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「アルビオン」5年ぶりの復調 24年12月期は増収増益

アルビオンの2024年12月期決算は、「アルビオン(ALBION)」が復調を遂げ、売上高が前期比10.8%増の601億円、営業利益が同12%増の72億円、純利益が同10.3%増の61億円の増収増益だった。

小林章一社長は、「『アルビオン』はこの4年間売り上げが伸び悩み、苦しい時期を過ごした。しかし、売れない時代を知らない社員にとっては貴重な経験になったと思う」と振り返る。今後については、「引き続き店頭販売を最優先とし、より多くの顧客にリアル店舗へ足を運んでもらえるよう施策を強化する」と、今秋からデジタルマーケティングを本格始動し、実店舗への来店を促す取り組みを進める方針だ。

国内市場、百貨店チャネルが好調

部門別では営業本部(国内)の売上高が同10.1%増だった。ブランド別では「アルビオン」の売上高が同7.3%増、「イグニス(IGNIS)」が同3.4%増、「エレガンス(ELEGANCE)」が同15.7%増だった。

カテゴリー別では、全体の構成比が半数以上を占めるスキンケアの売上高は同7%増、ベースメイクは同16%増、ポイントメイクは同2.3%減だった。ベースメイクの売り上げは昨年に続き過去最高を更新した。

厳しい状況が続いた「アルビオン」は、“乳液”の復活が課題だった。全社を挙げた年間プロモーションで、乳液の実績は6年ぶりに前年クリア。また、24年に50周年を迎えた“スキンコンディショナー”は、イベント開催で多くの新規客の獲得につながった。結果、「アルビオン」の乳液は同1.1%増、化粧水は同3.3%減だった。化粧水の内訳は、“スキンコンディショナー”が同18.5%増に対し、“フローラドリップ”が同57.7%減と苦戦した。

「エレガンス」は“ラプードル”が同19.1%増、訪日客需要を受けた“モデリング カラーアップ ベース”が同29.4%増と好調に推移した。

販売チャネル別では、専門店が同6.1%増、百貨店が同19%増だった。専門店は、“億ショップ”育成が順調に推移し、2億円以上の店舗数が前年から4店舗増加し、全13店舗に。1億円以上2億円未満の店舗は9店舗増え、97店舗となった。百貨店では店内売り上げ1位の店舗が1店舗増え、全13店舗となった。

海外では「エレガンス」が急成長

国際事業部の売上高は同14.7%増だった。ブランド別の売上高は「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」が同9.5%増、「ポール & ジョー ボーテ(PAUL&JOE BEAUTE)」が同3.8%減だった。海外市場では、構成比が高い中国で苦戦した「アルビオン」が同16.1%減だった。一方、「エレガンス」は主力のフェイスパウダー“ラプードル”が成長をけん引し、同114.4%増と大幅な伸びを示した。

「アナ スイ コスメティックス」は、日本でEC含む43店舗、海外で49店舗を展開。リキッドアイカラーや、サブライン「アナスイ エヌワイシー(ANNA SUI NYC)」」のフェイスカラーパレットが貢献し、トレンド感のある若年層の支持を集めている。

今後、同ブランドの流通経路に関して小林勇介専務は、「オンライン・オフラインにこだわらず、ブランドの特性に合った店で積極展開していく。『アナスイ』を象徴するような店の開設や、全国でのイベント開催を通じ、ブランドの魅力を広く発信していきたい」と明かした。

「ポール & ジョー ボーテ」は、年度累計でプライマーが厳しい結果となったが、24年3月に発売したフェイスパウダーや、9月にリニューアルした“モイスチュアライジング プライマー”が右肩上がりで成長している。小林専務は「順調な動きはあるものの、ブランド全体としての盛り上がりに課題がある。SNS強化や話題性のあるイベントを通じ、さらなる認知拡大を図る」との考えを示した。

「アルビオン」は現在8つの国と地域で展開しているが、海外でのブランド認知度は依然として課題が残る。特に“スキンコンディショナー”や“エクサージュ”を中心に展開してきた結果、「高級化粧品ブランドではなく、カジュアルなブランドと認識される傾向があった」。この課題に対応すべく、同社は初のグローバルプレステージブランド「アルビオン オーセンティック(ALBION AUTHENTIQUE)」を投入。8000~12万円の価格帯で展開し、クリームを中心に好調な滑り出しを見せている。

ECを開設、ブランド価値向上へ

アルビオンはこれまで店頭販売を主軸としてきたが、今後はECの強化にも乗り出す。小林専務は、「店舗に依存するのではなく、アルビオンとしてお客さまを積極的に店頭へ誘導するマーケティングを強化する。そのためにECの展開が不可欠だ」と語る。競争が激化する化粧品市場で、ECを活用した新たな顧客接点の確立を図る。

今後、アルビオンは「他社には真似できない美容活動」に注力し、店頭での体験価値向上を目指す。3月には店頭活動で新美容機器「パイラナイト」を導入、今秋には美容活動専用商品を発売する予定だ。また、新たな肌診断機器の導入も計画しており、リアル店舗での差別化を強化していく。

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