PROFILE: 内田恭平/社長

2024年は、ロングセラーの“メディプラスゲル”をはじめ、基幹製品群に独自技術による「オゾン化グリセリン※」を新配合してフルリニューアル。順調な滑り出しによって2期連続増収増益を達成した。内田恭平社長は、敏感肌悩みに寄り添ってきた経営理念、研究力、製品力をさらに光らせるべく、CRM(顧客関係強化)の磨き上げに力を入れる。 ※整肌成分
「肌悩みから解放してあげたい」
妥協なき品質へのこだわり
WWD:昨年を振り返って。
内田恭平社長(以下、内田):“オゾン化グリセリン”を配合した主力スキンケアのリニューアルが無事に滑り出し、まずはほっとしている。原価の兼ね合いでどうしても値上げせざるを得ず、多少の離反はあったものの、特に2300万本以上のシリーズ販売実績がある中でも主力のオールインワンゲル状美容液“メディプラスゲル”(180g、4400円)は長年ご愛用くださっているファンも多く、売り上げ動向に大きな影響はなかった。新客も獲得できたことで、差し引きでは伸長している。
WWD:「オゾン化グリセリン」とは。
内田:当社の特許技術「オゾネーション」でオゾンとグリセリンを化合させたもの。医療の現場でも使われるオゾンに着目し、安定性のあるグリセリンと組み合わせた保水力に優れた成分だ。これを洗顔料の“ウォッシュムース”、“クレンジングミルク”、日焼け止めの“UVミルキーゲル”にも配合し、オゾン化グリセリンを使ったトータルステップケアができるようになった。
さらに昨年末にはリップケアに特化した“リペアリップパック”、今年1月には“メディプラスゲル”の2.5倍量のオゾン化グリセリンを配合した“メディプラスゲルコンク”を発売した。これから投入を予定しているミスト化粧水も積極的にプロモーションしていく。
WWD:社長就任から1年4カ月。自社の強みをどう分析するか。
内田:創業者の恒吉(明美会長)から受け継がれている、妥協のない製品へのこだわり。恒吉自身が肌悩みを抱えており、同じような悩みを持つ人の心の浮き沈みを知っている。敏感肌の人は、肌が刺激を感じた時に「ちりちり」という音が肌から聞こえるという。恒吉は、この「ちりちり」から1人でも多くの人が解放されるように、という一心で製品を作り続けている。
そんな熱量が、スキンケアの魂である「官能評価」へのこだわりに表れている。つまりテクスチャーのことだ。“メディプラスゲルコンク”の開発過程では私も恒吉と一緒になって製品評価を行ったが、彼女はサンプルを手に取り、拭き取って、また手に取ってと、納得するまで何度もやり直していた。作ったサンプル数は60を超えた。私も長らく化粧品メーカーでのキャリアを積んできたが、これは一般的な化粧品開発ではあり得ない数だ。それでも徹底して、納得いくまでこだわり続ける姿勢こそが、このブランドの他にはない価値を作っているのだと思う。そんな創業者の姿を見れば、現場も本気になるに決まっている。
WWD:D2Cのビジネスモデルも特徴だ。
内田:「オゾン化グリセリン」をキーにさらなるブランドの認知拡大を図りながらも、顧客満足を追求することが私のミッション。CRM(顧客関係管理)が肝要だ。かつて当社は2007年に通販事業に参入すると、一気にシェアを広げ、10年足らずで売上高80億円まで拡大した。入社してから当時のデータを見てみたら、1年で25万人もの新客をとったが、リピートにつなげられず、翌年継続した方は半分だった。お客さまと距離が近いビジネスだからこそ、化粧品を作って売るだけではダメだ。お客さまにお届けする製品梱包に一筆添えたり、必要なときに必要な情報をパーソナライズされたメルマガでお届けしたりと、きめ細やかな心遣いや温度感のあるコミュニケーションが大事だと思っている。まずCRMをしっかりと支える社内制度、体制、ヒトがベースにあって、その上でマーケティングとブランディングを乗っけていく。でないと一過性のブームで終わってしまうし、売れ続ける組織にはなれない。
WWD:25年8月期の見通しは?
内田:前期比8%増の48億5000万円を計画している。トップライン(売上高)を狙っていくよりも、お客さまの満足度やリピート率といった“中身”のクオリティーを重視している。新規獲得率は順調に伸びているため、既存のユーザーがもっと満足するような制度や仕組み作りに注力したい。誰よりも、社員がメディプラスの製品の一番のファンであり、魅力の体現者でなければいけないと思っているから、社員一人一人の愛着心が滲み出るようなブランディング戦略を考えていく。
WWD:未来に向けた可能性は?
内田:今までは敏感肌や肌がゆらぎやすい人たちに寄り添うブランドを目指してきたが、「オゾン化グリセリン」の可能性はこれにとどまらない。これからはライフスタイルにも入り込んでいきたいし、肌だけではなく体のさまざまな部位やインナービューティにも業容を広げながら、人々のよりよい暮らしに貢献していきたい。
実現の可能性はゼロじゃない私の夢
サーフィンが趣味。お供はもちろん“UV ミルキーゲル”。来年は還暦を迎えるけれど、できれば75歳ぐらいまで続けたい。そのためには体力だけでなく精神も鍛えておかなければ。年々、冬の海の寒さが堪えるようになってきたので(笑)。
2003年創業。幼少期より敏感肌に悩まされてきた創業者の恒吉明美氏が、自らの肌を実験台にスキンケア開発に着手。試行錯誤の末、エコー用のジェルに着想を得てゲル状スキンケア化粧品“メディプラスゲル”を完成させた。通販化粧品会社としてシェアを伸ばし、資金ゼロから売上高80億円を超えるブランドに成長させた。23年にはグループ会社のメディプラス製薬が特許を持つ独自成分「オゾン化グリセリン」を配合した製品を打ち出し、“悩みのない肌作り”を実現するブランドへ飛躍
メディプラス
0120-34-8748