三越日本橋本店による日本最大級の時計催事「三越ワールドウオッチフェア」が17日に開幕した。19回目となる今回は1500平方メートルの会場に約3500点・総額約50億円の高級時計をそろえ、過去最大規模で展開する。昨年まで活況だった高級時計市場も、今年に入って状況が一変し、富裕層や訪日外国人の買い控えで低迷しているが、同店は催事期間(8月17〜29日)で前年比105%の売上高目標を掲げる。中陽次・店長は「時計業界は日本だけでなく世界的に見ても土砂降りの状況。だが、当店には流行り廃りではなく、時計の文化を愛する顧客の方々がたくさんいる。今の苦境を乗り越えてさらなる発展を目指したい」と強気の姿勢を崩さない。
催事では世界限定1点の「バックス&ストラウス」エメラルドウオッチ(3億3480万円)、「アントワーヌ プレジウソ」トゥールビヨンオブトゥールビヨン(6739万2000円)、「クレドール」FUG A KU(5400万円)を始め、「ピアジェ」「ブレゲ」「ヴァシュロン・コンスタンタン」「ジャガー・ルクルト」「ブランパン」「パテック フィリップ」などの希少なアートピースを多数そろえ、時計好きの富裕層にアピールする。また時計師などを招いたイベントを前年の3倍に増やし、集客力を高める。
同店の時計販売は15年度(16年3月期)に前年比115%の過去最高の売上高を達成。三森隆暢・特選宝飾営業部部長は「記録的な売れ行きだった前年に比べれば、今年の数字は落ちているが、一昨年の数字は超えている。当店の場合、もともとインバウンドのお客さまは少ないので、その意味での影響は軽微だ。平常運転に戻ったと考え、本当に時計が好きなお客さまの期待に応えていきたい」と話す。同店では100万円台の時計の動きが鈍っているものの、300万円以上の時計は堅調を維持しているという。