経営再建中のユニチカは6月20日、ポリエステル繊維の主力拠点である岡崎事業所(愛知県岡崎市)をセーレンに売却することで基本合意した。岡崎事業所はポリエステルの重合と繊維生産、不織布の製造などを行っており、敷地面積は約32万㎡。セーレンは、2005年にも経営不振に陥った名門のカネボウから合成繊維事業を買い取り、KBセーレンとして再建し、高収益企業として立て直していた。
岡崎事業所は1935年に日本レイヨン(現ユニチカ)岡崎工場として創業を開始。1966年に日本エステルを設立。敷地面積は、日本最大のショッピングセンターである「イオンレイクタウン」とほぼ同じ32万㎡。ユニチカのポリエステルの重合やポリエステル繊維の製造の主要拠点で、吸水・汗拡散素材の「ルミエース」、太陽光遮蔽素材の「サラクール」、バイメタル構造を持つナチュラルストレッチ素材ポリエステル「ゼットテン(Z-10)」、日本初のポリ乳酸(PLA)繊維「テラマック」などを生産。不織布(スパンボンド)の生産も行っている。
今回譲渡対象の事業には、上記のほか、岡崎事業所で生産する産業用のポリエステルやポリエステル高強力糸も含まれる。8月中の最終契約、年内の譲渡を計画している。
経営再建中のユニチカは昨年11月に祖業の繊維事業からの撤退を明らかにしており、今年8月中を期限に事業の譲渡先を探している。国内の繊維工場では他に、ポリエステルとコットンの複合素材「パルパー」やインドの超長綿「スビン」綿の極細番手糸を使った超高密度織物「舞鳳凰」などを生産する常盤工場(岡山県総社市)、子会社で「リバティ」のプリントを手掛ける染色工場の大阪染工(大阪・山崎)などがある。