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販売員の正社員化。個々人の成長が生産性の向上にもつながる 大西洋/三越伊勢丹ホールディングス社長

 伊勢丹新宿店のリモデル成功で一段落したかと思いきや、続いて国内基幹店やグループ店の改装や中小型店の相次ぐ出店、利益率向上と表裏一体の販売員の正社員化など、三越伊勢丹ホールディングスからは次々と新たなニュースが飛び出してくる。「我々の強みはファッション」。そう言い切る大西洋社長の次なる一手とは?

 「イセタン羽田ストア」オープンから1週間を振り返り、大西洋・三越伊勢丹ホールディングス社長は「数字はいいが、ネクタイやシャツが少ないなどMD的にはさっそく課題も見えてきた」と手厳しい。しかし、「中小型店の目的はお客さまとの接点を増やすこと。今後は日本空港ビルデングと組んで海外を含み羽田以外にも広げたい」と積極的な姿勢は変わらない。

 中小型店の2013年度の売上高は、化粧品セレクト「イセタンミラー」が9店舗17億円、地方都市を中心とした「エムアイ プラザ」が63店舗207億円、「イセタンアウトレットストア」が4店舗7億円になった。3年後には合計150店舗まで広げる計画だ。

 15年秋には、大名古屋ビルヂングに中型のセレクトストアを開く。「3万~5万平方メートルの百貨店を都心に出すのは難しい状況の中、お客さまとの接点を増やすために、5000~1万平方メートルのスペシャリティストアを地方の大都市と首都圏に3店舗は出したい」考えだ。

 「三越伊勢丹の強みはファッション」。そのことは、伊勢丹新宿店のリモデルの成功で社内外に改めて印象づけられた。同店の13年度の売上高は2654億円(前年比112.1%)で、来客数は2600万人(同104.5%)となった。新宿店のリモデル成功の要因は、緻密でオリジナリティの高いMD、空間と環境の改善などいくつかあるが、最後のひと押しはスタッフのマインド変化だったと同社長は振り返る。実は同社、リモデルが大詰めだった時期に、現場の女性スタッフ300人を、一足先にリモデルオープンした阪急うめだ本店へと見学のために出張させている。「私自身が、阪急うめだ本店のオープン前日にエスカレーターに乗ってゾクゾクッとしたから、同じ体験をしてほしかった。実際、帰ってきた彼女たちの顔つきは変わり、“日本一の座は譲れない”と士気が高まっていた」。

 新宿店で得たノウハウは、都心基幹店や地方店に「応用しないと意味がない」。次にリモデルを控える日本橋三越は、婦人服を本館に、“カルチャー”を新館にそれぞれ集約し、買い回りを促す構想だ。ロイヤリティの高い年配の顧客層を多く抱える同店だが、「今度こそ、本気でマインドチェンジして、3割は新しいお客さまを呼ぶ」方針だ。

 三越銀座は、効率が悪い新館のラグジュアリーを縮小し、平場を拡充するなどMDを見直す。15年春から秋をメドにリニューアルし、当初目標の年間売上高1000億円に向けて舵を切りなおす。インバウンド強化も同店の重要戦略だ。「全体に占めるインバウンドの売り上げ構成比は10%。リビング・子供が6~7%、紳士が9%だからインバウンドはもはやひとつの中分類だ。グローバルストアとしての店作りと同時に、海外からのお客さまを意識したフロア作りやMDが必要だ」。

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