冬が年々短くなり、分厚いウールアウターの売れ行きが鈍る中で、重ね着を主役にした秋冬の着こなしを打ち出す企業が増えている。「ユニクロ」の2023年秋冬展示会は“レイヤリング”をテーマに、重ね着やトーン・オン・トーンの色合わせ、冬の機能性素材の活用によって、旬の着こなしを打ち出す。アウターやニットのバリエーション、セカンドスキン感覚のトップス、カーゴパンツやタックワイドパンツなどが注力アイテムだ。
アウターはコーデュロイのCPOジャケットやボアジャケット、ツイード風ジャケット、フライトジャケット、クロップドぎみのボリューミーなダウンジャケットなど、ショート丈を増やしているのがポイント。ロング丈のウールコートも企画はしているが、存在感は控えめ。その代わり、ロング丈はダウンを含めてジレを打ち出している。
ニットは色のバリエーションで新鮮さを出す。いちおしは鮮やかな赤やベリー系のカラーというが、ブルー、ミント、イエローなど多様にそろえ、ベージュやグレーといったベーシックカラーに変化を付ける。デザインとしてはプルオーバーと共にカーディガンが目立ち、特に襟付きハイゲージのポロシャツ風カーディガンは期待アイテムに据えている。
透け感トップスにも注目
ここ数年トレンドとなっているセカンドスキン感覚の薄手トップスは、より滑らかなタッチにアップデートし、やや透け感もある“ヒートテック”のタートルトップ(1290円)や、薄手のリブトップスなどをラインアップ。昨年ヒットした“ヒートテック 極暖”のリブタートルも継続する。透け感トップスとしてはほかに、透かし編みの3Dニットなどもそろえた。
ボトムスは昨年秋冬からヒットが続いているタックワイドパンツと、春夏好調なカーゴパンツを継続する。タックワイドパンツは今春夏に新作としてより太いシルエットの2タックを企画したところ、ECレビューやカスタマーセンターに1タックを希望する声が多数集まったことで、春夏の期中対応で1タックを再投入。秋冬も1タックが中心だ。カーゴパンツはデニム素材などでも企画している。
全身を同系色でまとめるのが旬
クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)率いるパリR&Dチームによる「ユニクロ ユー」は、引き続き、ダスティーな海老茶やグレー、深いグリーンといった独特なカラーパレットが特徴。全身を同系色でまとめる着こなしが中心だ。カーゴパンツのヒットに見られるように、フラップポケットなどユーティリティー要素が浮上していることを受けて、テーラードジャケットやステンカラーコートなどのポケットもみなサイズを大きくしているところもポイント。
「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」との協業ラインは、カレッジスポーツを着想源にしていた今春夏に続き、秋冬もカレッジムード。エンブレム付きのスエットやフリース、金ボタンのブレザージャケットなど。
イネス・ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange)との協業ラインはトラッドムードが色濃い。ツイードジャケットや素朴なポップコーンニットをそろえると共に、透け感のあるシャツブラウスやベロアのフレアスカートなど、つやっぽいムードも少しだけ差しているのが今季流だ。