ファッション

「サカイ」を13年間手掛けた女性のブランド「ハリカエ」とは?

 「サカイ(SACAI)」のデザインとパターンを13年手掛けてきた橋本千子によるブランド「ハリカエ(HARIKAE)」が、ニューヨークのショールームMIZUGARAでデビューコレクションを発表した。スケールを変えたバスケット柄とケーブルに見える編み組織で構成した柄をミックスしたニット、同じウール素材から織りの違いで異なる素材感を表現したトップス、ヘリンボーン柄をさまざまに表現したトップスにスカートなど、一見するとわからない細部にまでデザインが行き届いている。上質素材を用いているため、滑らかで肌心地が柔らかい。メンズライクでありながら、女性らしさも備えた大人の女性服といった印象だ。参考上代は、ヘリンボーン編みのニット×シャツ地のトップス7万8000円、コットンスカート6万9000円、バスケット柄のニットトップス5万8000円、ウールTシャツ2万8000円など。

 「見えない部分をデザインすることで、一見シンプルだけど『こんなところがこうなってるんだ』というような発見がある服を作りたい」とデザイナーの橋本千子。「民芸など生活に根付いた技法や素材、色をミックスして今の空気感を表現していきたい」と続ける。もともと大学で伝統工芸を学び、中でも機織りを専門に学んだ。「両親が油絵を描いていて、見るのは好きだった。でも油絵は苦手。筆を持たない芸術を考えたら"織り"だと思いました」。とはいえ、「伝統工芸を重んじることを学んだけど、日常から遠く離れていることにも気付いた。手に届くところで表現ができないかと考えたとき、洋服だと思った」。大学卒業後、ファッションデザインとパターンを学んだ。アパレル会社を経て、2002年にサカイスラッシュに入社。デザインとパターンを手掛け、出産を機に昨年秋にサカイスラッシュを退社した。現在3歳の愛娘がいる。実はブランドを立ち上げる予定がなかったというが、ニューヨークで長くブランドのセールスを手掛ける女性から強く勧められ、ブランドの立ち上げに至った。「ハリカエ」というブランド名は、結婚後の姓だという。「子どもができ、生活スタイルが一変しました。子どもがいても自分ができる範囲で始めてみようと思いました」。彼女は東京在住だが、展示会はニューヨークでしか行わない。「みんなと同じことをしても面白くないから。(ブランド立ち上げを勧めた女性が独立して)初めてショールームを立ち上げるときに、初めてブランドを立ち上げた私もいるというのがいいなと思いました」。

 今後については「ファッションに限らず会社として面白い会社を作りたい。今は一人ですが、一緒に仕事をしたいと思う人の輪がつながり、それぞれの個が生きる会社になれば」。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

韓国ブランドの強さに迫る 空間と体験、行き渡る美意識

日本の若者の間で韓国ブランドの存在感が増しています。K- POP ブームが追い風ですが、それだけでは説明できない勢い。本特集では、アジアや世界で存在感を示すKブランドや現地の人気ショップの取材から、近年の韓国ブランドの強さの理由に迫ります。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。