した「繊維製品における資源循環ロードマップ」で、2040年度に向けた資源循環システムの構築と適量生産・消費の達成を掲げ、2030年度までに家庭からの廃棄衣料量を2020年度比で25%削減し、繊維to繊維リサイクルで年間5万トンの処理を目指している。