ビジネス

“コンテンツの時代”を生き抜くTikTokビジネス マーケティングソリューションマネージャーが語る成功のヒント

有料会員限定記事

2017年に日本でのサービス提供を開始して以来、急成長しているデジタルプラットフォームと言えば、TikTokだ。15秒〜数分の短尺動画に、アプリ内で実装されているエフェクトを活用して編集でき、BGMも付けられる。最近の音楽チャートではいわゆる“TikTokバズ”によりランクインする楽曲も少なくないだろう。そんな絶大な影響力を持つTikTokを、ファッション業界でも自社のプロモーションに取り入れる企業が随分増えた印象だ。それらの需要に応え、TikTokのセールスチーム・TikTok for Businessでは、「TikTok活用法診断ツール」「TikTok Creative Exchange」「Branded Mission」など、企業やクリエイターの活動を後押しするさまざまなサービスを提供している。具体的なTikTok活用事例や最新ソリューションを紹介する年に1回の大型イベント「TikTok for Business ForYou Summit」は、今年4月にも実施予定だ。

急成長を遂げるTikTokだが、今の時代をどう捉え、どのような変化を遂げたのか。近年見られたトピックやコンテンツ制作のヒント、今後来たる“コンテンツの時代”について、TikTok for Business Japanのハーマン・チャン(Harman Chan)=マーケティングソリューションマネージャーに聞いた。

PROFILE: ハーマン・チャン/TikTok for Business Japan グローバルビジネスソリューション マーケティングソリューションマネージャー

ハーマン・チャン/TikTok for Business Japan グローバルビジネスソリューション マーケティングソリューションマネージャー
PROFILE: 日系大手広告会社と外資系広告会社にて、日本、APAC、MENA地域でのストラテジック・プランニング職を経て、2021年2月にTikTok for Business Japanに参画。主に消費者調査、インサイト分析などを担当

TikTokユーザー属性やコンテンツ性質に変化が
検索プラットフォームとしての活用も

WWD:この1年、TikTok上で起こった変化とは?

ハーマン・チャン TikTok for Business Japan グローバルビジネスソリューション マーケティングソリューションマネージャー(以下、ハーマン):大きく分け、3つの変化が見られた。1つ目はユーザー属性の変化。約1年で、30代以上のユーザーが大きく増加しました。2023年の10月にマクロミルに委託し実施した「TikTokユーザー追跡調査」という調査を行った結果、直近1年以内にTikTokを始めた人のうち、30代以上が約67%以上というデータが出た。世間一般的には“TikTok=若い人たちが使用しているプラットフォーム”と言うイメージを持つ人が多いと思うが、実際は幅広い層で支持されていることがわかる。

2つ目はコンテンツ性質の変化。投稿者や投稿数の増加に伴い、コンテンツの性質も変化してきたように感じる。特にユニークなのが、他の国や地域では日常を発信する人が多い中で、日本では専門知識を発信する人が増えている点。ビジネス、ファッション、美容などの王道的なコンテンツはもちろん、物理学者が宇宙について語るなど、かなり専門的な分野の人も多く見られる。検索すれば想像以上に幅広いジャンルのコンテンツが見つかるだろう。その背景にはおそらく、TikTokのレコメンドシステムがある。視聴者目線では “自分が好きなコンテンツがフィードに流れやすくなる”という機能だが、投稿者目線では“自分が作ったコンテンツが、その分野に関心のある人達(コンテンツを届けたい人達)に届きやすい”と言う利点がある。これにより、投稿者のモチベーションが保たれやすくなっているのだと思う。

3つ目は行動の変化。今年顕著になったのは、TikTokでの検索が一般的になってきていること。これまでTikTokは“見る”を重視したプラットフォームだったが、最近は色々な属性の人々――特に若年層と主婦が検索機能を使用し“調べる”と言う行動をとっており、既出の調査ではユーザーの75.2%が検索欄で検索していることがわかっている。具体的には、主に“トレンド”“穴場情報”などが多く調べられている。

また、TikTok上での検索の特徴として、“自分が具体的に何を知りたいのかわからない”と言う状態で活用しやすいと言う点が見えてきた。例えば、「クリスマスに何をしよう、どこに行こう」と、何もプランが決まっていないけどクリスマスに何かをしたい、という時に、先にTikTokで“クリスマス”と検索すると、色々な動画が出てくる。それらを見ているうちに「ここに行ってみよう」「これをやってみたい」など、大枠の自分の意思決定ができ、そこから別のプラットフォームで具体的な検索(レストランやイベント名など)して、より深く調べると言う使い方が最近増えていることがわかった。まだ自分自身が何を具体的に調べたいかわからない状態で検索して膨大な量の文字情報が出て来ると、自分が知りたいことに行き着くまでのハードルが高いと感じる人が多いからだ。TikTokの場合、みんなが高評価している動画が検索上位に上がってきやすい上、音声や文字、映像を組み合わせた動画のため短時間で手軽に見られることから、ある程度厳選された情報に短時間でアクセスできる。

広告をも1つのコンテンツに
TikTok広告に好感を持つ人は全体の50.4%

WWD:TikTokを見て購買につながる“TikTok売れ”も話題だが、TikTok広告の特徴とは?

