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第5話:救世主、またの名を藤巻幸夫 【丸⼭敬太の “⼭あり⾕あり”な30年】

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「ケイタマルヤマ」は1994年に誕生し、今年で30周年。丸山敬太デザイナーは動植物で飾ったテキスタイルや、和洋中の要素を融合したデザインで、“晴れの日に着る洋服”を作ってきた。しかし多幸感溢れる表現の陰では、幾度の困難も克服してきた。酸いも甘いも知りながら、それでもなお「楽しいことを生み出したい」とする彼の人生譚とは。

2億5000万円の借金を背負った僕は、3年の返済猶予を手に入れた。それは、期限までに新たなパートナーを見つけてビジネスを軌道に乗せなくてはならないことを意味している。ただ僕は、その重さをいまいち理解しきれていなかった。経営経験もなく、キャッシュフローへの意識も低かったのに、僕はショップと在庫を買い上げてしまったのだ。さらなる困難を、自ら進んで呼び込もうとしていた。

経営のノウハウもない中で、店舗運営や商品の生産、最新コレクションの制作をする必要があった。全てが同時進行だから本当に苦しかったし、日々の売り上げで会社を回すことで手一杯だった。つまり、借金返済のメドが立たず、自転車操業から抜け出せないでいた。

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