キャッシュレス市場に新たな波、利用広がる“プリペイドカード”の真価

コラム 企業動向 EC

2018/10/5 (FRI) 23:00

 2011年創業のカンムが運用するプリペイド式の決済サービス「バンドルカード」が60万ダウンロードを超える成長を見せている。未成年などのクレジットカードを持てないユーザーをターゲットにした決済サービスで、アプリをダウンロード・登録するだけでクレジットカード同様16桁の番号が発行されるというもの。審査はなく、好きな金額をコンビニなどでチャージすることで、クレジットカードと同じ使い方ができる。特にクレジットカード決済が便利なECサイトでの購入に利用される他、住所を登録するだけでリアルなカードも発行できるので、実店舗での利用も可能。世界3000万以上の加盟店を持つVISAと提携をしているため、VISA加盟店であればどこでもクレジットカードと同様の使い方ができるわけだ。

 八巻渉カンム社長は、「ECでの利用の他、クレジットカードを作ることができない学生などでも専用のカードを持てるようになる。今後教科書がデジタル化された場合など、少額ニーズにも対応できるはずだ」と説明する。

 プリペイドカードとはいえ、「バンドルカード」は立派なキャッシュレス決済だ。18年4月に経済産業省が発表したデータによれば日本のキャッシュレス率は18.4%。40〜60%程度が当たり前の世界に対して大きな遅れをとっているわけだが、今年キャッシュレス推進協議会が発足し、国を挙げてのキャッシュレス化が始動している。そうした中で、審査を必要とする後払い式のクレジットカード以外の選択肢として、リアルタイムで引き落としが行われるデビッドカードや前払い(チャージ)式のプリペイドカード・電子マネーなどのサービスが今再び注目を集めている。

 特に最近はorigamiやLINEペイ、メルペイなど、店頭・ECで利用できる独自決済サービスも増えているが、これらの企業は顧客と店舗をダイレクトにつなぐために顧客・店舗双方の情報を得られる一方で、自社の導入店舗での購入データしか得ることができない。しかし、「バンドルカード」はVISAと組んでいるため、圧倒的な数を抱えるVISA加盟店での顧客の幅広い購買データを獲得できるという企業としてのメリットもある。

 また、プリペイドカードには“未来のキャッシュレス世代の育成”という可能性も持っている。VISAをはじめとするクレジットカードを作るためには信用情報が必要で、ある程度飽和しつつあるクレジットカードの若年層利用者をさらに伸ばすことに苦戦しているという現状がある。そんな中で、プリペイドカードを入り口に独自の信用データがたまればクレジットカードの発行数を増やすことにつながるかもしれないというのだ。「『バンドルカード』を若い人たちが使うことで当社として独自の信用情報がたまれば、そのデータをもとに若者がVISAのクレジットカードを発行することができるかもしれない」と八巻社長。

 日本政府は10年以内にキャッシュレス決済率40%を目標に掲げている。QRコード決済のようなサービスの普及に加えて、特に若年層ニーズに応えるプリペイドカードが大きな意味を持つことは間違いなさそうだ。

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