ファッション

「デルヴォー」が現代アーティストのハンス・オプ・デ・ベークと新プロジェクト 本社でインスタレーションを披露

ベルギー発のラグジュアリーレザーグッズブランド「デルヴォー(DELVAUX)」は、ベルギー人現代アーティストのハンス・オプ・デ・ベーク(Hans Op de Beeck)との新プロジェクトを始動した。9月11日にはブリュッセルにある「デルヴォー」の本社“アーセナル”で、オプ・デ・ベークとメゾンの世界観が交差するインスタレーションを披露。職人たちがバッグを作り上げるアトリエの隣に、屋内庭園のような静ひつな空間を生み出した。

アーティストと職人に通じる“献身“の姿勢

1829年にブリュッセルで創業した「デルヴォー」は、これまでもルネ・マグリット(René Magritte)やソール・スタインバーグ(Saul Steinberg)の財団からカスパー・ボスマンス(Kasper Bosmans)まで、さまざまなプロジェクトを通じてアートの世界との関わりを築いてきた。ジャン=マルク・ルビエ(Jean-Marc Loubier)=デルヴォーCEOは、今回の取り組みも「アイテムの上に“ステッカー”を貼るようなコラボレーションではなく、メゾンとアーティストの美学が交わる“対話”だ」と説明。「ハンスは人間味にあふれ、誠実な素晴らしい人物。お互いを知ることができたのは大きな喜びであり、一つひとつの作品を超えた何かを一緒に生み出したかった。それは、本質とは何か、時間や人生とどう向き合うかを考えさせるような、謙虚さと人間的な温かさを持ったものだ」と続ける。

彫刻や大規模なインスタレーションをはじめ、映画、ドローイング、絵画、写真、脚本、舞台美術など幅広い領域を横断しながら活動するオプ・デ・ベークは、作品を通して人間の存在や生と死といった普遍的なテーマを探求している。そんな彼にとっても「デルヴォー」とのプロジェクトは自然の流れで生まれたもので、ディテールへの配慮や洗練へのこだわり、エレガンス、ユーモアや遊び心にメゾンとの共通点を見出したという。特に強調したのは、アーティストと職人に通じる姿勢だ。「私にとって、アーティストと職人に違いはない。どちらにとっても大切なのは献身だ。一見重要ではないようなものや、ささやかなもの、大した価値がないように感じられるものに愛情と思いやりを注ぐこと。そこにこそ、大きな価値がある。クラフトや創造性に深く身を捧げることは、とても尊く、守っていくべきものだと思う」と話した。

内省へと誘うグレーの静かな空間

「『デルヴォー』と私自身の作品が出合う穏やかな場所を作りたかった」というオプ・デ・ベークがインスタレーションの中心に据えたのは、黒い水面に白い睡蓮の花とグレーの葉が浮かぶ細長い池。周囲にグレーでペイントされた竹が茂り、オプ・デ・ベークを象徴するグレーのモノクロームで統一された作品と、「デルヴォー」のバッグが配されたスペースには、時が止まったかのように静ひつで神秘的なムードが漂う。

「大切なのは新しさではなく、何が本質的に重要なのかということだ」とルビエCEOが語るように、インスタレーションを構成する多くの要素は、これまでに彼が制作してきた作品をベースにしている。象徴的なのは、池の両端で向かい合う2人の子どもをモデルにした彫刻だ。1人は、“知恵”や“直観”の象徴でもある小さな水晶玉を抱えながら穏やかに瞑想する少年ブライアン。もう1人は天使のような羽と魔法の杖をもった幼い少女ジャイ・リザで、頬杖をつきながらメランコリック(物憂げ)な表情を浮かべている。対極的な2人の姿は、自分自身と向き合う時に生まれる静寂と哀愁を体現する。そして少女のそばには、ハンドルの上で寄り添う2羽の小鳥が優しさを映し出す“ブリヨン“の彫刻。池の中央には、時間や空間、そして広大な宇宙における人間の小ささについての思索を促す18世紀の機械式プラネタリウムを再解釈した彫刻が設置された。そんなインスタレーションは、鑑賞者をさまざまな感情や記憶、想像が入り交じる内省の旅へといざなう。

またインスタレーションだけにとどまらず、彼は職人たちが働くアトリエにも自身が手掛けたケーキや燭台、花瓶、貝殻、骸骨などを模った小さな静物作品を配置。「ありふれた日常的なものと価値あるものを組み合わせた、人生の有限性を思い起こさせるもの」と表現する作品をアトリエに溶け込むように飾ることで、「クラフトや職人技を大切にする姿勢と創造性が交わる一つの世界を形作りたかった」と語る。

東京を含む主要都市に広がる“対話”

“アーセナル”でのインスタレーションは完全招待制で、一般公開されるものではない。しかし、オプ・デ・ベークと「デルヴォー」の対話は今後、ルビエCEOが「ブリュッセルと店を構える都市をつなぐ橋」と考える店舗を中心に広がっていくという。具体的には、パリやニューヨークなど主要都市でウィンドーディスプレーやポップアップ・インスタレーションを計画。日本では表参道ヒルズの旗艦店とギンザ シックス(GINZA SIX)の店舗で、今回のプロジェクトに関連した特別なウィンドーディスプレーを披露する予定だ。

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