1. ファッション業界に“シェアリング”の波

ファッション業界に“シェアリング”の波

コラム シェアリング EC

2016/12/29 (THU) 11:00

 ファッションビジネスで、個人間取引や定額制レンタルサービス、C to CのハンドメイドECといった“シェアリング・ビジネス”が急拡大している。きっかけはスマホを使ったフリマアプリだ。口火を切ったフリマアプリ「フリル」のサービス開始からわずか4年で、市場規模は年間2000億~3000億円にまで成長した。フリマ最大手「メルカリ」の流通額は月間100億円超で、ファッションEC最大手の「ゾゾタウン」に迫る勢いだ。スマホアプリ発のシェアリング・ビジネスは、消費構造を大きく変えようとしている。

 フリマアプリ「ラクマ」「フリル」を手掛ける楽天は11月の事業説明会で、フリマ事業の拡大を明言した。「フリル」を展開するファブリックの堀井翔太・最高経営責任者(CEO)は、個人間取引のプラットフォームとして最大の「ヤフーオークション」との違いについて、「『フリル』の最も大きな特徴は、スマホを使って簡単に誰もが気軽に服を売買できるようにしたこと。その結果、旧来のオークションとは異なる、10~30代までの若い女性を取り込めた」と語る。「フリル」は2012年7月のリリース直後から、10代後半から20代前半の女性の口コミで広がった。当時の人気ランキングの上位常連は『ローリーズファーム』と『ジーユー』で、それまで既存のセカンドハンドショップではほぼ値のつかなかったブランドでも、「フリル」では1000円前後で販売できたからだ。1年後にスタートした「メルカリ」は、取り扱いアイテムをファッション以外にも広げたことで、地方やターゲット層の拡大にも成功。「ヤフオク」でのブランド品売買が中心だった個人間の2次流通市場は、フリマアプリの登場で、量販チェーンの洋服や子供服などが主力アイテムの一つに躍り出るなどアイテムの幅が広がり、シェアリング・ビジネスという新たな生態系を生んだ。現在フリマ「メチャカリ」をスタートした。一度レンタルされた洋服は、クリーニングを経て公式サイト内でユーズド商品として定価の半額で販売し、公式ECサイトではオンシーズンの同じ洋服を新品と中古で並行して販売。ユーズド商品の消化率でも8割というから驚きだ。スタートトゥデイも15年12月にフリマアプリ「ゾゾフリマ」をスタート。11年に連結子会社化した中古品販売のクラウンジュエルが運営する「ゾゾユーズド」とともに、1次品から2次品・個人間取引までを完結する形になった。

 従来一物一価を原則にしてきた流通業が、態度を一変させた理由は何か。ストライプインターナショナルは「ビジネス拡大のためにターゲットを広げるのではなく、既存顧客の消費喚起をすることが必要。そのためにも裾野を広げるビジネスをやっていくべき」と説明する。シェア消費を顧客のニーズと捉え、購買履歴をトレースできる自社ECサイトを、パイプラインのようにシェア消費に通すことで、顧客の売買活動に食い込む戦略だ。これまでは売って終わりだったビジネスの基本戦略を、1人の顧客との継続的な関係性を重視するライフタイムバアプリ首位の「メルカリ」で扱うアイテムはファッションや雑貨にとどまらず、日用品、手芸などあらゆるカテゴリーに広がっており、市場拡大に拍車をかける。

READ MORE 1 / 1 断捨離が新たな消費を喚起

 こうしたシェアリング市場の急拡大に敏感に反応したのが、ストライプインターナショナルとファッションEC首位の「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイだ。ストライプインターナショナルは15年9月に店頭商品の約8割をそろえたレンタルサービスリュー(顧客生涯価値)の向上へとシフトしていることが垣間見える。スタートトゥデイも低価格だが粗利益率の高い「ゾゾユーズド」を成長の柱と位置づけており、自社サービス内だけでユーザーがやり取りをしながら流通をすることが最大の利益につながると考える。11月15日には下取りアイテムの査定額をそのまま新品購入の値下げに使える「買い替え割」を発表し、さらに“ゾゾ流通圏構想”を加速させる計画だ。

 フリマアプリ普及に伴う消費行動の変化の波は、既存のファッション流通にどのような変化をもたらすのか。モノのSNS「サマリー」も11月から、気軽に倉庫に預けられるサービス「サマリーポケット」で、「ヤフーオークション」と連携し、預けたモノをそのまま販売してくれるオークション代行サービスを開始した。流動化する所有の概念を逆手に取って、新たな消費を呼び込む狙いがある。山本憲資サマリー社長は「顧客のクローゼットを空けることは誰もが求めていること。『サマリー』が目指しているのも、デジタルを使って効率よく問題を解決すること。断捨離を機に新たな消費を喚起したい」という。

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