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美容医療はあり?なし?アンケートから見えた美への意識の変化

 「WWDビューティ」8月22日号は美容医療特集。

 これまで、美容医療と聞くと、 “整形”というイメージが強く、大きな声では言えないネガティブなイメージがついてまわるものでした。しかし昨今は美容雑誌で特集が組まれたり、SNSなどでも情報発信が盛んになったことで、美容医療に対するイメージは大きく変化し始めています。

 まず、「美容医療」について説明をしておきましょう。

 大きなくくりで言うと、肌や顔の造形に対する悩みを医療的技術によって改善する治療のことです。医療脱毛やニキビ・シミなどの肌悩みの改善から、鼻を高くする、目を大きくするといった、いわゆる整形も含まれます。そしてさらに分類すると、ボトックスやヒアルロン酸注入などの注射による施術や、レーザーによるシミ・ほくろの除去、ケミカルピーリング、などなど……メスによる切開を行わない非外科的施術と、鼻にプロテーゼを挿入したり、瞼を切開して二重にする、骨を削る、など切開を必要とする外科的施術の2つに分けられます。

 今回の特集では非外科的施術を取り上げています。日本での美容医療施術数は、外科的施術が約28万件に対し、非外科的施術は約1630万件と圧倒的に多いのが実情です(出典:日本美容外科学会「第1回全国美容医療実態調査」)。“整形”と言われる外科的施術はまだまだハードルが高いものですが、非外科的施術はダウンタイム(施術後の回復にかかる時間)が少なく、費用が手ごろなものが多いという事が理由の一つだと考えられます。また、鼻を少しだけ高くする、小顔にしたいなどプチ整形と呼ばれる範疇であれば、ボトックス注射やヒアルロン酸注入などの非外科的施術で可能ということも大きな理由でしょう。

 そこで、WWDの公式インスタグラム・ツイッターでフォロワーのみなさんにアンケートを実施しました。ツイッターでは、「美容医療に興味がありますか?」という質問で、4つの選択肢を設定。

1、興味がない(26%)

2、非外科的施術なら受けてみたい(注射・レーザーなど)(36%)

3、プチ整形くらいなら抵抗はない(二重整形など)(22%)

4、外科的整形手術にも興味がある(切開をともなう手術)(16%)

 結果は「非外科的施術なら受けてみたい(注射・レーザーなど)」が最も多く、36%。興味深いのは、プチ整形や外科的手術にも興味を示した人が合計で38%に上ったこと。顔の形を変える、メスを入れることの抵抗感や、かつてなら声を潜めていた美容医療や整形の“タブー”のイメージがずいぶんと薄れてきているのではないでしょうか。

 インスタグラムでは実際に美容医療(非外科的施術)を受けたことがある人にもアンケートを実施。実際に受けたことがあると回答した人は全体の21%と高い数字になりました。受けた施術について聞いたところ、シミ・ほくろ除去のレーザー治療受けたことがある人が目立ち、あわせて他の美肌治療も受けているという人が多く見受けられました。こういった肌に対する治療は、セルフケアでは改善が難しい悩みの解決策として、エステやスキンケアの延長線上にあるのではないかと考えられます。

 これまで美容医療は大きな声では言えない“ズル”といった印象があったように思います。しかし、“美しくなる手段”として受け入れられ始めているのではないでしょうか?美容について幅広い知識をもつ美容ジャーナリスト・近藤須雅子さんに昨今の美容医療を取り巻く意識の変化について伺いました。

 美容整形体験者の情報共有アプリが登場し、若い世代の美容医療体験者が増加しているという。それでも、よく耳にする「あのタレントは整形よね」という発言に根拠を問うと、「顔がつっぱっている」「目が大きくなった」など撮影方法や体調で左右される程度の薄弱さで、相変わらず根拠のない印象や中傷がほとんどだ。現実には美容医療に関する知識や偏見は20年前からほとんどアップデートされていない、と痛感している。それでも「美人はみんな整形している」という印象が一般化し、美容整形が“隠すべき黒歴史”から“リスクを伴う必殺技”“手を伸ばせば届く高額美容”へと意識が変化しているのも、また確か。この1カ月の間でも、50~70代の女性3人から手術などの相談を受け、腕利き医師の紹介を頼まれた。今後、こうしたアラフォーやシニア層の患者がさらに増加するのは間違いないだろう。(近藤須雅子/美容ジャーナリスト)

 SNSなどでも“整形アカウント”と呼ばれる整形や美容医療の情報を発信する人々や、美容整形の口コミアプリ「トリビュー」などの登場は衝撃的で、施術体験や経過報告などが赤裸々に語られています。そういった情報の拡散が整形や美容医療に興味を持つきっかけになったり、意識の変化に大きく影響していると思われます。そして、SNSやアプリの普及で若年層が注目されがちですが、美容医療に対する関心のシニア層への広がりも、今回取材を行う中で多く聞かれました。

 美容医療は特別なことではなく、美を求める人にとっての“たしなみ”として浸透しつつあるのかもしれません。