PROFILE: 森本俊樹/CEO

中国で人気に火がつき逆輸入という形で存在感を高めている「ココチ(COCOCHI)」は、日本発のブランドとしてポジショニングを再構築中だ。2023年にパーパスを「肌が、わたしを織りなしていく」と定め、ブランドが向かう先を明確にした。24年はそれを体現する旗艦店のオープンと主力商品のリニューアルでブランドの認知向上に努めた。25年は顧客との関係をさらに深め、次なるステージへと向かう。
日本発のブランドとして
さらなる認知拡大を目指す

WWD:ブランドの設立から中国市場での成功までをどのように振り返る?
森本俊樹CEO(以下、森本):日本のブランドの魅力を世界に届けたいという思いから、2017年に設立した。同志社大学と抗糖化の研究を行い、独自原料Orimos(オリモス)®を配合した製品を届けている。18〜19年ごろに来日した中国の美容家の目に留まったことが転機だった。中国ですでに注目されていた糖化にアプローチする素晴らしい日本の製品があるとSNSで発信してもらえたことで、中国を中心に爆発的な人気が出た。国別売上高構成比では約80%を中華圏が占める。次いで日本などだ。
WWD:コロナ禍に観光客が減少したことの影響は?
森本:訪日客率が高いブランドなので、コロナ禍を生き抜くのは大変だった。ただ中華圏ではスキンケアにこだわる傾向がより高まった時期でもあったため、SNSでのライブ配信やデジタル広告、ECでの販売を強化したことで、同地域の売上高は堅調に推移した。海外での根強い人気に支えられ、2ケタ成長を続けている。
WWD:ブランドの課題は?
森本:あらためて日本のブランドとしてのポジショニングを確立することだ。23年はデジタル広告を中心に認知拡大を図ったが、市場の競争は非常に激しく、成果を効率的に上げることが難しかった。一方で訪日客が戻ってくるにつれて、日本人の売り上げが伸び始めた。同年後半以降、羽田や成田、関西国際などの空港免税店で、売り場面積や製品を拡大・拡充することができた。
WWD:課題に対処するための取り組みは?
森本:23年に社員全員を巻き込んで、ブランドの世界観やDNAを見つめ直し、パーパスを再定義した。忙しい日常においても、スキンケアをするときには自分自身を慈しむ心地よい時間を大切にしてほしいと提案している。
WWD:24年はどのような年だったか?
森本:4月の旗艦店オープンは、ブランドとして大きな一歩だった。23年のデジタル広告施策の学びから、言葉やビジュアルだけでは伝わらない、実感を伴った体験を提供していきたいという思いが強まったことが発端だ。3階建ての空間を生かして、「抗糖化の館」を構想した。1階では黄金色の竹林をイメージした空間でスキンケア製品を販売し、外側から自身の肌と向き合ってもらう。2階のティーハウスでは、内側からのケアに着目したお茶と甘味を提供する。3階のリラクゼーションラウンジでは、五感を通して心をケアするプログラムを用意している。
WWD:旗艦店の反響は?
森本:来店客数は秋ごろから増加傾向にある。1階の売り場は既存顧客含め訪日客の割合が50%を超えるが、2階のティーハウスには「ココチ」を知らない日本人のお客さまも多く訪れており、ブランドを知ってもらうよいきっかけになっている。どのような形であれ「ココチ」に出合ってくれたお客さまに、ブランドのことをより知ってもらう施策を強化していく。
WWD:9月には人気の洗い流すタイプのクリームマスクをリニューアルし、“ココチ AG グローイング エッセンス クリーム マスク”(エッセンスクリーム20g、エッセンスマスク90g、6600円)を発売した。
森本:世界で累計740万個(2021年5月〜24年10月、ココチコスメ調べ)を出荷する主力商品だ。これまでで最大のリニューアルで、黄ぐすみにアプローチするオリモス®をアップグレードし、抗糖化をより強く感じられる設計に変更した。日本での導入はこれからだが、レフィル可能なパッケージを採用したほか、お客さまからの声を反映し、より使いやすい形状に改良した。リニューアルを機に、「アットコスメトーキョー(@cosme TOKYO)」と「アットコスメオーサカ(@cosme OSAKA)」でポップアップを開催したが、大阪では特設売り場で非常に好調な売り上げを記録するなど、ブランドの伸び代を感じた。
WWD:25年に注力することは?
森本:お客さまとの関係を深める一年にしたい。旗艦店を活用し、コミュニティー形成やメディア発信を強める計画だ。既存商品で高まる訪日客需要にアプローチしつつ、日本人に向けた新シリーズの展開も視野に入れるなど攻勢を続け、2ケタ成長を維持する。
WWD:未来に見据える可能性は?
森本:まずは旗艦店に足を運んでくださったお客さまに「ココチ」のことをより深く理解してもらい、好きになってもらえるよう取り組む。そして旗艦店の外でも「ココチ」を気にかけてもらい、再来店や発信につながる仕掛けやサービスを開発していく。
実現の可能性はゼロじゃない私の夢
“ここちいい”人生を送るためには自分を知り、多様な心地よさを体験してみるべきだと考えている。趣味の登山ではこれまで日本アルプスを堪能する機会が多かったので、海外のより高い山やまだ知らない山にも挑戦し、新しい心地よさを見つけたい。
日本発のスキンケアブランド「ココチ」は、「スキンケアは信頼できる確かなサイエンスや効果とともに、“ここちいい”ものでありたい」をコンセプトに2017年に誕生。肌をこわばらせくすませるエイジングの原因の一つである糖化に着目し、使っていて“ここちいい”製品を開発する。来日した中国の美容家の目に留まったことで、日本市場に先んじて中国で「抗糖化」コスメのパイオニアとして市場に浸透し、業績を伸ばし続けている
ココチコスメ
0120-458-558
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