1. 14万円のセーターを求め300人待ち 気仙沼ニッティングが目指す復興支援を超えたモノ作り

14万円のセーターを求め300人待ち 気仙沼ニッティングが目指す復興支援を超えたモノ作り

コラム オープン

2018/11/16 (FRI) 14:00

 手編みニット製品の気仙沼ニッティング(宮城県気仙沼市)は11月17日、気仙沼の本店以外では初となる常設店を、東京・千駄ヶ谷に開く。同社は気仙沼近辺在住の編み手を組織し、一つ一つ製品を手編みしている。もともとは、東日本大震災の復興支援として2012年にスタートしたプロジェクトが会社の始まりだ。そんな背景とともに、着心地の良さやデザイン性が支持されて、フルオーダーのケーブル編みカーディガン(14万円)などの決して安くはない商品が売れている。これまで東京で月1回開いてきたポップアップイベントには、九州や関西などから駆け付ける客も少なくなかったという。

 東京店は北参道駅を出てすぐの場所で、毎週金、土、日の3日間オープンする。「地方からいらっしゃるお客さまも多く、年齢層も20代から80代までと幅広い。なるべく分かりやすい場所を探した」と、御手洗瑞子・社長。26平方メートルの店内には、フルオーダーやセミオーダーの色とりどりのセーター(セミオーダーは7万円から)が並ぶ。オーダーが中心だが、ニットキャップ(1万2500円)などはその場で購入が可能だ。今秋立ち上げたカシミヤのマフラーやストールもそろう。もちろんカシミヤも手編みで、びっくりするほど軽く柔らかい。

 「コンビニのごはんと手作りのごはんは、食べたら絶対違うと分かる。それと同じで、機械編みと手編みのセーターは、着ると何かが違うと分かる」と御手洗社長。購入する気のなかった客が、試着してあまりの着心地のよさに購入を決めるというケースが多いのだという。確かに、編む際に糸を引っ張ってテンションをかける機械編みに比べて、手編みは糸に空気を含んだまま編むので温かく柔らかい。また、通常、毛糸は紡績後にコーンという器具に巻いて輸送や保管がされるが、同社はあえてコーンに巻かず、毛糸をふわふわのまま保管しているのだという。「手編みのよさが一番うまく出るように、きっちり工程管理をしている」のだ。

 当初は復興支援として、地場に仕事を作るという目的で始まった。しかし、「復興支援をしているメーカーの商品だからという理由で売れたのは、恐らく震災後2年間くらい。それ以降は、着心地やデザインのよさで選ばれている。それが編み手にとっても嬉しいし、誇りになる」。4人からスタートした編み手も、今は70人にまで増えた。ただし、フルオーダーのケーブル編みカーディガンは現在300人以上がオーダー待ち。今オーダーしても、編み始めまでに2年がかかる。品質管理のために、たとえ「編み物が得意」と自負する編み手であっても、最初の数か月は徹底的に訓練をする。それゆえ、どうしたって時間がかかる。「手編みという軸は守りつつ、生産力はもっと高めていく必要がある」と御手洗社長。

 復興支援という目的は一定果たしたともいえる。ただし、「もともと、気仙沼から世界に通用するブランドを作りたいとして始めている。そういう意味ではまだまだこれから。日本国内だけでの内輪受けにならないよう、世界で認識される商品を作っていきたい」。

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