ハーマン:他のプラットフォームとの大きな違いは、TikTokでは広告そのものが1つのコンテンツになっている点だと思う。近年、広告に対してネガティブな印象を持つ人がとても多い。“動画を観たいのに途中で広告が入ってくる”“全く関係がない、興味がないものを観せられている”ということから、不快に感じる人が多いのだろう。そういったネガティブな印象の中では、リーチ数は取れていても実売やブランドイメージの向上には繋がりにくくなる。そこで重要視すべきは“ユーザーの視聴体験にいかに寄り添えるか”。TikTokの広告はスワイプができるため、強制的に観なければいけないものではない。視聴体験をなるべく尊重すべく、ユーザーがさまざまな動画を見る中で、オーガニック投稿にならぶコンテンツの一部として自然に広告動画に接触するシステムだ。そのためユーザーから受け入れてもらいやすく、効果も高くなる。実際に第三者機関に委託してプラットフォーム別の動画広告に関する好感度を調査した結果、「TikTokの動画広告が好きだ」と言う人は全体の50.4%。他の主要プラットフォームと比較し、最も高い結果となった。

今、クリエイターマーケティングが支持される理由

WWD:クリエイターを起用したマーケティング手法に、今後も伸び代はあるのか?

ハーマン:TikTokのクリエイターを活用する事例は一過性のブームではなく、たくさんの可能性を秘めていると思っている。今の時代、人々は1つの情報源だけでは購入に至らない。まず広告を見て知り、TikTokなどのデジタルプラットフォームでクリエイターがおすすめしていたり、周りの友達がアイテムを保有していたりする中で多角的な評価に触れ、実際に気になって調べる、そして購入するーーと言うアクションにつながる。このように、今の時代に消費者を購買へとつなげるには、さまざまなタッチポイントでメッセージを発信し続ける必要がある。多角的な要素の1つとして、クリエイターはとても重要な立ち位置だ。

WWD:投稿者が増加する中で、支持されるクリエイターの特徴とは?

ハーマン:さまざまなクリエイター達と会話を重ねる中で感じるのは、支持されるクリエイターは検証がすごく上手だと言うこと。TikTokは投稿数が多いプラットフォームだからこそ、過去の投稿に関して一本一本、「なぜ数字が伸びたのか」「なぜこの動画は観られなかったのか」と疑問を持ち、仮説を立てて次の投稿に役立てている人が多い印象だ。感覚的にコンテンツを投稿するのではなく、分析を行なって論理立てて投稿することが大切である。クリエイターの中には“週1回必ず反省会をして、次の投稿に活かしている”と言うルーティーンをコンスタントに継続している人もいる。

WWD:数字が伸びやすいコンテンツ作りのコツとは?

ハーマン:支持されている投稿の特徴として、“模範解答を見せている”と言うことが挙げられる。「色々なコーディネートを試してみたいけど、正解がわからない」「これを着てみたいけど、自分に似合うのかな?」など、ファッションに関心はあるけど、“最近はどんなトレンドがあるのか”“自分の体型にはどんなものが似合うのか”といった知識が足りていないためにチャレンジを断念している人は少なくない。だからこそ生活者に近い目線で、シンプルに正解例を教えてくれるようなクリエイターは支持されやすく、これこそがTikTokで“知識系”のコンテンツが支持されている理由だろう。

もう1つの特徴はコメント機能の活用。支持されるコンテンツは動画だけで完結しているわけではなく、コメント欄もコミュニティーのように盛り上がっている。コメント欄に「私もこの服着たんだけど〇〇だったよ」「私の身長だと合わなかったかな」「〇〇についてもっと知りたい」など、寄せられたコメントに対してリアクションしていくといった親密なコミュニケーションが生まれやすいのもTikTokの特徴の1つだ。

TikTokをビジネス活用する上で欠かせない
3つの基本ステップ

WWD:企業側がTikTokをマーケティングに活用する場合、どんな工夫が必要か?

ハーマン:“TikTokのバズらせ方”のような情報は世間でも多くみられるが、どれも比較的、手法の話であり、本質的な部分が抜け落ちているように感じる。プラットフォームのトレンドや視聴者からの需要は常に変化しているため“これをやれば間違いない”と言うような必勝法はない。業界や企業文化の特徴、その時の状況によってやるべきことは多種多様であることを前提におきながら、TikTokの制作において重要なポイントを紹介する。

①リサーチ

ブランドやサブカテゴリー名などをTikTokで検索すると、人気動画がたくさん出てくるだろう。まずはそれらを観て、今のTikTokでどういうクリエイティブが支持されているかを把握する。それらを分析していけば「視聴者はどういう気持ちでこの動画を観ているのか」「どんなモチベーションで観ているのか」を知ることができる。「なぜか観ていると癒される」とか「ちょっと笑っちゃう」など、視聴者のモチベーションを知ることが、動画コンテンツ制作時の大きなヒントになる。

この続きを読むには…
残り2149⽂字, 画像2枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

“個”が主役の百貨店特集2024【WWDJAPAN BEAUTY付録:2023年度世界のビューティ企業TOP100】

7月22日号の「WWDJAPAN」は百貨店特集。 個人の価値観が多様化し、コロナを経てオンライン消費がますます浸透しました。百貨店という業態の存在意義すら問われる中、それでも人が集まる店の条件とは何か。決め手は、品ぞろえでも立地でもなく、情熱と個性を持った“人”の存在。百貨店が元々持っていた強みに光を当てたり、その枠を超えて新分野を開拓したりと、編集力やアイデアを駆使して売り場を面白くしようとする…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。